Google、Matter規格に対応するスマートホームアプリを開発できる「Home API」「Homeランタイム」を発表:既存アプリ、デバイスでもスマートホーム機能を組み合わせて新たな価値を提供可能に
Googleは、スマートホームアプリケーション開発やスマートホームとの統合を支援する「Home API」「Homeランタイム」を発表した。全ての開発者が「Google Home」向けの製品やアプリを開発、提供できるようになるとし、5つのポイントを解説した。
Googleは2024年5月15日(米国時間)、スマートホームアプリケーションの開発やスマートホームとの統合を支援する「Home API」と「Homeランタイム」を発表した。
Home APIはAndroidとiOSの両方に対応しており、アプリ開発者は6億台以上のデバイス、Googleのハブ、スマートホーム規格「Matter」のインフラ、そしてGoogleのオートメーションエンジンにアクセスできるようになるという。
Googleは、Home APIとHomeランタイムに関する5つのポイントを次のように解説している。
1. 全ての開発者が「Google Home」で動作するアプリを構築可能に
「Google Home」は開発者とユーザーが深い関係を築くための機会を提供している。しかし、スマートホーム向けアプリの開発は困難だ。多くのデバイスメーカーとの連携、Googleのハブ、Matterファブリック(Matterにおけるデバイス間通信のプロトコル)、デバイスから送られる信号(データやイベント)によって駆動するオートメーションエンジンとの統合が必要になるためだ。
Home APIを使用することで、スマートホームデバイス専用アプリだけでなく、フィットネスアプリや宅配アプリなどスマートホームとは無関係なアプリでも、スマートホームを組み合わせた新たな価値を提供できるようになる。
2. アプリから6億台以上のデバイスにアクセス
新しい「Device API」と「Structure API」を使用することで、6億台以上のデバイスにアクセスできるようになる。自宅でも外出先でも、Matter対応電球や「Nest Learning Thermostat」など、既にGoogle Homeに接続されているデバイスを制御、管理できる。
さまざまなスマートホームシステムや機能を管理する複雑なアプリを構築することができるし、スマートデバイスと統合して配達員が到着する前に自動的に電球を点けるなど簡単な統合もできる。
Home APIは、業界標準のベストプラクティスを採用しており、プライバシーとセキュリティを念頭に設計されている。ユーザーは以下のような方法で制御できる。
- アクセス許可:アプリがスマートホームデバイスや情報にアクセスする前に、ユーザーはアクセスを許可する必要がある。ユーザーは自分のデータがどのアプリに使用されるかを制御できる
- アクセス許可の取り消し:Google Homeアプリを使用して、いつでも簡単にアクセス許可を取り消すことができる
- 開発者の事前認証:Home APIを採用する開発者は、アプリの公開前に認証を受ける必要がある。これにより、ユーザーのプライバシーとセキュリティを確保する

「Commissioning API」を使用すると、アプリやGoogle Homeアプリ、AndroidのFast Pairを使用してMatterデバイスをセットアップできるようになる。これにより、時間とリソースを節約することもできる(提供:Google)
3. Google独自のインテリジェンスで家庭内を自動化
新しい「Automation API」を使用すれば、Google Homeの新しいオートメーションエンジンとデバイスの信号を活用して、アプリでホームオートメーションを作成、管理できる。
オートメーションは、モーションセンサーからのイベント、家電のモード変更、スマートTVのメディアイベントなど、デバイスから送信される信号によってトリガーされる。家中のデバイスからの信号を融合させて、より正確な在宅検出を実現することもできる。
4. テレビもGoogle Homeのハブに
Google Homeのハブは、Wi-FiやThreadといった無線を通じてMatterデバイスのリモートアクセスやローカルコントロールを可能にしている。Home APIを使用することで、ユーザーが自宅にいるか外出中かにかかわらず、Google Homeのハブネットワークを使用してMatterデバイスを制御できる。
2024年後半に実施予定のハブのアップグレードで、Homeランタイムが導入される。これにより「Chromecast with Google TV」、Android 14以上の「Google TV」を搭載した一部のパネルテレビ、対象となるLGブランドのテレビが、Google Homeのハブとして機能するようになる。
5. 多様なアプリによる楽しい体験
Googleは、照明、セキュリティ、自動車、エネルギー、エンターテインメントなど幅広いブランドと協力し、利便性の高いシームレスなスマートホーム体験を生み出している。
2024年秋をめどにHome APIで構築された最初のアプリがGoogle PlayストアとiOSのApp Storeで公開される予定だ。Home APIやHomeランタイムを利用したい開発者は、ウェイティングリストに登録する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ガートナーは「IoTプラットフォームが熱い」と分析 企業はDX推進のためにどのような技術を導入しているのか
ガートナージャパンは、国内企業のDX推進技術の導入状況に関する調査結果を発表した。それによると最も導入されているDX推進技術は「IoTプラットフォーム」だった。国内企業400社に聞いたIoTプロジェクトの達成度 「想定通り達成」は22.2%
IDC Japanは、「2024年 IoT担当者調査」の結果を発表した。それによると、“製品のIoT化”などの取り組みは進んでいるものの、IoTプロジェクトの目的達成については課題を感じている企業が多かった。Society 5.0に必要不可欠な「IoT」の課題や可能性を知っておこう
IT用語の基礎の基礎を、初学者や非エンジニアにも分かりやすく解説する本連載、第18回は「IoT」です。ITエンジニアの学習、エンジニアと協業する業務部門の仲間や経営層への解説にご活用ください。