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AWS、生成AIのマネージドサービス「Amazon Bedrock」を提供開始「Amazon CodeWhisperer」の新しいカスタマイズ機能など4つの発表

Amazon Web Services(AWS)は、「Amazon Bedrock」の一般提供開始など、生成AIに関する4つのイノベーションを発表した。

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 Amazon Web Services(AWS)は2023年9月28日(米国時間)、「Amazon Bedrock」の一般提供開始など、生成AI(人工知能)に関する4つのイノベーションを発表した。これらは、企業が生成AIアプリケーションを構築し、従業員の生産性を高め、ビジネスを変革するのに役立つとしている。

 これらのイノベーションはAWSが生成AIスタックの全てのレイヤーで顧客に提供する機能に追加される。あらゆる規模の企業がエンタープライズグレードのセキュリティとプライバシー、クラス最高のモデルの選択肢、モデルの強力なカスタマイズ機能とともに、これらを利用できるようになる。

 AWSが発表した内容は以下の通り。

Amazon Bedrockの一般提供開始

 AWSは、Amazon Bedrockの一般提供を開始した。Amazon Bedrockは、AmazonやAI21 Labs、Anthropic、Cohere、Meta、Stability AIなど、主要なAI企業が提供する基盤モデル(FM)を、APIを通じて利用できるようにするフルマネージドサービス。企業が生成AIアプリケーションを構築するために必要な幅広い機能も提供し、プライバシーとセキュリティを維持しながら開発を簡素化する。

 顧客はさまざまな優れたFMを簡単に試すことができ、プライベート環境で独自のデータを使ってカスタマイズすることもできる。複雑なビジネスタスク(出張予約、保険金請求の処理、広告キャンペーンの作成、在庫管理など)を実行するマネージドエージェントを、コードを書かずに作成するといった機能も利用できる。

 Amazon Bedrockはサーバレスであるため、顧客はインフラを管理する必要がなく、使い慣れたAWSサービスを使用して、生成AI機能をアプリケーションに安全に統合およびデプロイできる。

 また、Amazon Bedrockは「Amazon CloudWatch」および「AWS CloudTrail」と統合されており、モニタリングとガバナンスのニーズに対応している。顧客は、GDPR(EU一般データ保護規則)に準拠したアプリケーションを構築したり、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)で規制されるワークロードを実行したりできる。

 Amazon Bedrockは現在、AWSリージョンのUS East(バージニア北部)とUS West(オレゴン)で利用できる。

Amazon Bedrockで「Amazon Titan Embeddings」と「Llama 2」の両モデルが選択可能

 「Amazon Titan Embeddings」とMetaの「Llama 2」が、Amazon Bedrockで選択できるFMに加わった。

Amazon Titan Embeddings

 Amazon Titan Embeddingsは、「Amazon Titan」のFM群の中で最初に一般提供が開始された。テキスト入力(語句、場合によってはより大きなテキスト単位)を、テキストのセマンティックな意味を含む数値表現(「埋め込み表現」と呼ばれる)に変換する大規模言語モデル(LLM)だ。このLLMはテキストを生成しないが、埋め込み表現を比較することで、単語のマッチングよりも関連性が高く、文脈に沿った応答を生成できるため、パーソナライゼーション、検索、検索拡張生成(RAG)といったユースケースに役立つ。

Llama 2

 Metaの次世代LLMであるLlama 2は、近日中にAmazon Bedrockで利用可能になるという。Llama 2は、従来のLlamaに比べて大幅な改良が加えられている。AWSインフラ上で高速応答を提供するように最適化されているため、会話のユースケースに最適だ。顧客はインフラのセットアップと管理を行うことなく、Llama 2の13Bおよび70Bパラメーターモデルを使った生成AIアプリケーションを作成できるようになる。

「Amazon CodeWhisperer」の新しいカスタマイズ機能

 「Amazon CodeWhisperer」は、数十億行のコードでトレーニングされたAIベースのコーディング支援サービス。コメントや既存のコードに基づいて、スニペットから完全な関数まで、さまざまなコードの提案をリアルタイムで生成する。

 Amazon CodeWhispererは新しいカスタマイズ機能により、顧客が自社のコードベースやリソースを安全に活用できるようにすることで、生成AIベースのコーディングの可能性を最大限に引き出し、固有の要件に応じてカスタマイズしたレコメンデーションを提供する。開発者はさまざまなタスクで、より関連性の高いコード提案を受けることができ、開発にかかる時間を節約できる。

 管理者は、全てのカスタマイズをAWSコンソールから一元管理できる。機密性の高いコードに特定の開発者だけがアクセスできるようにすることや、高品質なリポジトリを厳選してAmazon CodeWhispererに学習させ、Amazon CodeWhispererによるカスタマイズが組織の品質やセキュリティ基準を満たすようにすることなどが可能だ。

 こうした新しいカスタマイズ機能は、エンタープライズグレードのセキュリティとプライバシーを考慮して構築されているため、カスタマイズ結果は完全にプライベートに保たれ、Amazon CodeWhispererのベースとなるFMは、カスタマイズ結果をトレーニングに使用しない。これにより、顧客の貴重な知的財産が保護される。

 このカスタマイズ機能は、Amazon CodeWhispererの新しいEnterprise Tierの一部として、プレビュー版が間もなく提供される。

「Amazon QuickSight」の新しい生成BIオーサリング機能

 「Amazon QuickSight」は、クラウドネイティブのサーバレスBI(ビジネスインテリジェンス)サービス。インタラクティブダッシュボード、ページ分割レポート、埋め込み分析に加え、「QuickSight Q」を利用した自然言語クエリ機能を提供し、組織内の全てのユーザーが必要なインサイトに好みの形式でアクセスできる。

 Amazon QuickSightの新しい生成BIオーサリング機能により、ビジネスアナリストはQuickSight Qの自然言語クエリ機能を拡張し、構造化された質問(「カリフォルニア州での売上高上位10製品は?」など)の答えを得るだけでなく、自然言語を使って説得力のあるビジュアルを素早く簡単に作成、カスタマイズでき、データに基づいて大きな意思決定を行うための洞察を、より短時間で提供できるようになる。

 生成BIオーサリング機能により、QuickSight Qは以下のようなことを実行できるようになる。

  • アナリストによる断片的な質問(「上位10製品」など)から、カスタマイズ可能なビジュアルを素早く作成する
  • 追加の質問を行い、アナリストのクエリの意図を明確化する
  • 複雑な計算を完了する
  • ビジネスアナリストが希望するアウトプットを記述するだけで、説得力のあるビジュアルを生成する。このビジュアルはワンクリックで簡単にダッシュボードやレポートに追加できる

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