「少しうまくいき過ぎている……」と不安になることがある:Go AbekawaのGo Global! 隈元さん From日本 toカナダ(後)(3/3 ページ)
思いがあれば、意識が変わり、行動が変わる。その思いの強さが、青年をカナダに導き、定着させた。
ラッキーになれる場所に身を置くことは非常に大事
編集部鈴木 海外で働いてみて、想定外だったことはありますか?
隈元さん うれしい発見は、周りの人たちの忍耐強さでした。カナダに来たばかりの頃は毎日頭をフル回転させて、みんなの言うことを理解しようとしていました。でも周囲も僕を理解しようとしてくれていて、簡単な英語で説明してくれたり、僕が理解できなかったことを別の表現に直したりしてくれました。
礼儀と感謝を持って接すれば、向こうも合わせてくれます。カナダも米国も移民の国なので、そういうやりとりに慣れていて、社会として外部の人を受け入れる態勢が整っています。UiPathのグローバルの人たちも、日本人と変わらないくらいフレンドリーで協力的にサポートしてくれて、それも驚きでした。
阿部川 グローバルな仲間とはどのような交流があるのですか?
隈元さん 最近UiPath創業の地、ルーマニアで開催された「カルチャーチャンピオンプログラム」に参加しました。UiPathのカルチャー「Be Fast, Bold, Humble & Immersed(素早く、大胆に、謙虚に、熱中する)」を体現していると認められた人が参加できるプログラムで、世界中のいろいろな部門の人たちと交流してきました。このままグローバルな仲間やお客さまと、いろいろな問題解決をしていきたいです。
阿部川 ずっと楽しかったことや感謝していることをお話しされていますが、そうはいってもつらいこととかあったんじゃないですか?
隈元さん ありません(キッパリ)。
阿部川 即答ですね(笑)!
隈元さん いろいろな経験をさせてもらえて、ずっと楽しいんですよね。入社時はRPAを通じてお客さまの複雑な問題解決に関われることが純粋に楽しかった。RPA自体も社会に浸透してきましたが、ここに来て、RPAと生成AI(人工知能)の組み合わせでさらなる可能性が広がる時代が到来しています。毎年のように新しい経験をさせてもらい、飽き性の僕にはとても合っています。
阿部川 これからどんな仕事やキャリアを思い描いていますか。
隈元さん テクノロジーの進歩が速過ぎて、10年後が想像できないのです。ただ何らかの技術で問題解決する分野の最前線に身を置きたいと思っています。でも進化が速過ぎて、具体的には見えないですね。自分が熱中できるものを扱えるところに身を置いていたいです。
阿部川 日本の若いエンジニアにアドバイスするなら?
隈元さん 政治経済で有名な広瀬隆雄さんが配信で「ラッキーになれる場所を探せ」とおっしゃっていました。みんな何かを達成する力を持っているが、環境により何を達成できるかが変わる。もし、いまあまり良い環境にいないのであれば、成功する機会を失っているかもしれない。ちょっと広い目線で、いまいる場が自分の最終目標、人生で達成したいことに近づける場所にいるのかと常に疑問を持ち続けるといいと。
「苦労は買ってでもやれ」という格言の通り、「ここに自分が求めるものへの機会がある」と思ったら、たとえ大変でも飛びつくこと。ラッキーになれる場所に身を置くことは非常に大事だと思います。
阿部川 ラッキーな場所に身を置きなさいということですね。
Go’s thinking aloud インタビューを終えて
長年インタビューを生業(なりわい)にしていると思う。人は見掛けによると。前向きに歩んでいる人は出会った瞬間に分かる。新しい出会いを楽しんでいるのが、目の輝きに宿るからだ。
隈元さんは、作り出すことが楽しくて、図工の時間に熱中した。その思考はごく自然に、プログラミングに向かった。コミュニケーションが楽しくて、高校、大学と海外でも学んだ。英語に興味があったわけではなかったが、ブリティッシュコロンビア大学からビジネス英語の国際資格も習得した。海外に支社があったわけではないが、志願したらUiPathジャパンの仕事を、奥さまの故郷のカナダでやることになった。経営陣が具現化した“Fast”で“Bold”(※)な決断であり、Generative AI Solutions Architectという独自のポジションも与えられた。
楽しめることを続けて、しかも結果を出していれば、必ず誰かが見いだしてくれる。リーダーとの出会いがあれば、より高いチャレンジが与えられ、それがまた正のスパイラルを産む。
適材適所というが、何ができれば適材で、どのポジションが適所かは一筋縄では分からない。しかし確実なことは、仕事を楽しくやれて、結果が出せることだ。そんな人には、年齢性別経験国籍関係なく、機会と権限、責任を早く与えることだ。ICT業界は、AIによって大きく変わりつつあるのだから。
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