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Bluetoothはなぜ「青い歯」なの? Wi-Fiはカッコいいゾ? IT用語のゆるすぎるネーミング秘話IT界隈のムダ知識

知っていると何かのときに役に立つかもしれないITに関するマメ知識。PCやスマートフォンにも採用されているため、「Bluetooth」や「Wi-Fi」といった単語は、なじみが深いものではないでしょうか。しかし、ちょっと待ってください。スマートフォンとワイヤレスイヤフォンなどを接続する規格名が、直訳すると「青い歯」を意味する「Bluetooth」って不思議ではありませんか。そこで今回は、ITで使われる規格名にまつわる話を調べてみました。

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「青い歯」が無線規格? Wi-Fiの「Fi」って何? 規格名に隠れた話が面白すぎる
「青い歯」が無線規格? Wi-Fiの「Fi」って何? 規格名に隠れた話が面白すぎる
PCやスマートフォンにも採用されているため、「Bluetooth」や「Wi-Fi」といった単語は、なじみが深いものではないでしょうか。しかし、スマートフォンとワイヤレスイヤフォンなどを接続する規格名が、直訳すると「青い歯」を意味する「Bluetooth」って不思議ではありませんか。そこで今回は、ITで使われる規格名にまつわる話を調べてみました。

 スマートフォンにワイヤレスイヤフォンを接続したり、PCのキーボードやマウスを接続したりするのに使われる無線規格「Bluetooth(ブルートゥース)」。そういう規格名、ということで普段はあまり意識していないかもしれませんが、日本語に直すと「青い歯」です。「青い歯」が、一体なぜ無線通信の規格名に使われているのか、その由来がちょっと気になりませんか?

 今回は、このBluetoothをはじめ、ITで使われる規格名にまつわる話を調べてみました。

「Bluetooth」はデンマーク王の名前が由来! なぜ「青い歯」なのか?

 Bluetoothは、スウェーデンの通信機器メーカー「Ericsson(エリクソン)」が社内プロジェクトとして開発したのが始まりです。

 当時、PCにはさまざまな外部接続用ケーブルが接続され、煩雑な状態となっていました。また、製品ごとに異なるインタフェースを採用していたことから、さまざまな規格の端子とケーブルが必要になっていました。この問題を解決するために多くのメーカーが無線による機器接続に着目し、標準規格化に向けた開発に動き始めていたのです。

 この社内プロジェクトを元に、1996年にはIntel、Ericsson、Nokiaの3社が短距離無線通信技術の標準化を開始しました。その際に、IntelのJim Kardach(ジム・カルダッハ)氏が、開発コード名として「Bluetooth」を提案したといわれています。

 この「Bluetooth」という名前の由来は、10世紀にデンマークとノルウェーを統一したデンマーク王「Harald Gormsen(ハーラル・ゴームソン)」にあります。Gormsen王は、諸説ありますが、青みがかった灰色の死活歯(機能していない歯)を持っていたため、「青歯(Bluetooth)」というあだ名が付けられていたそうです。

 IntelのKardach氏は、Gormsen王の功績(デンマークとノルウェーを統合)にあやかり、PCと携帯電話(セルラー)産業を統合する存在として、この新たに開発する短距離無線通信規格の名前として提案しました。

 この提案は受け入れられ、その後、1998年に3社に加え、IBMと東芝が参加して、5社で標準化団体である「Bluetooth SIG」を立ち上げました。このときに、開発コード名だった「Bluetooth」という名前が一般に公開されることとなりました。

 しかし、このBluetoothは、あくまで開発コード名であり、最終的な規格名ではありませんでした。業界の標準規格となるのに当たり、正式な名称を決めることになったのですが、候補に挙がった「PAN(Personal Area Network)」や「RadioWire」は商標の面で断念せざるを得なかったとのことです。

 結果的に、開発コード名だった「Bluetooth」がそのまま正式な規格名として採用されることになりました。既に業界内でBluetoothという名前が広く知れ渡っていたというのも理由としてあるようです。

 余談ですが、Bluetoothの青地に角張った「B」のようなロゴは、Harald王の「H」と Bluetoothの「B」を、北欧の古代文字であるルーン文字で組み合わせたデザインとなっています。筆者は、何となく無線を意味するアンテナを模したものだと思っていました。

Bluetoothのロゴ
Bluetoothのロゴ
左側の楕円状マーク(フィギュアマークと呼ばれる)の中には北欧の古代文字であるルーン文字で組み合わされた「H」と「B」があしらわれています。無線を意味するアンテナを模したものと思っていたのは筆者だけ?

Wi-Fiは「Hi-Fi」をもじって命名された、意外と意味がない略称

 無線というと、無線LANの規格「Wi-Fi」が思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。この「Wi-Fi」というのは、普及には正式な通信規格名「IEEE 802.11」よりも分かりやすい名称が必要ということで、ブランドコンサルティング会社が提案したものから採用されたそうです。

 「Wi」はきっと「Wireless(無線)」の「Wi」だから、「Fi」は何の略だろう、と思うかもしれません。しかし、実はこの「Wi-Fi」という名称には特段意味がないそうです。オーディオ機器などで使われる「High Fidelity(高再現性)」の略である「Hi-Fi」をもじって付けられた名称なのです。

Wi-Fi製品に付けられる認証マーク
Wi-Fi製品に付けられる認証マーク
IEEE 802.11製品のうち、Wi-Fi規格を管理しているWi-Fiアライアンスによって認証された製品には、この「Wi-Fi CERTIFIED」ロゴが付けられます。実は、IEEE 802.11製品でも、Wi-Fiアライアンスによって認証されていないせいでWi-Fiと名乗れない製品もあります。

Ethernetはアインシュタインが否定した「幻の媒体」に由来する名前

 LANで使われている「Ethernet(イーサネット)」の名称にも、少し面白い話があります。

 Ethernetという名称は、このネットワーク技術を開発していたXeroxの研究所「PARC(Palo Alto Research Center)」で名付けられました。開発者のRobert M. Metcalfe(ロバート・M・メトカーフ)氏が、当時開発中だったコンピュータ「ALTO」同士を接続するための「ALTO ALOHA Network」と呼ばれていた通信システムを、1973年5月22日に「Ethernet」という名前にしようと提案したからです。

 Ethernetの名前の由来は、かつて、電磁波を伝えるために宇宙に満ちていると仮定されていた仮想の媒体「エーテル(Ether)」にちなんでいます。信号がケーブル(エーテル)を介して伝わる様子を、宇宙を満たすエーテルに重ねて表現したためです。

 このエーテル自体は、Albert Einstein(アルベルト・アインシュタイン)の特殊相対性理論などによって存在が否定されていますが、その名前は意外なところで現代にも残っている、というわけです。

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