2023年にエンタープライズ無線LAN市場で成長したのはどの企業? IDC:2023年の収益は前年比7.6%増の108億ドル
IDCは、2023年の世界エンタープライズ無線LAN市場動向を発表した。収益は前年同期比7.6%増の108億ドルだった。6GHz帯に対応するWi-Fi 6Eの収益や、地域別、主要企業別の動向も明らかにした。
IDCは2024年3月7日(米国時間)、2023年の世界エンタープライズ無線LAN市場動向を発表した。2023年の世界エンタープライズ無線LAN市場の収益は対前年比7.6%増の108億ドルだった。一方、第4四半期は前年同期比で25.5%減だった。
IDCの企業ネットワーク担当リサーチマネジャーを務めるブランド・バトラー氏は、次のように解説している。
「2023年は、製品出荷の滞留などサプライチェーンを巡る混乱や、不安定なマクロ経済環境を含む複数要因によりダイナミックな1年となった。それにもかかわらず、エンタープライズ無線LAN市場は、接続性戦略を構築する世界中の組織にとって極めて重要な技術の一つである」
6GHz帯に対応する「Wi-Fi 6E」採用の動向は?
IDCによると、6GHz帯に対応する「Wi-Fi 6」の拡張規格「Wi-Fi 6E」の採用は、2023年第4四半期も増加したという。依存型アクセスポイント(AP)セグメントにおけるWi-Fi 6Eの収益は第3四半期から第4四半期にかけて11.7%増加した。これは依存型APセグメント内の22.6%、出荷台数の10%を占める。一方、同セグメント内ではWi-Fi 6の収益が72.8%、出荷台数が77.5%で、大部分を占めている。
一方、消費者向け無線LAN市場は、2023年の収益が前年同期比12.8%減少し、第4四半期でも14.5%減少した。消費者向け市場ではWi-Fi 6Eは初期段階にあり、第4四半期の収益に占める割合は6.7%だった。
地域別で見る無線LAN市場動向
地域別に見ると、2023年のエンタープライズ無線LAN市場は、米国が前年同期比20.6%増、カナダが14.5%増、中国が17.5%減、アジア太平洋地域(日本と中国を除く)が6.2%増、ヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)が1.6%増、ラテンアメリカが25.1%増だった。
企業別で見る無線LAN市場動向
IDCは、エンタープライズ無線LAN市場の主要企業のハイライトを次のようにまとめた。
企業名 | 2023年収益(前年比) | 第4四半期収益(前年同期比) | 市場シェア |
---|---|---|---|
Cisco Systems | 11.2% | -40.3% | 42.6% |
HPE Aruba Networking | 7.0% | -21.6% | 14.6% |
Huawei | 13.8% | -0.4% | 8.0% |
Ubiqulti | -2.6% | -11.3% | 6.1% |
CommScope | 23.3% | -33.1% | 4.4% |
Juniper Networks | 26.6% | 13.2% | 4.1% |
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