Kyndrylは2025年9月9日(米国時間)、第3回「メインフレームモダナイゼーション状況調査レポート」の結果を発表した。本調査は500人のビジネスおよびITリーダーを対象に実施された。急速に変化するデジタル環境におけるメインフレームの役割を明らかにしたという。
調査によると、メインフレームのモダナイゼーションやクラウド統合、他プラットフォームへのワークロード移行などのプロジェクトでは、288〜362%という高いROI(投資利益率)が報告されている。80%の企業が過去1年間で市場動向や新規制、新技術に対応するためにメインフレームのモダナイゼーション戦略を見直していることも判明した。
AI(人工知能)の位置付けが「将来の検討事項」から「現代のビジネス推進力」へと変化していることも判明した。約90%の企業がメインフレーム上で生成AIを導入済み、または導入を計画中であり、今後3年間で130億ドルのコスト削減と200億ドルの収益増加を見込んでいる。さらに56%がハイブリッド環境におけるAIの新たな価値を認識し、プラットフォーム利用の増加を報告した。
Kyndrylのコア・エンタープライズ グローバルプラクティスリーダーであるハッサン・ザマト氏は「メインフレームはAIを活用したハイブリッド戦略の中核として、数十億ドル規模の収益を生み出し、企業のイノベーションを後押ししている」とコメントしている。
一方で課題も残る。70%の企業がモダナイゼーションを推進できるマルチスキル人材の確保に苦戦し、74%がサードパーティーのプロバイダーを活用している。さらに94%が規制順守の影響を強く受け、セキュリティを依然として「根本的な懸念」と位置付けている。
本発表からは多くの企業が生成AIに積極的なことがうかがえるが、こうした調査データも含めて、「自社の場合はどうなのか」情報を見据える冷徹な視点も求められる。
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