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念じてコーディングも可能に? 脳波×AI活用「ブレインテック」の今「侵襲型」と「非侵襲型」でデバイス開発が進展

4年ぶりのリアル開催となった「東京ゲームショウ2023」で展示されていたのは、脳波を活用して感情分析する「NEO×AI.R」だ。ビジネスシーンで脳波を活用する価値とは何か、プロダクト開発に、脳波がどう役立つのか。「BrainTech」の現状と併せて話を聞いた。

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 「ChatGPT」をはじめとする生成AI(人工知能)が社会に浸透し、企業におけるAI活用が新たな局面を迎えた中、各社はAIを活用した付加価値の提供や、業務効率化に向けて、模索し始めている。

 そうした中、AIを活用して脳波を分析する研究開発が国内外で進展を見せつつある。こうした取り組みは「脳(Brain)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語である「BrainTech」として注目されている。最近では、米ニューラリンクが脳インプライアントを人体に埋め込む臨床試験の参加者募集を開始するなど、医療の領域だけでなく、日々の生活や仕事にBrainTechが関わるのも目前という状況だ。

 4年ぶりに幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2023(TGS2023)」(2023年9月21〜24日)にも、BrainTechのソリューションとして、マクニカとBEAM ME UP(BMU)が共同で取り組む「NEO×AI.R」が展示されていた。BrainTechの現状や、プロダクト開発における脳波の活用イメージを聞いた。

デバイスは大きく分けて「侵襲型」と「非侵襲型」がある

 そもそも、BrainTechに不可欠な人間の脳波はどのように読み取ることができるのか。脳波を読み取るためのデバイスとして大きく分けると「侵襲型」「非侵襲型」の2種類があり、目的や用途に応じて、使い分けている段階だという。

 「侵襲型デバイスは脳に直接電極を埋め込んで電気信号を取得するため、ノイズの少ない高品質なデータが得られます。一方、開発コストや倫理的な問題もある。NEO×AI.Rは市販されている非侵襲型の無線式ヘッドセット型デバイス(EEG※)を使用し、装着した利用者の脳波を分析する」(マクニカの説明員)

マクニカのブースで展示されていた無線式ヘッドセット型デバイス。※脳から生じる電気活動を頭皮上に置いた電極から直接測定する
マクニカのブースで展示されていた無線式ヘッドセット型デバイス。※脳から生じる電気活動を頭皮上に置いた電極から直接測定する

 NEO×AI.Rでは、無線式ヘッドセット型デバイスで読み取った脳波を、AIや独自のアルゴリズムで解析。「うれしい」や「悲しい」などの感情分析や、利用者の作業内容に対する集中度をグラフでレポーティングする。

デモとして展示されていた脳波を感情分析したイメージ
デモとして展示されていた脳波を感情分析したイメージ

 「言語化が難しく曖昧になりがちな『人間の感情』や『集中度』を数値化することで開発中のプロダクト(ゲームやソフトウェア)がエンドユーザーにとって面白かったりうれしかったりするものになっているのかどうか、客観的に分析でき、プロダクトの改善、品質向上に役立てられる」(マクニカの説明員)

 ユーザーにとって快適なプロダクトを提供するのは容易ではない上、ユーザーから直接、プロダクトの品質に関して有益なフィードバックが得られるとも限らない。正解がないプロダクトの品質向上における1手段として脳波が役立つシーンはありそうだ。

 脳波を活用することで、「念じてコーディング」といったITエンジニアの業務効率化も将来的には可能だという。ただ「現状では、日本語やプログラミング言語など、言語の入力という用途では、音声認識や生成AI技術が適している印象だ」(マクニカの説明員)とのことだった。

 生活や仕事を一変させる可能性があるBrainTechにも、目が離せない。

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