「Windows Server 2025」一般提供開始 セキュリティを強化し、サーバ運用を効率化する新機能とは?:高度なセキュリティ、性能向上、クラウドの俊敏性を実現
Microsoftは、Windows Serverの最新バージョンとなる「Windows Server 2025」の一般提供を開始した。
Microsoftは2024年11月4日(米国時間)、サーバOSの最新バージョン「Windows Server 2025」の一般提供を開始した。
「Windows Server 2022」の後継バージョンであるWindows Server 2025は、高度な多層セキュリティ、どこでも利用できるクラウドの俊敏性に加え、優れたAI(人工知能)機能、パフォーマンス、スケーラビリティにより、企業が必要とするセキュリティ、パフォーマンス、柔軟性を提供するという。
Microsoftは、Windows Server 2025の主な特徴を次のように説明している。
高度な多層セキュリティ
Windows Server 2025は、データとインフラを保護する以下のようなセキュリティ機能を提供する。
「Active Directory」(AD)
ADのスケーラビリティが向上している他、プロトコル、暗号化、堅牢(けんろう)化、新しい暗号サポートといった機能の改善により、進化する脅威からの防御が強化されている。
ファイルサービス/サーバメッセージブロック(SMB)の堅牢化
インターネット経由での安全なファイル共有を可能にする「SMB(Server Message Block) over QUIC」が導入されている。ファイアウォールのデフォルト設定の厳格化、ブルートフォース攻撃の防止および中間者攻撃、リレー攻撃、なりすまし攻撃に対する保護も図られている。
delegate Managed Service Accounts(dMSA:委任された管理サービスアカウント)
dMSAは従来のサービスアカウントとは異なり、ADが自動的にパスワードを管理するため、手動でのパスワード管理が不要だ。dMSAにより、ドメイン内のリソースにアクセスするための特定の権限を委任できる。セキュリティリスクの軽減や、サービスアカウントの活動の可視化とログの改善が可能になる。
どこでも利用できるクラウドの俊敏性
Windows Server 2025では以下のように、さまざまな環境における運用の柔軟性と接続性を高めるように設計された先進的なハイブリッドクラウド機能が導入されている。
「Azure Arc」によるホットパッチ
このサブスクリプションサービスにより、オンプレミスでWindows Server 2025を使用する顧客も、完全なクラウド環境で提供されるホットパッチ機能の一部を利用できる。
Azure Arcは、マルチクラウドとオンプレミスで一貫した管理プラットフォームを提供し、ガバナンスと管理を簡素化するソリューション。ホットパッチは、Windows Serverのセキュリティ更新プログラムを提供するとともに、顧客の再起動の回数を減らし、運用の中断を最小限に抑える機能だ。
Azure Arcの容易なオンボーディング
Windows Server 2025はAzure Arcを通じて、Microsoft Azureの強力な機能を顧客のデータセンターに直接提供する。この統合により、Microsoft Azureのハイブリッド機能へのオンボーディングプロセスが簡素化され、運用の柔軟性が向上するため、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境をより効率的に管理し、保護できる。
ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)のマルチサイト機能
ネイティブなL2およびL3接続を提供し、統合ネットワークポリシー管理との組み合わせにより、さまざまなロケーション間でのシームレスなワークロード移行を実現する。
優れたAI機能、パフォーマンス、スケーラビリティ
Windows Server 2025は、AIや機械学習(ML)など、最も要求の厳しいワークロードを処理できるように設計されており、以下のような機能を提供する。
「Hyper-V」とAI、ML
GPUパーティショニングのビルトインサポートと、分散環境全体で大規模データセットを処理する機能により、Windows Server 2025は、従来のアプリケーションと高度なAIワークロードの両方に対応し、ライブマイグレーションと高可用性をサポートする高性能プラットフォームを提供する。
NVMeストレージのパフォーマンス
Windows Server 2025はWindows Server 2022と比べて、同一システム上でストレージのIOPS(1秒当たりのI/O)を最大60%向上させる。
Storage Spaces Direct(記憶域スペースダイレクト:S2D)とストレージの柔軟性
Windows Server 2025では、Native ReFS(Resilient File System)の重複排除と圧縮、シンプロビジョニングされたStorage Spaces、Storage Replica Compression(記憶域レプリカの圧縮)といったストレージイノベーションを利用できる。
System Center 2025を提供開始
Microsoftは、システム運用管理スイート製品「System Center 2025」の一般提供も開始した。
「企業はSystem Center 2025を活用することで、Windows Server 2025の新機能を最大限に生かし、インフラと仮想化されたソフトウェア定義データセンターを最適に運用できる」と、Microsoftは述べている。
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