なぜ今、事業部門による開発が必要なのか DXとローコード/ノーコードの深い関係:DXの本質は“圧倒的なスピードを確保すること”(1/3 ページ)
社会環境が複雑性を増し、変化を予測することは困難だ。各業界ではこうした変化に俊敏に対応するためDXが進められている。さまざまな取り組みが進む中、ここに来てローコード/ノーコード開発に急激に注目が集まっている。「事業部門を開発に参加させること」の意味とは何か。
@ITが開催したライブ配信セミナー「ローコード/ノーコード開発セミナー 2023 夏」で、JSOLの板東貴治氏(ITアーキテクト)は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の狙い、DXに求められるシステム開発とは」をテーマに、DX時代になぜローコード/ノーコード開発が必要なのかについて解説した。
DXの本質とは何か
企業はさまざまな課題を抱えている。作業効率化やプロセス改善といった業務に関することはもちろん、複雑化する組織や人材不足の解消といった内的要因、感染症の世界的流行や国際競争の激化など外的要因に関する課題もある。これら課題を解決するためにITによるデジタル化は欠かせない要素だ。
では、デジタル化の最大の目的とは何か。板東氏は「スピードを獲得すること」だと指摘している。
「VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代には、変化への素早い対応や的確な状況判断と行動、つまり“圧倒的なスピード”が求められます。ビジネスのデジタル化と企業文化の変革を進め、さまざまな対応を素早く進められる力を手に入れることが、DXの本質だと捉えています」
ただ、画期的な改善が一気に進められるわけではない。イノベーションを起こすにはそれなりの時間と工数が必要だ。板東氏は「どこからイノベーションを起こすか」という視点が重要だという。
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