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ドラゴンクエストX AI機能実装の舞台裏 賢いだけのAIはゲームの「相棒」になれない世界観を守り抜け!(1/2 ページ)

ただ質問に答えるだけのチャットAIではなく、ゲームの中で心を通わせる「相棒」として成り立たせるにはどうすればよいか。スクウェア・エニックスが、対話型AIパートナー「おしゃべりスラミィ」の開発を通じて得た知見を明らかにした。

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 スクウェア・エニックスの佐久間隆友氏と深澤優鷹氏が2026年7月末の「Google Cloud Next Tokyo 26」で、「『チャットAI』を相棒にする技術 ドラゴンクエストXオンラインの世界観を守り抜くGemini実装の全貌」と題して講演した。両氏はいずれも同社AIエンジン開発ディビジョンに所属し、佐久間氏はプログラマー、深澤氏はAIプログラマーを務める。講演は前半でAIエージェントの実装方針、後半でサーバ設計の工夫について解説した。

「単なるチャット」ではなく「相棒」を目指して

 「おしゃべりスラミィ」は、ドラゴンクエストXオンラインのゲーム内で使える対話型AIパートナーだ。2026年3月末にゲーム内で参加者を募集し、4月から5月にかけてクローズドβテストを実施した。

 開発チームが目指したのは、AIを単なるチャット機能で終わらせず、プレーヤーの相棒にすることだった。佐久間氏は相棒に求めることとして「音声付きで回答する、実況する、おすすめのクエストを提案する、会話の内容を記憶する、特定のタイミングで自発的に発しかけてくる、などを設定した」と説明する。質問に賢く答えるだけでは相棒とは呼べないからだ。

マルチエージェントとGemini Live APIで対話を実現

 スラミィは、1つの巨大なAIが全てをこなすのではなく、役割ごとに分けた複数のAIが連携する「マルチエージェントシステム」だ。プレーヤーからのリクエストは、内容が不適切かどうかをチェックするセキュリティ層を通り、その後は用途に応じた幾つものAIへと振り分け、それぞれが得意分野を分担しながら1つの回答を作り上げる。


対話型AI「おしゃべりスラミィ」を支えるAIエージェントの構成(スクウェア・エニックス提供)

 対話を生成する基盤にはGemini Live APIを使っている。音声や画像、テキストをマルチモーダルで入力し、音声とテキストを同時に生成する。当初は、完成したテキストをそのまま読み上げる従来型の音声合成エンジンも検討したが、佐久間氏は「人間の発話としてクオリティは十分でも、キャラクターとしては物足りなかった」と振り返る。そこで、プロンプトで声のイントネーションやテンションを調整できるGemini Live APIを採用した。「〜デスら」のような独特の語尾も、プロンプトの調整で自然に聞こえるように作り込んだ。

 エージェントの開発には、Googleが提供するオープンソースのAgent Development Kit(ADK)を活用した。AIエージェントに必要な部品をあらかじめ用意しており、これらを組み合わせるだけで基本の仕組みを作れる。そのため、セキュリティ強化や体験の作り込みにより多くの工数を割くことができた。

性格診断と親密度で「唯一無二の相棒」を演出

 AIとプレーヤーが自然に対話するためには、正しい日本語を返すだけでは物足りない。そこで、AIのキャラ付けを定義し、好きな呪文や語尾、背景情報などを設定した。ゲーム内では、性格を16タイプに分類する「MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)」を参考にした性格診断も用意し、個々のプレーヤーに寄り添った回答を生成するようにした。一般に知られるMBTI診断は質問数が多いため、プランナーが数を絞ってドラゴンクエストXの世界観に合う質問へと作り替えた。


AIに性格を与え、プレーヤーの相棒として振る舞えるようにした(スクウェア・エニックス提供)

 会話を重ねるほど親密になっていく仕組みも備えた。プレーヤーとの会話を別のAIが評価して経験値として加算し、一定数たまると親密度が上昇する。親密度は、レベル1の「他人行儀」からレベル4の「相棒」まで4段階あり、最初はよそよそしく、だんだんと親密な言葉選びに変わり、やがてプレーヤーを名前で呼ぶようになる。

 声にも工夫を凝らした。標準設定の音声は棒読みの印象があったため、表現したい感情ごとに演技指導のプロンプトを用意した。悲しみはトーンやピッチを調整、喜びは明るく弾む発声、疑問は語尾のイントネーションを上げる、といった指示を与えることで、狙った通りの感情を安定して表現できるようにした。

自発的な発話と記憶で「相棒らしさ」を演出

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