Docker、ソフトウェアサプライチェーン管理支援サービス「Docker Scout」を正式リリース:コンテナイメージを分析、脆弱性を特定、修正方法を提案
Dockerは、安全なソフトウェアサプライチェーンの構築、維持を支援するサービス「Docker Scout」の一般提供を開始した。
Dockerは2023年10月4日(米国時間)、開発者やセキュリティチームの安全なソフトウェアサプライチェーン構築、維持を支援するサービス「Docker Scout」の一般提供を開始したと発表した。
コンテナイメージは多くの場合、他のコンテナイメージやソフトウェアパッケージのレイヤーから構築されているが、これらには脆弱(ぜいじゃく)性が含まれている可能性がある。
Docker Scoutはイメージを分析し、検出したパッケージやレイヤーの完全なインベントリとして、「SBOM」(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品表)を作成する。
その一方で、信頼できる多数のソース(広く使われているパッケージリポジトリやセキュリティデータベースなど)から、継続的に脆弱性データを取り込み、照合、整理して脆弱性データベースを作成、維持している。
Docker Scoutは、作成したSBOMとこの脆弱性データベースを関連付け、イメージ内の脆弱性を特定し、コンテキストに応じて、その修正方法を提案する。
Docker Scoutは、Docker Desktop、Docker Hub、Docker CLI、Docker Scout Dashboardで使用できる。後で述べるように、サードパーティーシステムとの統合もサポートしている。
イメージ分析
Docker Scout Dashboardでは、Docker HubとArtifactory両方の全てのイメージについて、セキュリティステータスの概要を見ることができる。どの脆弱性や問題に注力すべきかを知ることができ、修正方法のアドバイスも得られる。
また、Docker Desktop内やDocker Hubのイメージタグページから、イメージの詳細ビューにアクセスすることもできる。
さらに、リポジトリに対してイメージ分析を有効にすると、Docker Scoutは、ユーザーがそのリポジトリに新しいイメージをプッシュする際に、自動的にイメージ分析を行う。分析結果は継続的に再評価される。
Docker Scoutのイメージ分析は、Docker Hubリポジトリで既定で利用できる。「Amazon ECR」(Elastic Container Registry)や「JFrog Artifactory」のようなサードパーティーのレジストリを統合したり、開発マシンでローカルにイメージ分析を実行したりすることも可能だ。
ポリシー評価機能(早期アクセス段階)
ソフトウェアサプライチェーン管理では、成果物のセキュリティと信頼性の維持が最優先事項となる。Docker Scoutのポリシー評価機能(早期アクセス段階)は、既存の分析機能の上に制御のレイヤーを導入する。これにより、成果物のサプライチェーンルールを定義し、ルールやしきい値に対する成果物のパフォーマンスを長期的に追跡できる。
Docker Scoutと他のシステムの統合
既定では、Docker ScoutはユーザーのDocker組織やDocker Hub上のDocker Scout対応リポジトリと統合されている。Docker Scoutを追加のサードパーティーシステムと統合すれば、実行中のワークロードに関するリアルタイム情報など、より多くの洞察にアクセスできるようになる。
Docker Scoutが現在サポートしているサードパーティーのレジストリやCI/CD(継続的インティグレーション/継続的デリバリー)システムなどは以下の通り。
- コンテナレジストリ:JFrog Artifactory、Amazon ECR
- CI/CDシステム:GitHub Actions、Gitlab、Jenkins、Microsoft ADO(Azure DevOps)、Circle CI
- ランタイムモニタリング:Sysdig
料金プラン
Docker Scoutは、利用規模などによってScout Free(無料)、Scout Team(年間契約でリポジトリ当たり月額9ドル、月契約で同12ドル)、Scout Business(料金は問い合わせ)の3つの料金プランが用意されている。
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