AIで「さらば変換ミス」なるか Windows 11最新IME「Copilot Keyboard」を試す:Tech TIPS
Windows 11に新しい日本語入力システム「Copilot Keyboard」の正式提供が開始された。生成AIをエンジンに組み込み、従来の変換精度を引き上げる最新の日本語入力システムだ。 懐かしのイルカのキャラクター「カイル」の復活といった遊び心に加え、文脈を読み取る高度な予測変換を備えている。本Tech TIPSではその導入方法から具体的な設定、注意点までを解説する。
対象:Windows 11
Windows 11最新IME「Copilot Keyboard」で入力のストレスが消える?
Windows 11に新しい日本語入力システム「Copilot Keyboard」の正式提供が開始された。生成AIをエンジンに組み込み、従来の変換精度を引き上げる最新の日本語入力システムだ。 懐かしのイルカのキャラクター「カイル」の復活といった遊び心に加え、文脈を読み取る高度な予測変換を備えている。本Tech TIPSではその導入方法から具体的な設定、注意点までを解説する。
日々の業務において、Windows 11の日本語入力システムの使い勝手は、作業効率に直結する。変換ミスや目的の文字を見つけるまでのタイムラグは、思考を止め、大きな作業の遅延を生む要因となるからだ。
Windows 11における日本語入力システム(IME:Input Method Editor)の選択肢は、これまで標準のMicrosoft IMEか、あるいはGoogle日本語入力、ATOKといったものに限られてきた。特にArm版Windows 11では、当初、Google日本語入力とATOKが未対応のため、標準のMicrosoft IMEしかなく、その使い勝手や変換効率に不満を感じていていても代替手段がない状況だった(ATOKは、2026年2月に提供開始したTech Ver.36からArm版Windows 11に対応)。
また、Windows 10 May 2020 Updateで新しいMicrosoft IMEになって、ショートカットの設定ができなくなった上に、変換精度や使い勝手が大きく向上したわけでもなかったため、「改悪」されたという声も多かった。そのため、わざわざ旧バージョンのMicrosoft IMEに戻している人や、その方法を知らずに我慢して使っている人も多かったようだ(古いMicrosoft IMEに戻す方法は、Tech TIPS「Windows 11のMicrosoft IMEで、いつものキーカスタマイズができないときの対処法」参照のこと)。
しかしここに来てMicrosoftが、新たに生成AI(人工知能)を導入した新しいIME「Copilot Keyboard」をリリースした。そこで本Tech TIPSでは、Copilot Keyboardの導入方法と、その実力を探る。
AIが日本語入力をアシストする「Copilot Keyboard」の正体
Copilot Keyboardは、従来のMicrosoft IMEから単に外見を変えただけのものではない。ポイントは、文字入力のプロセスに生成AI「Copilot」を組み込んだ点にある。従来の変換エンジンに生成AIを掛け合わせることで、予測変換の精度を高めているのが特徴だ。
具体的には、流行語や専門用語、さらには文脈に即したフレーズを先回りして提示してくれる。また、変換候補を選択する際にその語句の意味や使い方を参照できる機能や、確定した文章をAIで要約・校正させる連携機能も備わっている。
日本語入力をアシスタントするCopilot機能
変換候補の右側にブラウザアイコンが付いているものは、Copilotによる単語の説明があるものだ。変換候補を選択すると、画面のように単語の説明が表示される。
かつてのOfficeアシスタント「イルカのカイル」が復活し、ユーザーの入力を視覚的にサポートする遊び心が加わっている点は、長年のWindows OSユーザーには懐かしさを感じさせる(評判の悪かった機能を復活させるセンスには疑問も感じるが)。
Copilot Keyboardをインストールする
インストールは、「Microsoft Store」アプリから実行する。「Microsoft Store」アプリを起動し、検索入力ボックスに「Copilot Keyboard」と入力すればよい。検索結果に「Copilot Keyboard」が表示されるので、[インストール]ボタンをクリックすればインストールできる。
Copilot Keyboardをインストールする(1)
「Microsoft Store」アプリを起動し、検索入力ボックスに「Copilot Keyboard」と入力して検索する。検索結果に「Copilot Keyboard」が表示されるので、[インストール]ボタンをクリックする。
Copilot Keyboardをインストールする(2)
インストールが開始されると、このダイアログが表示される。しばらくすると、タスクバーにユーザーアカウント制御のアイコンが表示されるので、アイコンをクリックして承認する。
