中堅中小企業は生成AIに「詳しく指示しなくても成果物を出すこと」を期待している ノークリサーチ:「生成AIに指示してテキストを作成する」というニーズは1割以下
ノークリサーチは、データ分析や生成AIの業務アプリケーションでの活用に関する分析結果を発表した。生成AI活用では「AIチャット」と「自動生成機能」を分離し、「指示方法に選択肢を与えることが重要だ」としている。
ノークリサーチは2023年10月19日、データ分析や生成AI(人工知能)の業務アプリケーションでの活用に関する調査結果を発表した。調査対象は年商500億円未満の中堅中小企業で、1300社から有効回答を得た。
「企業はAIチャットによる指示方法を望んでいるわけではない」
販売、仕入れ、在庫管理分野のデータ分析に関するニーズを見ると、「データ分析によって商材別の需要を予測できる」と考えている企業の割合は、ERP(Enterprise Resources Planning)、生産管理、会計管理といった業務アプリケーションを導入済みの企業で10.2%、業務アプリケーションを今後導入予定の企業は19.4%となっていた。
これに対し、同じ顧客関連のデータ分析というニーズのうち、「データ分析によって顧客別の商材提案を作成できる」と「データ分析によって顧客を属性別に分類/整理できる」を比べると、前者は今後に向けたニーズの伸びがほぼ横ばいなのに対して、後者は導入予企業でこれを挙げた割合が約8ポイント高かった。これらの結果からノークリサーチは「販売、仕入れ、在庫管理に向けたデータ分析では『顧客ごとにどの商材を提案すべきか』の前に、まずは『顧客を分類/整理する』ことが重要だ」としている。
生成AIと関連が深いコラボレーション分野(グループウェア、ビジネスチャット、Web会議など)のニーズを見ると、AIチャットによる「メール文面の自動生成」と「議事録の自動生成」の回答率は、業務アプリケーションを導入済みの企業と導入予定の企業のどちらも1割未満で、「今後のニーズの伸びは期待できない」とノークリサーチは分析している。一方で、文書管理やオンラインストレージサービスでの「マニュアルの自動作成」の回答率は導入済みの企業で12.2%、導入予定の企業で17.9%となっており、今後のニーズの伸びが期待できる結果となっていた。
ノークリサーチは「メールや議事録の作成と、マニュアルの作成の違いは『AIチャットで指示を出すかどうか』という点だ。中堅中小企業の多くは生成AIを活用する際に必ずしもAIチャットによる指示方法を望んでいるわけではないため、IT企業が業務アプリケーション向けに生成AIの活用を訴求する際は指示を与える手段と自動生成の機能を分離して、前者についてはAIチャットに限定しないことが重要だ」と提言している。
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