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何を選んでいいか分からない 「VMwareの後継製品探し」が難しい理由とはITインフラ運用変革のチャンスと考えよう

「脱VMware」の動きが活発化する中、移行先の製品選定の難しさに直面する企業が後を絶たない。○×表を作って機能を比較するだけでは、自社にとっての最適解が見えにくいのだ。移行を「ITインフラ運用を変革するチャンス」と捉え、効果的な解決策を見いだすためのヒントを紹介する。

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 これまでVMware by Broadcom(以下、VMware)の仮想化基盤を利用してきた企業の間で、後継製品を検討する動きが活発化している。だが、選択の決め手を見つけられていない企業は多い。ハイパーバイザーで考えると、ユーザー企業の視点ではどの製品も大きな違いがないように映り、「どの製品を選んでいいか分からない」ということになりがちだ。

 移行に当たって検討すべき要件としては、機能、性能、初期コスト、運用コスト、信頼性、セキュリティ、運用管理、サポートなどが挙げられる。しかし比較表を作ってみたところで「自社にとっての正解」がなかなか見えてこないのが現状だ。

 ではどうしたらいいのか。まず、これまでのVMware製品の運用が理想的だったのかを考えたい。運用の負荷や硬直化が理由で、社内ユーザーの要望に迅速に応えられないといったことはなかっただろうか。これまでのIT運用課題を解決するという視点を持てば、目的を持った後継製品選びができるだろう。

「仮想化基盤検討」はITインフラ運用変革のチャンス

宮川氏
SB C&Sの宮川慎治氏(ICT事業本部 システム基盤推進本部 ソリューション販売推進統括部 パートナー販売推進部 部長)

 SB C&Sの宮川慎治氏も、「仮想化基盤検討」はITインフラ運用変革のチャンスだと考える一人だ。

 「現状に問題があるから仕方なく移行先を探すという発想ではなく、既存のアップグレードや新しい製品を導入することでそのメリットを最大化するという発想が重要だと思っています。検討をネガティブに捉えるのではなく、将来を見据えた新しいチャレンジだとポジティブに考える。そうすることで、新しい利用モデルや運用スタイル、新しいライフサイクル管理の導入、意識改革などにつなげられます」

 宮川氏が語る「新しい利用モデルや運用スタイル、ライフサイクル管理」の一例は、クラウドネイティブなITインフラ管理のアプローチだ。サブスクリプションモデルやコンテナの活用、DevOpsの要素を取り入れた運用管理、セキュリティ管理などを推進する。これにより、単なる仮想環境の検討が、事業貢献の取り組みに発展する可能性も出てくるという。

 「これは既存継続のアップグレードだけでなく、変革にも当てはまる話です。現在、選定に関する議論はハイパーバイザーが中心です。しかし導入メリットを重視するなら、検討すべきことは『どのハイパーバイザーがいいか』ではありません。自社にとって必要な機能や契約形態は何か、将来にわたってどのような運用スタイル、ライフサイクル管理をするかを、いまこのタイミングで描いていくことが重要です」

 そうした取り組みの解の一つに、Nutanixのソフトウェア(Nutanix Cloud Platform)とHPEのハードウェアを組み合わせたソリューションがあるのではないかと話す。

Nutanix Cloud Platformは“サービス”として使えるようになっている

 将来的なビジョンを描いてポジティブに移行計画を進める際にも、機能やコスト、信頼性は重要な要件であることに変わりはない。特にコストは、部門サーバや拠点サーバなど小規模な構成で仮想化基盤を運用するユーザーにとって極めて深刻な課題だ。では、Nutanixはコストの課題にどう応えてくれるのか。Nutanixソフトウェアのコストメリットについて、ニュータニックス・ジャパンの田口恭平氏はこう話す。

田口氏
ニュータニックス・ジャパンの田口恭平氏(パートナー営業統括本部 第二営業本部 MSPセールススペシャリスト)

 「Nutanixというとオンプレミス向けのハイパーコンバージドインフラ(HCI)で最低3ノード構成からというイメージを持たれているお客さまが多いですが、現在はエッジコンピューティング用に1ノード構成も提供していますし、『Amazon Web Services』(AWS)や『Microsoft Azure』などのパブリッククラウド上で動く『Nutanix Cloud Clusters』(NC2)というクラウド向け基盤も提供しています。

