WebAssemblyランタイム「Wasmer 4.0」公開 コマンド強化でパッケージ管理やアプリケーション公開が容易に:「WASIX」や「Wasmer Edge」と統合、連携強化
Wasmerは、WebAssemblyを実行するためのオープンソースランタイムの最新版「Wasmer 4.0」をリリースした。
Wasmerは2023年6月22日(米国時間)、オープンソースのWebAssemblyランタイムの最新版「Wasmer 4.0」をリリースしたと発表した。
WebAssembly(「Wasm」と略される場合もある)は、Webブラウザなどモダンな実行環境での効率的なコード実行とコンパクトなコード表現を実現する安全でポータブルな低レベルフォーマット。World Wide Web Consortium(W3C)がコア仕様をW3C勧告として公開している。Wasmerは、WebAssemblyをネイティブで実行できるようにするオープンソースのランタイムだ。
Wasmer 4.0をインストールするには以下のコマンドを実行する。
curl https://get.wasmer.io -sSfL | sh
Wasmer 4.0の変更点
新しいランナーアーキテクチャの導入
新しいランナーアーキテクチャの導入により、利用者自身がWasmerのバージョンアップを待つことなく、ABI(Application Binary Interface)標準を作成可能だ。利用者自身がWebGPUなどの新たな技術をWasmerに統合できるという。
Wasmer 4.0では以下のランナーをサポートしている。
- Emscripten
- WASIX/WASI
- WCGI
WASIXの安定化
Wasmer 4.0は、WASIXをサポートする初の安定リリースだ。Wasmerチームは、Rustで作成された静的サーバをWasmでコンパイルし、WASIXを使用することで、効率的で高速に動作するWebサイトを提供しているという。
WAPMとの統合
WebAssemblyモジュールのオープンソースパッケージマネジャーであるWAPMとWasmerが統合された。WAPMでのパッケージ公開やメンテナンスに関する「wasmer login」「wasmer whoami」「wasmer publish」などのコマンドをWasmer CLIで実行できる。
Wasmer Edgeとの連携強化
Wasmerが提供するサーバレスアプリケーションプラットフォームのWasmer EdgeとWasmerの連携が強化された。「wasmer deploy」や「wasmer app create」などのコマンドを使用してWasmer Edge上で新しいアプリケーションを作成、デプロイできる。
2023年7月時点で、wasmer.shにアクセスすると、Wasmer bashコンテナを試用できる。
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