Hyper-VはWindows Server 2025でどのように進化するか? Microsoftが明かす:GPUパーティショニングとワークグループクラスタを導入
MicrosoftはHyper-Vの今後とWindows Server 2025の将来について紹介した。物理GPUを分割して複数の仮想マシンで共有できるGPUパーティショニングなどが導入される予定だという。
Microsoftは2024年3月4日(米国時間)、同社公式ブログで、「Hyper-V」の重要性と「Windows Server 2025」における進化について紹介した。説明は以下の通り。
Hyper-VはMicrosoftのハードウェア仮想化製品だ。仮想マシン(VM)を実行することができる。コンピューティングリソースが必要な場合、仮想マシンは柔軟性を高め、時間とコストを節約し、物理ハードウェア上で1つのオペレーティングシステムを実行するよりも効率的にハードウェアを使用できる。
セキュリティ強化にもつながるHyper-V
Hyper-Vはプラットフォームセキュリティのためにも活用される。仮想化ベースのセキュリティ(VBS)は、ハードウェア仮想化とハイパーバイザーを使用して、カーネルが侵害される可能性を想定した、隔離された仮想環境を作成する。Windowsは、この隔離された環境を使用して、幾つかのセキュリティソリューションをホストすることにより、脆弱(ぜいじゃく)性や悪意のあるエクスプロイト(脆弱性を利用した攻撃)に対する保護を強化できる。
さらにHyper-Vはコンテナにも使用される。コンテナ用のHyper-V分離は、セキュリティを強化し、ホストとコンテナのバージョン間での互換性を広げることができる。Hyper-V分離では、複数のコンテナインスタンスがホスト上で同時に実行されるが、各コンテナは独自の仮想マシン内で実行される。仮想マシンにより、コンテナ間、コンテナとホスト間を分離できる。
AzureにおけるHyper-V
Hyper-VはMicrosoft全体と「Microsoft Azure」で使用されており、Azureの機能を他の製品で採用できる。例えば、Azureは、さまざまなCPU、メモリ、ネットワーク、ストレージ、GPU構成を含む多様な仮想マシンオプションを提供し、計算負荷の高いタスク、グラフィックス、ビジュアライゼーション、AI(人工知能)などのワークロード要件に対応している。
GPUを搭載した「Azure Virtual Machines」は、シングルGPUまたはフラクショナルGPUを利用可能で、仮想デスクトップからAIまで、計算集約型、グラフィックス集約型、可視化ワークロード向けに設計されている。AzureでGPUを搭載した仮想マシンを採用するには、Hyper-Vの変更が必要だったという。
GPUの柔軟な割り当てが実現
Windows Server 2025では、GPUパーティショニング(GPU-P)が導入される。高可用性とライブマイグレーションを維持しながら、GPUをパーティショニングして仮想マシンに割り当てることができる。
Microsoftは、GPU-Pのメリットについて「GPU-Pは柔軟で、パーティション化されたGPUを搭載した仮想マシンを2台のスタンドアロン/サーバ間でライブマイグレーションできる。クラスタは不要で、テスト環境や開発環境にも最適である」と述べている。
Windows Server 2025は、エッジでのHyper-V導入を簡素化することを目的としたワークグループクラスタを導入する。クラスタリングに「Active Directory」が必要だった「Windows Server 2022」以前のバージョンとは異なり、ワークグループクラスタはActive Directoryから独立して動作するため、エッジ環境に適している。証明書ベースのソリューションであるワークグループクラスタを導入することで、Active Directoryに関連する複雑さを排除し、遠隔地であっても簡単に小規模なクラスタを展開できるようになるという。
Windows Server 2025 Insider Preview
Windows Server insiderビルドがインストールされている場合、[設定]から[Windows Update]に進み、アップデートを確認することができる。これにより、新しいビルドへのアップデートが機能アップデートとして提供される(「インプレースOSアップグレード」とも呼ばれる)。
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