「Apple Vision Pro」が採用した空間オーディオがもたらす没入感 Appleが凝らした工夫を考える:ものになるモノ、ならないモノ(94)
Appleから発表されたVR/AR(仮想/拡張現実)対応のゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ「Apple Vision Pro」。その空間オーディオ体験にはどんな工夫が凝らされているのだろうか。音楽制作をなりわいとする筆者が「音」に焦点を当てて考察する。
2023年6月5日(米国時間)、Appleは世界開発者会議「WWDC23」を開催し、VR/AR(仮想/拡張現実)対応のゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)「Apple Vision Pro」(以下、Vision Pro)を発表した。
ただ、Apple自身は、WWDC23の基調講演において、VR、AR、メタバースといった表現を避け、Vision Proがもたらす世界を「空間コンピューティング(Spatial Computing)」として定義していた。これまでのVR/AR対応のHMDとは一線を画する存在である点を強調しアピールする意図があったのだろう。
Vision Proのニュースに接していると、世間一般には、眼前に広がるプライベートな仮想4Kディスプレイや映画館のようなスクリーンなど、視覚領域における興味が先行している。確かにHMDにとって視覚に訴える世界はその製品の評価を左右する大切な要素なのは理解できる。ディスプレイの一種なのだから。
ただ、音楽制作をなりわいとしている筆者にとって気になるのは、空間オーディオと空間コンピューティングの関係だ。AppleもVision Proにおける空間オーディオがもたらす体験の重要性を強調している。
基調講演のプレゼンでは、空間コンピューティングの良質なユーザー体験をより強固なものにするために、耳に訴える聴取体験において、可能な限り最上級の品質で提供しようとする姿勢を垣間見た。
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