今後のセキュリティ市場は「AIによって人材/スキル不足を補完しよう」という動きが広がる IDCが予測:2024年の支出額は初の1兆円超えになる見込み
IDC Japanは、セキュリティ市場に関する予測を発表した。国内市場の支出額は、対2023年比7.6%増の1兆455億円で、初めて1兆円を超えると予測している。
IDC Japanは2024年3月6日、セキュリティ市場に関する予測を発表した。全世界の2024年の支出額は、対2023年比で11.5%増の2385億米ドルの見込み。2022〜2027年の年間平均成長率(CAGR)は11.7%で、2027年の支出額は3289億ドルに達するとみられる。国内市場の2024年の支出額は、対2023年比で7.6%増の1兆455億円で、初めて1兆円を超えるという。
一番の課題はやはり「人材不足」
2023年の国内セキュリティ市場は、EDR(Endpoint Detection and Response)などのモダンエンドポイントセキュリティ市場が拡大した。企業にオフィス回帰の動きはあるものの、テレワークでの働き方は残っている。そのため、インターネット経由での企業システムへのアクセスも継続している。これと連動して、ID管理市場も成長した。また、ランサムウェア攻撃などが数多く報告された結果、脆弱(ぜいじゃく)性管理対策市場も伸びている。
こうした背景からIDC Japanは、国内セキュリティ市場の2022〜2027年のCAGRを7.2%と見込み、「2027年の支出額は1兆2488億円に達する」と予測している。
IDC Japanの眞鍋 敬氏(Software/Service Solutionsグループディレクター)は、「セキュリティ人材とスキルの不足は国内市場での課題となっており、セキュリティリスクは拡大傾向にある。国内セキュリティ市場ではAIによって人材/スキル不足を補完し、リスク診断や攻撃検知、対策/復旧の自動化などのセキュリティリスク低減施策が今後重要になる」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- サプライチェーンセキュリティに効果大? 遠隔から機器の改ざんを検知できる技術をNECが開発
NECは、サプライチェーンに向けたサイバーセキュリティ対策として遠隔からコンピュータ機器の改ざんを検知可能とする「リモート検証基盤」について発表した。 - 私のメールが届かないのは、何かの陰謀ですか?
情報セキュリティの啓発を目指した、技術系コメディー自主制作アニメ「こうしす!」の@ITバージョン。第45列車は「メールが届かない」です。※このマンガはフィクションです。 - 自動化し、時間を操作せよ――日本シーサート協議会の又江原氏が考えるデジタル災害時代のセキュリティ運用とは
2023年12月4日、アイティメディアが主催するセミナー「ITmedia Security Week 2023 冬」の「セキュリティ分析/運用自動化」ゾーンで、日本コンピュータセキュリティインシデント対応チーム協議会(日本シーサート協議会)運営委員 又江原恭彦氏が基調講演「セキュリティ分析・運用の現在と未来における自動化と周辺環境」に登壇した。もはや事故ではなく「災害」と化しているサイバー脅威に対し、監視、運用にどう取り組んでいくかを語るセッションだ。本稿では、講演内容を要約する。