データ活用において「システムが分散しているかどうか」はそれほど影響しない あずさ監査法人:最も不足しているスキルは「企画力」
あずさ監査法人は、DX推進の実態やDXを推進する上での課題に関する調査の結果を発表した。それによると、最もDXが進んでいる企業はDX戦略を経営ビジョンの柱として掲げている割合が高いことが分かった。
あずさ監査法人は2023年7月24日、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の実態調査結果を発表した。対象企業のDX進行状況に合わせ、「DX始動企業」「DX推進中企業」「DX先進企業」と定義し、それぞれ重視するものと課題についてまとめた。
DX推進のために重要なデジタル技術の1位は「AI」
経営ビジョンとDX推進戦略との関連性を見ると、最もDXが進んでいるDX先進企業は、DX戦略を経営ビジョンの柱として掲げている割合が高く、93%だった。なお、DX推進中企業は60%前後、DX始動企業は11%だった。
DX推進に欠かせないと思うデジタル技術について聞くと、最も多かったのは「AI(人工知能)」で、80%(複数回答、以下同)だった。次いで「クラウドソフトウェア」「ローコード/ノーコード開発」「RPA(Robotic Process Automation)」「画像解析」などが挙がった。
DX人材に求められるスキルのうち不足しているものを見ると「データサイエンティスト」(69%、複数回答、以下同)や「ソフトウェアエンジニア」(55%)といったIT技術関連よりも、「ビジネスアーキテクト」(88%)を挙げた企業が多かった。あずさ監査法人は「ビジネスアーキテクトの『事業変革を主導するプロジェクト管理能力』や『DXプロジェクトを生み出す企画力』に注目が集まっている、企業はDX人材のスキル定義を明確にし、リスキリングのための時間を確保することが重要だ」としている。
DX推進において、企業のさまざまなデータに効率的にアクセスできるかどうかは重要な要素となる。ERP(Enterprise Resource Planning)システムなどを導入して全てのデータを一元管理できればそれは理想的だが、時間やコストの兼ね合いで実現は難しいこともある。ただ、調査結果によると「システムは分散しているが、ツールなどで効率的なデータにアクセスできる」と70%が回答している。
あずさ監査法人は「システムが統一化されているかどうかでデータ利活用の進捗(しんちょく)に大きな差異はない。今ある環境でできる部分からデータ利活用を進めることが重要だ」と述べている。
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