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富士通、日立製作所、NEC、NTTデータ──IDC発表の国内ITサービス市場ベンダー売り上げランキング「エージェンティックAIの関連技術が急速に進化している」

IDC Japanが2024年の国内ITサービス市場売上ランキングを発表。上位ベンダーは高い成長を遂げ、生成AIが市場構造を変革する中、AI駆動型組織への支援が今後の鍵となる。

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 IDC Japanは2025年7月30日、2024年の国内ITサービス市場ベンダー売り上げランキングを発表した。上位6社は、1位から順に、富士通、日立製作所、NEC、NTTデータ、IBM、アクセンチュアだった。

 前年4位だった日立製作所は前年比売上額成長率13.3%と高い成長を遂げ、2位に浮上。日立製作所、NEC、NTTデータの国内ITサービス売上額は小差だという。

 サービスセグメント別に見ると、全セグメントで上位10社のベンダーが全てプラス成長だった。


国内ITサービス市場 主要ベンダーサービスセグメント別売上額、2024年(提要:IDC)

 IDC JapanではITサービスを3つに分類しており、ITコンサルティング、システム開発などプロジェクト契約によって提供されるITサービスを「プロジェクトベース」、情報システムの運用サービスやホスティングサービスを「マネージドサービス」、ハードウェア/ソフトウェア保守やIT教育サービスを「サポートサービス」と呼んでいる。

 プロジェクトベース市場は、デジタルビジネス化に向けた基幹システムの刷新、新規システムの構築需要が旺盛で、上位10社中5社の前年比売上額成長率が10%以上のプラス成長だった。

 マネージドサービス市場では、前年までのプロジェクトベースのビジネスの後続としての運用サービス案件の獲得、契約更改時のサービス価格の上方改定などが各ベンダーの売り上げ伸長に寄与した。

 サポートサービス市場では、デジタルビジネス化に向けたソフトウェア販売の拡大や2023年以降の半導体不足影響の緩和による製品販売の回復などが共通的な成長要因となった。

 産業分野別に見ると、金融、製造、政府/公共の各分野では、上位10社の売上合計額の前年比成長率が7%を超え、相対的に高い成長を示した。中でも政府/公共は、中央官庁向けの大型案件がけん引役となり、上位10社中5社が前年比で10%を超える売り上げ成長を記録した。金融分野では大手銀行向けを中心とした既存システムの更改案件が、製造分野では「SAP S/4HANA」への移行を含むシステム刷新案件が、それぞれベンダーの売り上げ拡大に寄与した。

 ITサービス市場は、生成AI(人工知能)やエージェンティックAIの登場で、ビジネスモデルやサービス提供モデルが変わるとも言われている。これについて、IDC Japan、Software&Servicesのシニアリサーチアナリストである村松大氏は、「基幹システムのアプリケーションモダナイゼーションが本格期を迎える中、エージェンティックAIの関連技術が急速に進化している。ITサービスベンダーでは、顧客のAI駆動型組織への進化を見据えたモダナイゼーション支援が重要になる。また、その先の展望として、AIエージェントおよび関連システムの連携/運用を継続的に支援する『AI統合サービスプロバイダー』としての価値提供モデルを検討する必要がある」と述べている。

 ランキング上位のベンダーでは、富士通のAIソリューション「Fujitsu Kozuchi」、日立製作所のAI推進組織「Generative AIセンター」やプラットフォーム「Lumada」、NECの生成AI「cotomi」、NTTデータの「Smart AI Agent」など、AI/生成AI/エージェンティックAIの取り組みに力を入れている。どのように新しい価値提供モデルを提供できるかで、ベンダーの評価も変わってくることになりそうだ。

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