みずほ銀行が“サポートの切れるRHEL”を「アップグレードも移行もせず」安全に継続利用 その方法は?:RHELのEOLを迎えても運用を安全に継続
OSのEOLに対処するには、既存OSをアップグレードするか、他のOSに移行するのが一般的だ。みずほ銀行はこうした負担を避け、安全性を確保しながら、EOLを迎えるRHELの運用を続けることを可能にした。その手段とは。
みずほ銀行は、ビジネスの俊敏性向上や開発の加速、生産性の改善に向けて、ITアーキテクチャのモダナイゼーション(現代化)と、システム運用管理全般へのAI活用を進めている。その一環として、クラウドサービスを利用したコンテナベースのアプリケーション開発・運用の仕組みの構築に着手した。
こうした取り組みを進める上でハードルとなっていたのが、利用しているバージョンの「Red Hat Enterprise Linux」(以下、RHEL)のサポート終了(以下、EOL)だ。みずほ銀行は200台を超えるRHELサーバで、重要な業務を支えるシステムを稼働させている。そのためサポートなしでRHELの運用を続けることは難しい。一方で既存システムの維持のためにRHELのアップグレードや、他のOSへの移行を実施すれば、対象システムだけではなく周辺システムを含む検証に時間やコストがかかり、将来の変革に向けた投資にも影響しかねない。
“EOLのためだけのアップグレード”をどう避けた?
みずほ銀行はこうした状況を踏まえて、利用中のバージョンのRHELを使い続けることを選択した。既存システムを維持するためだけに時間や予算、人材をアップグレードや移行に投じるのではなく、モダナイゼーションなど今後のIT投資に振り向けるためだ。同行は利用中のRHELを維持しながら、EOLの問題にどう対処したのか。
実はみずほ銀行は、RHELに代わるOSへの移行も選択肢に入れた上で、複数のベンダーに相談していた。ところが各社が提示した案は、いずれもアップグレードや移行に時間とコストがかかるものだったという。こうした中、最終的に同行が採用を決めたのが、既存のRHELを維持したままサポートを受ける方法としてSUSEが提示した、Linux向けサポートサービス「SUSE Multi-Linux Support」だった。
SUSE Multi-Linux Supportは、既存のRHELを維持したまま、SUSEによるRHEL向けのセキュリティパッチやサポートを利用できるサービスだ。SUSEはRHELとの互換性を確保することで、既存のRHELサーバを維持したまま、EOL後もセキュリティ対策や保守を継続できると説明する。みずほ銀行におけるSUSE Multi-Linux Supportの導入はスムーズに進み、1カ月足らずで利用を開始した。
みずほ銀行は2011年に、IBMのメインフレーム「IBM Z」でSUSEのLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server」を採用して以来、ミッションクリティカルなシステムでSUSE製品を運用してきた。同社製品の安定性や信頼性を評価していたことが、SUSE Multi-Linux Supportの選定を後押しする要因の一つになった。
コンテナ移行やAI活用など“次のIT投資”にリソースを集中
SUSE Multi-Linux Supportによって、みずほ銀行は既存のRHELを維持したまま、SUSEによるメンテナンスやセキュリティパッチ、サポートを受けられるようになった。その結果、アップグレードや移行に伴うコストや工数を回避できたという。SUSEの説明では、この規模のOS移行にはシステムごとに通常10億〜100億円程度のコストがかかるという。
今回のSUSE Multi-Linux Supportの導入によって、みずほ銀行は、RHELのサポートを維持するためだけに一度アップグレードしてからコンテナに移行する「二度手間」を回避できた。アップグレードを挟まずに、コンテナに直接移行するためのリードタイムを確保できた形だ。
みずほ銀行はこうして生まれたリソースの余裕を、将来を見据えたイノベーションに振り向けている。IT部門では、要件定義から設計、コーディング、テストまで、ソフトウェア開発の各工程でAI活用を進めているという。システムアラートの分析による予測保守や障害の未然防止、社内開発者からの問い合わせへの自動回答など、開発以外の業務にもAIの利用を広げている。
今後もコンテナへの移行を中心に、ITアーキテクチャのモダナイゼーションやAI活用といった変革を加速させる考えだ。SUSEの日本法人であるSUSEソフトウエアソリューションズジャパンは2026年7月28日までに、本事例を公開した。
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