Microsoft、「VS Code」の「September 2023」を公開 コマンド検索機能の充実、各種拡張機能の機能強化など：より見やすく、便利に

Microsoftはクロスプラットフォームエディタ「Visual Studio Code」の最新版「September 2023」リリース（バージョン1.83）を公開した。

[＠IT]

　Microsoftは2023年10月4日（米国時間）、クロスプラットフォームエディタ「Visual Studio Code」（以下、VS Code）の最新版「September 2023」リリース（バージョン1.83）を公開した。

VS Codeバージョン1.83の主な変更点

GitHubのプルリクエストとIssueコメントの改善

　July 2023リリースで追加された拡張機能「GitHub Pull Requests and Issues」を使うと、プルリクエストとIssueの作業、作成、管理ができるようになる。

　今回の更新でスクリーンリーダーのユーザーに、エディターを開いたときコメント範囲が含まれているかどうかの通知がくるようになった。加えて、コメントコントロールにもアクセスできるようになった。

類似のコマンドをコマンドパレットに表示

　VS Codeだけでも2000を超えるコマンドがあり、探しているコマンドを見つけるのが難しい場合がある。コマンドパレットが表示する速度を現状のまま維持しながら、探しているものを見つけやすくする方法を導入すべく、コマンドパレットの結果に「類似コマンド」という新しいセクションが追加された。以下に例を示す。

クエリを結果に表示させるために「あいまい」一致検索をかける必要がなくなった（提供：Microsoft）

あいまいな結果がある場合にも表示が出る。同様のコマンドも続いて表示する（提供：Microsoft）

拡張機能のコマンドも表示する（提供：Microsoft）

　この機能を適用させるにはコマンド名内の単語を完全に一致させる必要がある。

プロファイルにアイコン設定が可能に

　アイコンをプロファイルに関連付けることができるようになった。このアイコンは、アクティビティーバーの管理歯車アイコンの代わりに表示される。複数のプロファイルがあり、どのプロファイルが現在アクティブであるかをすぐに特定したい場合に便利だ。

新しいプロファイルを作成する際のアイコン選択ダイアログ（提供：Microsoft）

エディタタブの高さの密度

　設定［window.density.editorTabHeight］を変更することで、タブの高さをよりコンパクトなサイズに下げることができるようになった。

エディターのタブを別の行に固定

　新しい設定［workbench.editor.pinnedTabsOnSeparateRow］が追加された。これをアクティブにすると、固定されたタブが他のタブの上部にある別の行に表示される。エディターのタブは、タブ行間でドラッグすると自動的に固定または固定解除される。

設定エディターの検索調整

　設定エディターのノイズを減らすために、特定の検索クエリに対して表示される結果が少なくなった。GitHub Copilot Chat拡張機能がインストールされている場合、キーワード一致によって検出された設定に加えて、Copilot Chat設定に一致した上位15件ではなく、上位5件のみが選択される。

保存および自動保存時のコードアクション

　エディターで自動保存時のコードアクションを有効にできるようになった。これにより、保存時、もしくはウィンドウ変更［onWindowChange］かフォーカス変更［onFocusChange］による自動保存時にコードアクションがトリガーされる。

JavaScriptデバッガー

• WebAssemblyのデバッグ

　JavaScriptデバッガーは、DWARFデバッグ情報が含まれている場合、WebAssemblyにコンパイルされたコードをデバッグできるようになった。

• 呼び出し履歴ビューの改善

　「呼び出しスタック」ビューのメソッドと関数には、関数（this）コンテキストの名前が含まれるようになった。

リモート開発

　リモート開発拡張機能を使用すると、開発コンテナ、SSHまたはリモートトンネル経由のリモートマシンまたはWindows Subsystem for Linux（WSL）をフル機能の開発環境として使用できるようになった。

GitHub Copilot

• /test

　ChatビューとGitHub Copilot Chat拡張機能で利用可能なインラインチャットの［/tests］コマンドが改善された。［/test］コマンドは、現在使用しているテストフレームワークをより正確に検出し、同じスタイルで新しいテストを生成する。

• インラインチャット

　インラインチャットでは現在のセッションの全てのプロンプトが保持されるようになり、以前のメッセージを参照したり、質問に返信したりできるようになった。

Jupyter

• 拡張機能作成者向けの最終的な Jupyter Server Provider API

　Jupyterサーバに貢献するためのJupyter拡張機能のAPIが完成した。拡張機能はAPIを使用して、カーネルピッカーに表示するカスタムJupyter サーバのリストを提供する。

• JupyterHub拡張機能

　JupyterHubへのログインと、VS Codeのノートブックまたはインタラクティブウィンドウ内からカーネルに対するコードの実行をサポートするJupyterHub拡張機能が追加された。この拡張機能は、vscode.devおよびgithub.devのブラウザでも動作する。

Python

• Pythonデバッガーの更新

　June 2023リリースで追加されたDebugpy拡張機能は、マーケットプレースでの見つけやすさを向上させるために「Python Debugger」に名前が変更された。

　この拡張機能には新しいユーザー設定［debugpy.debugJustMyCode］が含まれており、これを無効にすると全てのアプリケーションのシステムまたはサードパーティーのライブラリコードにステップインできるようになる。

• Python 3.7サポートの廃止

　Python拡張機能でのPython 3.7のサポートが終了した。同社は、Python 3.7のサポートを積極的に削除する計画はないため、この拡張機能は当面は非公式にPython 3.7で動作し続けると予想している。