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深まる先端AIモデルのサイバー攻撃能力への懸念 「恐れるな」とGartnerのアナリストが語る理由

フロンティアAIモデルが1万件以上のソフトウェア脆弱性を発見したり、テスト用の隔離環境を“脱獄”して、他の場所にあるデータを窃取したりといったニュースが相次いでいる。企業のセキュリティ責任者が恐怖にかられるのは当然だ。だが、Gartnerのアナリストは「恐れる必要はない」と語る。その理由を聞いた。

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 Claude Mythos Preview以来、先端AIモデルのサイバー攻撃能力を示すニュースが次々と報道され、世界中の企業を震撼させている。サイバーセキュリティを専門とするGartnerのディスティングイッシュトバイスプレジデント アナリスト、ポール・フルタード氏は、こうした発表がAIベンダーにとって格好の宣伝となっていることを否定しない。

 「恐怖やノイズを生み出している企業が、(市場における)勝利を収めようとしていることは理解する必要がある。例えばMythosに懸念を持って試してみるなら、Anthropicのトークンを購入することになる。さらに本番環境で運用したいということになっても、やはりAnthropicのトークンを購入することになる。結局はAnthropicという会社が利益を得る。同じことは他社にも当てはまる。最終的に勝つのは、こうした技術を提供するベンダーだ」(フルタード氏、以下同)

 宣伝効果を狙っている側面があったとしても、フロンティアAIモデルの脅威はもちろんリアルだ。ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性を発見する能力や、以前は軽微とされてきた脆弱性や隙をつなぎ合わせ、自律的に試行錯誤を繰り返しながら高度な攻撃を仕掛ける能力は、第三者にも確認されている。

 これはフロンティアAIモデルに限られた話というわけでもない。2025年にもAIを使って高度な攻撃を仕掛けた例が多数確認されている。

 だが、フルタード氏は「恐れるな」と話す。

 「重要なのは適切なレベルの慎重さを持つことだ。恐怖心は人を身動きが取れない状態に陥らせてしまう。しかし、立ち止まっている余裕はない。求められているのは、変化する環境に目を向け、その環境に対応できるよう社内の業務プロセスを適応させ、100%の透明性を確保することだ。セキュリティリーダーの役割は単に「イエス」か「ノー」を言うことではない。最終的にリスクを受け入れるかどうかを判断するのは経営陣だ。彼らに『そんなことは聞いていなかった』と言わせないようにすることが、あなたの仕事だ」

 脅威アクターは、脆弱性が発表されると1時間以内にAIを使って攻撃できるようになった。一方、一般企業はパッチのリリースから適用までに平均20日間をかけている。この時点で防御側は既に負けている。

 「今最も重要なのは、脅威を検知して封じ込める能力だ。『侵害は既に起きている』という前提に立ち、誰かが侵入してくる可能性を事実として受け入れる方向へ転換しなければならない。その上で、いかにして被害を最小限に抑えるか、いかに迅速に発見し、活動を阻止し、隔離するかが問われる。脅威アクターがこうしたツールをいかに素早く悪用しているかを考えればなおさらだ」

リスク許容度を精査し動的なパッチ管理を

 脆弱性について言えば、今後発見数が急速に増える。しかし、やがて一定のレベルに落ち着くはずだ。動的なパッチ管理手法を通常の運用として仕組み化している企業ほど、この波を乗り切れる、とフルタード氏は説明する。

 企業は、パッチ当てのやり方を変える必要がある。最も重要な課題は、年間数万件の脆弱性が見つかり、パッチが多数生まれていることだ。従来のように、パッチをできるだけたくさん適用するという目標を追っていくのでは、すぐに限界に達してしまう。

 「例えば5万件の脆弱性に短期間で対応しろと言われてもできるわけがない。事業側が、全てのパッチを適用するのに必要な長期間のダウンタイムを受け入れないからだ」

 そこで優先順位付けに基づく動的なパッチ管理に移行する必要があるとフルタード氏は話す。ポイントは、自組織のさまざまな環境におけるリスク許容度を再評価し、優先度に反映させることだ。CVSS(共通脆弱性評価システム)のような画一的な指標に従うことが正解ではない。

 「CVSSで最高値の10.0が付く最も深刻な脆弱性であっても、それが6層のファイアウォールの奥深くにあり、数人しかアクセスできない環境であれば、パッチの優先度は低くなる」

 この問題は、セキュリティやITの責任者だけでなく、CEOレベルの責任にも発展するとフルタード氏は強調する。

 「欧州で厳格化が進む法規制では、管理の怠慢が重要なインフラの侵害につながれば、CEO(最高経営責任者)の責任になる。どうやって動的なパッチパッチサイクルに移行するかは全社的な問題だ」

 もう一つの重要な点は、セキュリティ部門以外の部署が、脆弱性管理の責任を共有するということ。ITインフラ運用部署は自らが管理するITインフラ製品のパッチ当てに協力しなければならない。レガシーシステムの技術負債解消を進めるソフトウェア開発担当部署も、責任を負う必要がある、と話す。

 セキュリティ侵害のほとんどが、未だに権限昇格を通じて行われていることも見逃せないとフルタード氏は言う。AIへの対策以前に、最小権限の原則の徹底、環境の監視、そして可視性の確保といった基本をより確実に行う必要があると強調している。

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