 仮想マシン単位で利用したいというユーザー企業さま向けには、ITパートナー経由でNutanix Cloud Platformをサービスとしてご利用いただくという選択肢があります。サービス形式ですので、Nutanixソフトウェアの詳しい知識をお持ちでなくても使えます。ITパートナーが自社のデータセンターに構築したNutanix環境から仮想マシンを払い出す形式や、オンプレミスに置いたサーバ上でNutanixソフトウェアをマネージドサービスとして使えるものがあります。後者の場合でも、初期費用不要で始められるものもあります。導入から運用、サポートまで含めてITパートナーが大きな力になってくれます。当社はITパートナー向けに『サービスプロバイダー向け従量課金モデル』を提供しており、ニーズに合わせたビジネス展開を支援しています」

 このように、企業の規模にかかわらず、コストに見合った製品やサービス、ライセンスを柔軟に組み合わせて利用できるというわけだ。Nutanixの製品・サービスも、従来のHCIベンダーのイメージからは想像できないほど多様になっている。

 「基本の環境となる『Nutanix Cloud Infrastructure』(NCI)をベースに、データベースの『Nutanix Database Service』(NDB)、ストレージの『Nutanix Unified Storage』(NUS)、コンテナ環境の『Nutanix Kubernetes Platform』(NKP)、AI基盤の『Nutanix Enterprise AI』(NAI)などを提供します。用途に合わせてさまざまな機能とサービスを組み合わせ、ユーザー企業さまごとに適した環境を柔軟に構成できます」(田口氏)

仮想マシンの移行や仮想化基盤のアップグレードを数クリックで自動化

友松氏
SB C&Sの友松桂吾氏(ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 1課)

 既存の仮想化基盤をNutanix製品に移行する場合、どのような作業が発生するのか。SB C&Sのエンジニアで、コミュニティープログラムのNutanix Technology Championsにも参画する友松桂吾氏はこう話す。

 「Nutanixソフトウェアのアーキテクチャから具体的な使い方まで、お客さまからは非常に多くの問い合わせをいただきます。Nutanix社は移行ツールとして『Nutanix Move』(以下、Move)を提供しています。これを使うと、『VMware vSphere』をはじめとするさまざまな仮想化基盤から『Nutanix AHV Virtualization』(以下、AHV)の環境に、仮想マシンをほとんど自動で移行できます。Moveは仮想アプライアンスとして提供されます。AHVでアプライアンスを稼働させ、移行元に接続して移行したい仮想マシンや移行方法を選択すると、システムから設定、データまで驚くほど簡単に移行してくれます。移行で必要になるストレージやNICのドライバも自動でインストールし、IPアドレスも自動で再設定してくれます。移行テスト機能も搭載されており、よく作りこまれたツールです。Moveの使いやすさを評価してNutanix製品を導入するお客さまもいるほどです」

 SB C&Sが把握しているだけでも、Nutanix環境の導入では、移行方法としてMoveが使用されるケースが多いという。通常の仮想マシン移行で必要になるディスクイメージへのエクスポートやインポートは必要ない。バックアップ製品を使った移行のように、ターゲットストレージを作成して、バックアップを取得し、それをリストアするといった作業も不要だ。これらの従来手段では数時間かかる作業が、Moveなら数分で終わることも多々あるという。

 Nutanixソフトウェアの魅力は、こうした移行のしやすさだけではない。特に大きなメリットとなるのが、新しい運用スタイルやライフサイクル管理の適用による『運用の変革』だ。これは、Nutanixが創業以来提供してきた『運用の手間や基盤管理に関わる工数を削減し、他の業務により多くの時間を割けるようにする』という価値に直結する。友松氏はアップデート作業を例に挙げ、次のように説明する。

 「Nutanixのソフトウェア、ハイパーバイザー、ハードウェアのファームウェアなどを、管理ツール『Prism』から自動でアップデートできます。ライフサイクル管理機能を利用してローリングアップデートができるのです。サービスを止める必要はありませんし、手動で個々の設定を確認したり、アップデート用のファイルを入れ替えて1台ずつ再起動したりといった手間もなくなります。アップデート作業は、システム規模が大きければ悪夢のような時間と手間がかかるものですが、Prismなら3クリック程度で実施できます」

