F5、主要3プラットフォームで生成AIによるコード自動生成を横断的に利用可能に:AIを活用したさまざまな部門を横断的に支援する
iRulesのコード生成などを通じ、開発や運用管理の迅速化、高精度化を実現し、XOpsを強力に支援する。
F5ネットワークスジャパンは2025年8月8日、生成AI(人工知能)を活用してiRulesのコードを生成できる「F5 AIアシスタント(F5 AI Assistant)」機能を、複数のプラットフォーム製品で横断的に利用可能にしたと発表した。米国では2025年7月15日に発表、同日から利用が可能になっている。
具体的には、ADC(Application Delivery Controller)製品の「BIG-IP」、クラウド環境でネットワークやセキュリティサービスを提供するSaaS製品「F5 Distributed Cloud Services(XC)」、WebプロキシやHTTPサーバ、APIゲートウェイを提供する「NGINX One」で利用可能となる。
F5 AI Assistantは、2024年12月にF5 XC向けに提供された。自然言語でF5 XCを設定したり、自動化したりできることが特徴で、リリース時にはセキュリティとネットワークタスクの自動化や簡素化、パフォーマンス改善、健全性確保、可視化、推奨事項の提案などが提供されていた。今回の生成AIによるコード生成は、BIG-IPを制御するiRulesのコードを生成する機能で、2025年2月の自社イベント「AppWorld 2025」で発表、プレビュー版が提供されていた。
iRulesは、TCL(Tool command language)言語をベースにしたF5の独自言語で、条件に応じて負荷分散の設定を変更するなど複雑なトラフィック処理を実現できる。iRulesコード生成機能は大きく、説明、生成、最適化の3つに分けられる。
プレビュー版のデモ動画では、大量のDNSクエリが発生したときにアクセスを拒否するiRulesコードについて説明したり、HTTPリクエストをHTTPSリクエストに自動変換するルールを生成したりする様子を示している。最適化は、デバッグやトラブルシューティングの際に、生成AIが複雑なプロセスを簡素化するといったものだ。
これにより、複雑なiRulesを数分で生成・検証できるため、デプロイメントまでのリードタイムを短縮できる他、人的ミスによる設定エラーや見落としも削減できる。同社では、「DevOpsやセキュリティ運用(SecOps)、ネットワーク運用管理(NetOps)、プラットフォーム運用(PlatformOps)、CISO(最高情報セキュリティ責任者)の意思決定に役立つ」としている。
F5は2025年6月にはRed Hatとの戦略的協業を発表し、同社製品とRed Hat Open Shift AIを連携させるなど、AI適用を加速させている。ハイブリッド/マルチクラウド化が進み、セキュリティ、ネットワーク運用には一層の効率化、高度化が求められているが、本件のようなツールの自然言語インタフェース化は、スピード、正確性、効率性だけではなく、エンジニアの負荷低減、スキルギャップ緩和という側面でも期待されるところだ。
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