Copilot Keyboardをインストールする(3)
この画面が表示されたら、必要な項目にチェックを入れて、[次へ]ボタンをクリックする。「クラウド候補を使って……」にチェックを入れないと、クラウド辞書を使わない設定になる(後述のCopilot Keyboardの設定で後から有効化することも可能)。
Copilot Keyboardをインストールする(4)
Copilot Keyboardを既定のIMEにしたい場合は、チェックを入れて、[確認して開始]ボタンをクリックする。これでCopilot Keyboardが使える状態となる。
タスクバーの言語インジケーターから「Copilot Keyboard」を選択すれば、Copilot Keyboardに切り替わる。また、[Windows]+[Space]キーを押せば、従来のMicrosoft IMEなどインストールされているIMEに切り替えることも可能だ。
Copilot Keyboardに切り替える
Microsoft IMEなどからCopilot Keyboardに切り替えたい場合は、IMEのアイコンをクリックして、[Copilot Keyboard]を選択する。[Windows]+[Space]キーを使ってIMEを切り替えることも可能だ。
Copilot Keyboardを安定して利用するための設定
Copilot Keyboardを既定のIMEにしていても、更新プログラムの適用などでいつの間にか従来のMicrosoft IMEに戻ってしまうことがある。Copilot Keyboardのみを使うのであれば、Microsoft IMEを無効化し、Copilot Keyboardだけが有効な状態にしておくとよい。
それには、Windows 11の「設定」アプリを起動し、「時刻と言語」−「言語と地域」画面を開き、「言語」欄の「日本語」にある[…]アイコンをクリックする。表示されたメニューの[言語のオプション]を選択し、「オプション」画面を開く。ここの「キーボード」欄にインストール済みで有効なIMEの一覧が表示されるので、「Microsoft IME」などの[…]アイコンをクリックし、[削除]を選択する。Copilot Keyboardのみを残せば、勝手に別のIMEに切り替わることはなくなる。
ここで[削除]を選択してもIMEがアンインストールされるわけではない。「インストールされているキーボード」の[キーボードの追加]ボタンをクリックし、削除したIMEを選択すれば復活させることが可能だ。
Copilot Keyboard以外を非表示にする(1)
「設定」アプリを起動し、「時刻と言語」−「言語と地域」画面を開き、「言語」欄の「日本語」にある[…]アイコンをクリック、表示されたメニューの[言語のオプション]を選択する。
Copilot Keyboard以外を非表示にする(2)
「オプション」画面が開くので、削除(非表示)にしたいIMEの[…]アイコンをクリックして、[削除]を選択する。IMEがアンインストールされるわけでなく、削除したIMEに切り替えできなくなるだけだ。
Copilot Keyboardのカスタマイズ項目
Microsoft IMEは、「設定」アプリの「時刻と言語」−「言語と地域」−「Microsoft IME」画面で設定を変更できる。一方、Copilot Keyboardでは独立した設定画面が用意されている。
通知領域にある[A/あ]アイコンを右クリックし、表示されたメニューの[設定]を選択すると、Copilot Keyboardの設定画面が表示される。左側メニューには「外観」「全般」「ショートカット」「学習と辞書」「バージョン情報」という5つのタブがあり、それぞれ以下のような項目が設定可能だ。
外観
[外観]タブでは、「既定(Copilot)」「カイル(イルカ)」「アクア(水滴)」「エリン(きのこ)」「ミカ(きつね)」からスキンの選択が可能だ。変換候補が表示されるウィンドウの外観が変わる他、スキンに対応したイルカなどのCopilotキャラクターが表示できる。このキャラクターは表示の「オン」「オフ」が可能だ。
Copilot Keyboardの[外観]タブ
スキンとキャラクターの設定ができる。キャラクターはデスクトップ上の最前面に表示されるため、意外と邪魔になる。キャラクターをクリックすると、Copilotが起動できるようになるとはいえ、通常は非表示にしておくのがよいだろう。
ビジネス用途ならば、スキンに「既定」を選択し、キャラクターは「オフ(非表示)」にしておくのがよい。
全般
[全般]タブでは、かな入力を使うかどうか、[Space]キーとテンキーで入力される文字の全角/半角/現在の入力モードなどが選択できる。また、変換候補の一覧に含める文字の種類も選択可能だ。
「予測入力」欄では、予測入力の候補を表示するまでの文字数が選択できる他、クラウド候補(クラウドを使った変換候補)の利用の有無が設定できる。
Copilot Keyboardの[全般]タブ
かな入力を使うかどうか、[Space]キーとテンキーで入力される文字の全角/半角/現在の入力モードなどが選択できる。また、変換候補の一覧に含める文字の種類も選択可能だ。「予測入力」欄の「クラウド候補」にチェックを入れると、クラウド辞書が利用可能になる。
