「日本が世界に比べて優勢する状況は珍しい」 IDCが企業の生成AIの取り組みに関する調査結果を発表:「日本企業は潜在的な可能性と活用用途を探るべきだ」
IDC Japanは、生成AIの取り組みに関する国内と世界の企業ユーザー動向調査の比較分析結果を発表した。世界では、カスタマーサービス部門への影響を想定する割合が国内よりも高く、社内外の事業領域に対して幅広く生成AIの利用を検討していた。
IDC Japanは2023年10月26日、生成AI(人工知能)の取り組みに関する国内と世界の企業ユーザー動向調査の比較分析結果を発表した。
生成AIへの期待は世界レベル
2023年3月と同年7月に実施した生成AIに関する調査の結果を比較したところ、日本は「生成AIの適用分野への可能性の検討」と「2023年の投資傾向」の両方の割合が伸びていた。国内の生成AIへの期待度は世界よりも高く、IDC Japanは「日本が世界に比べて優勢する状況は珍しい」としている。
想定する生成AIの適用分野を見ると、コード生成や会話型アプリケーション、デザインアプリケーションといった「生産性の向上に貢献する社内向けのユースケース」への期待値が高かった。
一方、マーケティングアプリケーションが低い点は、国内と世界で同じ傾向が見られた。また、生成AIが影響を与える事業領域について、ソフトウェア開発/デザイン部門が高いと考える点も、国内と世界で同じ傾向だった。ただし、世界では、サプライチェーンやカスタマーサービス部門への影響を想定する割合が、国内よりも高い。これらの点から「世界では、社内外のユースケースや事業領域に対して幅広く生成AIの利用を検討している」とIDC Japanは分析している。
「世界が多様な目的で生成AIの利用を検討している傾向を考えると、今後の実証実験の結果や、AIのリスク管理、ガバナンスの運用次第だが、国内企業は生成AIの潜在的な可能性と活用用途をさらに探る必要がある」(IDC Japan)
IDC Japanの飯坂暢子氏(Software & Services リサーチマネージャー)は、「技術革新による生成AI製品の連続的な市場投入によって、AI技術の最新技術、人的リソース、AIのリスクに関心が向きがちだが、生成AIへの投資の意思決定に関わるキーパーソンは持続可能なAIモデルの開発や運用への意識を高め、生成AIを生かした具体的なデジタルビジネスのモデル構築支援を求めている」と指摘している。
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