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「人だけで完結する仕事」がIT部門から消え、AIが25%を単独実行――Gartnerが変化を予測IT業務に求められるスキルも変わる

Gartnerは、2030年までにAIが全てのIT業務に関与し、人だけで実施する業務は「0%」になると発表した。企業には人材配置やスキルの再構築が求められるとしている。

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 情報システム部門や開発、運用部門など企業におけるIT業務は、AI(人工知能)の影響を受け、今後大きく変わる可能性がある。Gartnerは2025年11月10日(現地時間)、2030年までにAIが全てのIT業務に関与し、AIが関与しないIT業務は「0%」になるという調査を公表した。

 同社が2025年7月に700人以上のCIO(最高情報責任者)を対象に実施した調査によると、2030年までにIT業務はAIの影響を受け、以下のような状況になる。

  • 人間のみによって行われる業務:0%
  • 人間がAIを活用して実施する業務:75%
  • AIが単独で実行する業務:25%
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「Gartner IT Symposium/Xpo」でIT業務ではどのような準備が必要なのかが語られた(提供:Gartner)

 Gartnerがバルセロナで開催したシンポジウム「Gartner IT Symposium/Xpo」で、同社のバイスプレジデントアナリストであるガブリエラ・ボーゲル氏とロブ・オドノヒュー氏は、本格的に備えができている企業はまだ少ないとし、「今後はAIと人間の準備のバランスを取る必要がある」と強調した。

新規採用の抑制、求められるスキルの変化

 AIがIT業務に広く関与するようになることで、企業のIT部門は人材の配置や役割の見直しを迫られる。Gartnerは労働力の在り方が変わると指摘する。

複雑性の低い業務の新規採用は抑制

 ボーゲル氏は「AIは雇用喪失の問題ではなく、労働力の変革の問題だ」と語った。複雑性の低い業務の職種は新規採用は抑制し、収益を生み出す新たな事業分野に人材を再配置すべきだという。

求められるスキルの変化

 新規採用の抑制によって生産性の向上とコストの最適化は図られる。その一方でAIを活用して新たな価値を獲得する必要があり、そのために求められるスキルは変化する。

 従来のスキルはタスクをより良く実行するためのものが中心だったが、AIを活用する上では、人間には人を動かす力や考える力、伝える力が求められる。

 AIに依存し過ぎることで本来のコアスキルが衰えるリスクもあるため、企業は定期テストなどを実施し、スキルを維持できているかどうかを確認すべきだという。

AI準備のための3つの視点

 Gartnerは、AI活用に向けた準備状況を次の3つの観点で評価すべきだとした。

コスト

 AIツールを購入する際は、AIツール自体の費用に加え、それ以外の“隠れコスト”や、トレーニングや移行にかかるコストを考慮する必要がある。

技術的能力

 検索、コンテンツおよびコード生成、要約といった分野ではAI機能は既に準備が整っている一方、AIの精度やAIエージェント機能など準備が整っていない領域もある。今後はAIの精度やAIエージェント機能を検討することになるのと同時に、組織は対話型のAIから意思決定型のAIへと軸足を移すべきだという。

ベンダー

 AI実装の種類に応じて適したベンダーを決定する必要がある。組織全体でAIの大規模な導入を計画している場合は、幅広く支援できるAIインフラを備えたハイパースケーラー。業界固有のユースケースの場合は、領域固有のAIエージェントや専門知識をベースにした機能を提供できるスタートアップ、といった具合だ。

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