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エンジニアはきっと、皆、同じ夢を見ているGo AbekawaのGo Global!〜日立造船の張さん from 中国(後編)(1/2 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回も日立造船のIT担当である張 冬堯(チョウ・トウギョウ)さんにお話を伺う。短期留学をきっかけに日本への興味を深め、日本企業への就職を果たした張さんの現在の目標とは。

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 国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。前回に引き続き、今回も日立造船のIT担当である張 冬堯(チョウ・トウギョウ)さんにお話を伺った。IT企業への就職を目指していた張さんが造船会社に入社した理由とは。

 聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

なぜ日本の大学院に?

阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) 大阪大学の大学院に進学され、2度目の来日を果たします。大学院、それも日本の大学院を選んだのはなぜでしょうか。

張 冬堯(チョウ・トウギョウ 以下、張さん) はい。もともと修士に進学したいとは思っていて、どちらにせよ大学院には進むつもりでした。日本を選んだのは、徳島大学の交換留学がきっかけです。留学で日本と中国の大学院の生活の違いを体感し、日本で勉強したいと考えるようになったのです。そう思ったときから日本への留学の準備を進めました。日本語を勉強したり、「TOEIC」などの英語の資格を取ったり、いろいろな大学院の教授に連絡したりしました。

阿部川 専攻は大阪大学大学院医学系研究科。医学系に進んだ理由を教えてもらえますか。

張さん 医学にこだわっていたわけではなく、医療に関する情報学に興味があったのです。ある教授に相談したところ、「医療情報学は医学系研究科に属する」ということで医学系研究科を選びました。大阪大学にしたのは医学がすごく強いといわれていたからです。医学が強いなら医療情報学のレベルも高いだろう、と。後、大阪大学の教授が最初に返信してくれたので、そこに入学しようかなと考えました(笑)。

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大学院時代の張さん。一緒に写っているのは同期の高さんで、その後2人は結婚されたそうです!

阿部川 ご縁があったんでしょうね。そして、大阪大学で無事、修士を取りました。そこまで行ったら大学に残って研究するという道もあったかと思いますが……。

張さん 確かにそうかもしれません。ただそのときは会社に入って、何か実際のものを作りたいと考えていたのです。大学の研究は主に理論的なもので、何かものを作る機会は少なかったので。だから私は、社会に出る方がいいと思いました。

日立造船が「一番強かった」

阿部川 そうして日立造船に入社されます。どのように日立造船と巡り会ったのでしょうか。

張さん 就職活動の仲間との情報交換で知りました。調べてみたら、日立造船はごみ焼却発電の事業で多くのシェアを占めていました(張さんは「一番強い」と表現した)。特許をたくさん持っていて、中国のプロジェクトや海外の民主発電事業もありました。多分中国でごみ焼却発電をしている企業は少ないと思います。こうした事業は、将来の社会や人間に貢献できるとても良い取り組みだと思い、入社を決めました。


編集中村
編集 中村

 最初はIT企業を探していたけど、うまくマッチングできず、そこで日立造船の話を聞いたそうです。張さんはそういったエピソードが多い気がします。最初からエンジニアを目指していたわけではないが、知識として身に付けていたからその道に進むことができましたし、医学を志しているわけではなかったけれど、情報という観点でその知識を身に付けました。阿部川も言っていますが、それこそ「縁」「巡り合わせ」ということなんでしょうね。


阿部川 なるほど。現在のお仕事内容を教えていただけますか。

張さん 今はICT情報システムや基幹業務システムのプロジェクト管理と、業務自動化に関する開発を担当しています。

阿部川 2019年4月の入社ということは、働いて1年くらいでコロナ禍が始まったのだと思います。システムの担当ということはテレワークの整備も担当されたのですね。

張さん はい。テレワークのために必要なソフトウェアを導入したり、システムを調整したりしました。そのときから日立造船ではオフィスで仕事をするかテレワークするかを選べたんですよ。もちろん今もです。私も必要であれば出社しますし、打ち合わせがないときは、家でテレワークしています。

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最近の張さん

阿部川 素早くテレワーク環境を整備されたのですね。張さんは現在5年目ということですが、今後やりたいことなどありますか。

張さん まず、2023年に入社した後輩にプロジェクト管理の仕事を教えることですね。ゆくゆくは彼に業務を引き継ぎたいと思っています。次に、社内のデータを「見える化」したいです。データをどう抽出すれば、どのようなものが見えてくるか興味があります。もちろんデータ分析以外にもいろいろな仕事を担当したいと考えています。

阿部川 見える化ですか。

張さん そうです。基幹業務システムを2018年10月から導入して現在(2023年5月時点)で約5年になりました。当初から“見える化”の施策は検討していましたが、実施するのはシステムの稼働が安定してからにする予定だったのです。そして今がその段階ということです。

阿部川 最終形ではないかもしれませんが、見える化が、今狙ってる到達点ということですね。

張さん はい、現在の目標ですね。

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