経験年数、開発分野別に見るローコード/ノーコードツールの利活用動向 SlashData:2022年と2023年の利活用動向を比較 どう変化していたのか?
調査会社のSlashDataは、ノーコード/ローコードツールの利活用動向をまとめたレポートを公開した。開発者の経験年数やソフトウェア開発分野別にノーコード/ローコードツールの利活用動向を明らかにしている。
開発者動向を分析する調査会社SlashDataは2024年4月3日(米国時間)、ローコード/ノーコード(LCNC)ツールの利活用動向をまとめたレポートを公開した。2022年第1四半期および2023年第3四半期のLCNCに関する開発者調査結果を比較し、結果をまとめたものだ。
レポートでは、開発者の経験年数、性別、ソフトウェア開発分野別にLCNCツールの利活用動向を比較、分析している。
SlashDataは「LCNCツールは、アプリケーション開発のプロセスの一部を自動化し、ソフトウェア開発に視覚的なアプローチを提供する。ソフトウェア開発経験がない開発者も簡単にアプリケーション構築ができ、時間とコストの効率化につながるだろう」と述べている。
開発プロジェクトにおけるLCNCツールの使用率
1年半の間に、プロジェクトでLCNCツールを使用している開発者の割合は、46%から57%に増加した。2023年第3四半期では32%の開発者が、開発作業の25%以上にLCNCツールを使用している。SlashDataは、LCNCツールが開発者の間で認知されるだけでなく、多くの作業で使用されていることを示唆するものだとした。
開発者の経験年数別に見るLCNCツールの使用状況
ソフトウェア開発経験が10年以上の開発者は、LCNCツールを使用する可能性が最も低く、2023年第3四半期では39%だった。一方、10年未満の経験者の約60%はLCNCツールを使用していた。特に、3〜5年の経験を持つ開発者の66%がLCNCツールを使用していた。
SlashDataは「全体的には経験年数を問わずLCNCツールの採用は増加しているが、特に若い世代の開発者は、新しいLCNCツールを積極的に採用している傾向がある。ベテラン開発者も少しずつLCNCツールの導入を進めつつある」と述べている。
開発者の性別によるLCNCツールの使用状況
2023年第3四半期では、女性開発者の70%がLCNCツールを開発業務に使用しており、男性開発者(53%)を上回っていた。一方、2022年第1四半期から2023年第3四半期にかけての増加率は、男女ともに変わらなかった。
SlashDataは「ソフトウェア開発の新参者は、そのユーザーフレンドリーな性質と参入障壁の低さから、LCNCツールを採用する傾向が強い。デザイナーやプロジェクトマネジャーなど、コアコーディングに隣接する役割のチームメンバーも、LCNC技術を採用する傾向がある。これらのチーム内では、女性開発者が男性開発者よりも多い。性別だけでなく、経験年数やチームの役割が、LCNCツールの重要な推進要因であることも浮き彫りになった」と述べている。
ソフトウェア開発分野に基づくLCNCツールの使用率
ゲーム/VR
ソフトウェア開発分野別に見ると、ゲーム開発におけるLCNCツールの使用率は2022年第1四半期は52%で、2023年第3四半期は66%だった。VR(仮想現実)にLCNCツールを使用する開発者は2023年第3四半期で78%であり、2022年第1四半期の68%から増加していた。
SlashDataは、VR開発者の多くがLCNCツールを利用する要因として「VRコンテンツ制作に求められる迅速なプロトタイピングと反復」および「VR業界はソフトウェア開発の経験が5年未満の開発者で主に構成されていること」を挙げている。
Webアプリ/SaaS
Webアプリ/SaaSとバックエンドサービスは、LCNCツールを採用する可能性が最も低く、2022年第1四半期では45%、2023年第3四半期では52%にとどまった。SlashDataは「Webアプリ/SaaSの分野には、確立された開発フレームワークと方法論があり、LCNCツールがもたらす柔軟性や制約が、Webアプリ/SaaS開発者のニーズと合致していない可能性がある」と考察している。
SlashDataは、ほとんどのソフトウェア開発分野でLCNCの導入が進んできており、今後、コードが非常に複雑な分野でもLCNCツールの導入が進む可能性があるとの見通しを示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 過半数のベンダーが10%を超える成長 ITRが国内のローコード/ノーコード開発市場を予測
ITRは、国内のローコード/ノーコード開発市場規模の推移と予測を発表した。同社は同市場のCAGR(2022〜2027年度)を14.0%、2025年度には市場規模が1000億円を超えるとみている。 - ローコード/ノーコード市場の急拡大で開発者の仕事はどうなる?
IDCによると、ローコード、ノーコード、インテリジェント開発技術(LCNCIDT)の世界売上高は2026年には210億ドルに伸び、2021〜2026年の年平均成長率(CAGR)は17.8%になる見通しだ。 - 誰がローコード/ノーコードツールを使っているのか、SlashData調査
SlashDataの調査によると、開発者の半数弱がローコード/ノーコード(LCNC)ツールを使用していることが分かった。開発作業の何%で使用しているのか。開発経験年数との関係は、どうなっているのか。