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過熱するデータセンター需要、試される社会経済貢献HPEとKDDIはどう応えるか

大阪堺データセンター、「社会インフラ」としての要件をどう満たすか。

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 AI(人工知能)技術の急速な進化により、大規模かつ高性能なAI基盤の構築が急務となっている。これを受けて、グローバルでデータセンターニーズが過熱しているが、昨今はパフォーマンスだけではなく、雇用創出などの地域貢献、環境負荷低減など社会インフラとしての要件が求められている。また、2025年4月にはIEA(国際エネルギー機関)が「2030年までに世界のデータセンターの電力消費量は約9450億kWhと2024年水準から倍増する」と発表。データセンター事業者には電力消費効率向上も期待されている。

大阪堺データセンター NVIDIA Blackwellチップ搭載ラックスケールシステムを導入

 日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)が2025年6月26日、米国ラスベガスで開催したイベント「HPE Discover」で「年内稼働開始に向けてKDDI(東京都千代田区)と連携していく」と発表した「大阪堺データセンター」もそうした潮流の一つだ。

 NVIDIA Blackwellチップを搭載したラックスケールシステムを導入・運用し、AI領域に強く、環境負荷に配慮した高性能データセンターを構築するという。大阪堺データセンターを活用したサービスのマーケティングに関しても2社で連携し、AIソリューションの社会実装を加速させていく。

 大阪堺データセンターに導入する「NVIDIA GB200 NVL72 by HPE」は、NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティング、ネットワーキング、ソフトウェアを備えたラックスケールシステム。直接液冷技術により、大規模かつ複雑なAIクラスタ構築を可能にする高度なパフォーマンスとエネルギー効率を両立するという。導入後は、HPEの空冷と直接液冷を併用するハイブリッド型冷却技術を活用し、パフォーマンスとエネルギー効率のさらなる最適化を図る。

 KDDIは大阪堺市にあったシャープ堺工場の土地・建物を活用し、兆単位パラメーターの大規模生成AIモデルを高速開発できるAIデータセンター建設を進めており、サービスブランド「WAKONX」を通じて、GPUサーバをクラウドベースで利用できる新サービス提供を目指している。

 両社は今後も連携を強化し、環境への影響を最小限に抑えたAIインフラ環境構築とサービスの高度化に取り組んでいくという。稼働開始予定が迫る中、企業のAI実装と同時に、両社の取り組みによる社会や地域経済への貢献も注目される。

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