ショートカット
[ショートカット]タブでは、[無変換]キーや[変換]キーなどに割り当てる機能が設定できる。
Microsoft IMEでいえば、「設定」アプリの「時刻と言語」−「言語と地域」−「Microsoft IME」-「キーとタッチのカスタマイズ」画面の「キーの割り当て」欄に相当する機能だ。Copilot Keyboardでは[英数]キーの設定が追加されている。とはいえ、ショートカットキーの設定の自由度はあまり良くなっていない。
Copilot Keyboardの[ショートカット]タブ
[ショートカット]タブでは、[無変換]キーや[変換]キーなどに割り当てる機能が設定できる。キーによって割り当てられる機能が異なるので注意してほしい。[変換]キーは、[IMEーオン/オフ]を選択しておくと、IMEの「オン/オフ」の切り替えが素早くできるのでおすすめだ。
学習と辞書
[学習と辞書]タブでは学習機能の「オン」「オフ」と、ユーザー辞書の追加が可能だ。よく入力する会社名や定例文などをユーザー辞書に登録しておくと、変換が楽になる。
Copilot Keyboardの[学習と辞書]タブ
学習機能の「オン」「オフ」と、ユーザー辞書の追加が可能だ。ユーザー辞書に登録したい場合は、[新規]ボタンをクリックして、読みと単語を入力し、品詞を選択する。よく入力する会社名などを登録しておくと、タイプミスなどを防いでくれる。
バージョン情報
[バージョン情報]タブでは、Copilot Keyboardのバージョンが確認できる他、「統計情報」欄では統計情報をMicrosoftに送信するかどうかの設定が可能だ。プライバシーを考慮するのであれば、「統計情報をMicrosoftに送信」のスイッチは「オフ」にしておくのがよい。
また、「復元」欄の[復元]ボタンをクリックすると、カスタマイズした設定が全てクリアできる。
Copilot Keyboardの[バージョン情報]タブ
Copilot Keyboardのバージョンが確認できる他、「統計情報」欄では統計情報をMicrosoftに送信するかどうかの設定が可能だ。プライバシーを考慮するのであれば、「統計情報をMicrosoftに送信」のスイッチは「オフ」にしておくのがよい。[復元]ボタンをクリックすると、カスタマイズした設定が全てクリアできる。
Copilot Keyboardの使い勝手
IMEは、入力方法や学習機能などによって使い勝手や印象が大きく異なる傾向にある。Copilot Keyboardが使えるのかどうかについては、ぜひ自身で試して評価してほしい。
参考までに筆者が評価のため、しばらくCopilot Keyboardを使った感想を延べておく。ちなみに普段の筆者は、Google日本語入力を使って原稿を書いており、比較的短い単語で変換し、ショートカットも多用して英数字などを入力している。
Copilot Keyboardは、生成AI機能による予測機能があるためか、比較的長文を入力した方が変換性能は高いようだ。そのため、長文を入力して、後から漢字などを修正するような入力方法の人に向いているように思える。
また、単語単位で入力する際も、比較的、よく使われる漢字が上位候補に表示されるようだ。この点は優れている一方で、2つの単語を組み合わせたような言葉では漢字の候補が表示されず、入力したローマ字が候補に表示されるということが結構あった。変換を実行すれば、漢字に変換できるのだが、複合語については若干苦手なところがあるようだ。
Microsoft IMEよりもおおむね使い勝手は良いように感じた。
ユーザーが注意すべき制限とセキュリティ
既存のMicrosoft IMEに比べて自由度が増してはいるものの、Copilot Keyboardには現時点では無視できない制限も存在する。それは、[Ctrl]キーと他のキーを組み合わせたショートカット(例えば、[Ctrl]+[I]キーで片仮名に変換するなど)を、ユーザーが任意に割り当てることができないという点だ。長年これらのショートカットを指に覚え込ませてきたパワーユーザーにとって、この仕様は導入をためらわせる大きな要因になりそうだ。
またCopilot Keyboardは、クラウド辞書を有効にすることで最新の言葉に対応でき、変換候補から直接意味を調べたりAIに文章の続きを相談したりできるというメリットがある。一方で、クラウドを活用する性質上、入力内容の一部がサーバへ送られる(入力したデータは暗号化してMicrosoftのサーバに送信される)ため、厳格な機密保持が求められる環境では慎重な運用が必要になる点には注意したい。
Copilot Keyboardは正式版がリリースされたばかりであり、今後、改良が加えられていくものと思われる。古いMicrosoft IMEのように[Ctrl]キーと他のキーを組み合わせたショートカットのカスタマイズや、文字種別の半角/全角の設定(英数字は常に半角など)などのサポートに期待したい。
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