 自動アップデートは必ず1台ずつ処理されるため、サービス停止は起こらない仕組みとなっている。「これはNutanixソフトウェアの優れた運用機能として、ユーザー企業さまの間では高く評価されているようです。そもそもHCIを発展させた技術ですから、3Tier構成のようなストレージ管理やネットワーク管理の手間はありませんし、クラスタのどこで仮想マシンが稼働しているかを意識する必要もありません。運用の在り方は大きく変わります」と友松氏は語る。

 VMwareには、各仮想マシンを自動的に最適なサーバで動かす「Distributed Resource Scheduler」(DRS)という機能がある。これと同じ機能がAHVにも備わっており、しかもデフォルトでオンになっている。これは「運用を積極的に自動化することでサービス品質を上げられる」というNutanixの考え方を象徴している。

 以前多くのVMware運用担当者がやっていたように、各仮想マシンがどのサーバで動いているかをスプレッドシートで管理するのは無駄な工数がかかり、本来必要なことに割くための時間を損なう。こうした時代遅れの運用手法からは卒業すべきだ。

図1
PrismとMoveのメリット(提供:SB C&S)《クリックで拡大》

実績と信頼、7年保守、ハードウェアレベルセキュリティが強みのサーバ

 仮想化基盤が大規模になると、バージョンアップ作業に1年以上要するケースもある。Nutanix製品はそうしたライフサイクル管理を根本から変える可能性がある。

江澤氏
日本ヒューレット・パッカードの江澤竜起氏(Senior Technology Architect パートナー技術部)

 日本ヒューレット・パッカードの江澤竜起氏は、こう説明する。

 「Hewlett Packard Enterprise(HPE)は2020年に『HPE ProLiantサーバー』を活用したNutanix環境専用モデル『ProLiant DX』を発売し、導入社数は500社を突破しています。2025年9月には最新モデルとして『HPE ProLiant Compute Gen12 for Nutanix』を発表しました。幅広いワークロードに対応できる製品群をそろえ、『Nutanix Cloud Platform』をプリインストールした状態で出荷します。ライフサイクル管理という点でPrismが優れているのは、ゲストOS、ハイパーバイザー、ハードウェアという3つの階層をこれで管理できることです。つまりインフラ担当者は、Prismだけで、仮想マシンの管理からHPE製サーバのファームウェアのバージョンアップまで実行できます」

図2
HPE ProLiant Compute for Nutanixの特徴(提供:HPE)《クリックで拡大》

 インフラ担当者にとってハードウェアは空気のような存在であるべきだ、と江澤氏は強調する。普段から存在を意識することなく、担当者が本来の業務に集中できる、という意味だ。

 「HPE ProLiantサーバーには3つの強みがあります。1つ目は、国内で30年以上展開してきた実績と信頼。顧客満足度調査などでも高評価をいただいています。2つ目は、7年保守という長期契約が可能な提供形態。ハードウェアを長期にわたって安心して利用できます。3つ目は、HPE独自開発のサーバ用管理チップ『HPE iLO 7』が備える先進的なセキュリティ機能です。外部からのファームウェアへの攻撃を、ハードウェアレベルで防ぎます」

 なおHPEも他のITパートナーに先駆け、NutanixのソフトウェアとHPEのハードウェアを組み合わせた従量課金型のサービスを、「HPE GreenLake」という名称で提供している。

 VMware製品からの移行先として、Nutanix製品は有力候補といえる。しかし単なる移行先と考えているだけだと、機能やコスト面で既存環境との違いは見いだしにくくなる。ユーザー企業が問い直すべきポイントは「Nutanix製品ならではのメリット」を引き出すことだ。HCI製品からマルチクラウドプラットフォームとして発展したNutanixの製品群は、運用の在り方を大きく変え、新しいライフサイクル管理のスタイルを手に入れるきっかけとなるものだ。移行は未来への投資と捉えて、前向きに取り組んでいきたい。

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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2025年11月13日

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