Gartnerがハイプサイクルで「日常型AI」「デジタル従業員体験」が2026年までに主流になると予測:「デジタルワークプレースアプリケーションのハイプサイクル2024」
Gartnerは、「デジタルワークプレースアプリケーションのハイプサイクル2024」を発表した。このハイプサイクルの中で「日常型AI」と「デジタル従業員体験」が、2026年までに主流になると予測している。
Gartnerは2024年8月14日(米国時間)、「デジタルワークプレースアプリケーションのハイプサイクル2024」を発表した。Gartnerは、このハイプサイクルの中で「Everyday AI(日常型AI〈人工知能〉)」と「DEX(Digital Employee Experience:デジタル従業員体験)」が、2026年までに主流になると予測している。
Gartnerでディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのマット・ケイン氏は「日常型AIは、従業員が文章を作成し、リサーチし、コラボレーションを行い、アイデアを生み出す際のデジタル上の摩擦を取り除くものだ。これは、デジタル摩擦を取り除き、従業員のデジタル活用能力を向上させる取り組みであるDEXの核心部分となる。DEXは、2030年までに組織の成功を促進するための重要な要素の一つとなるだろう」と述べている。
日常型AIに注目すべき理由
Gartnerは、ハイプサイクルの「過度な期待のピーク」に位置付けられている日常型AIが、生産性向上をもたらすだけでなく、関連情報の検索と統合を支援するツールや、質問に対してより包括的に回答するツール、仕事の成果物をより簡単に作成できるツールなど、新たな市場価値の提供につながるとした上で「従来のアプリケーションや機能拡張を超えて労働者の生産性を向上させる方法を模索するテクノロジーベンダーは、日常型AIに注目すべきだ」と指摘している。
Gartnerでバイスプレジデント アナリストのアダム・プレセット氏は「デジタルワークプレースは今、日常型AIの時代に突入している。日常型AIはより洗練され、チャットや電子メールのメッセージを整理し要約するサービスから、最小限の指示で報告書を作成できるサービスへと移行するだろう。多くの点で、日常型AIは労働生産性の未来だ」と述べている。
ビジネスリーダーはDEXの戦略を立てる必要がある
ほとんどの従業員が、これまで以上にテクノロジーと関わる時間が増え、デジタル従業員となりつつある中、Gartnerは、従業員エンゲージメントを向上させ、自発的努力や定着意欲を最大化するために、DEXを測定し、改善する戦略を立てる必要があるという。
「DEXはハイプサイクルの『幻滅期』にあり、実験や実装が期待通りの結果をもたらさないことが明らかになりつつある。DEXの魅力と重要性を高めるには、ビジネスリーダーはIT部門と非IT部門が連携し、従業員が新しい働き方をスムーズに取り入れられる環境を整える、包括的なアプローチを採用する必要がある」と、Gartnerは述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 生成AIが「過度な期待のピーク期」から「幻滅期」へ Gartnerが先進技術のハイプ・サイクル2024年版を発表
Gartnerは、先進テクノロジーに関するハイプ・サイクルの最新版「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2024」を公開した。 - ターゲットは「生成AI導入が停滞している企業」 アップデートから読み解くMicrosoftのAI戦略
TechTargetは「AI開発者向けのMicrosoftの製品アップデート」に関する記事を公開した。Microsoftが発表したのは、生成AIの実験段階で行き詰まっている企業を支援するアップデートだ。 - なぜ新しい技術に「がっかり」してしまうのか SCSKが“AIに幻滅しないためのマインドセット”を解説
新しい技術が注目を集めると、期待とともに「思ったほど普及しないかもしれない」と感じることがある。個人的に思うだけならいいが、技術の業務展開においては致命的な問題になり得る。組織の中で新しい技術を“当たり前の技術”にするにはどういったマインドセットが必要なのか。