シャドーAI対策の決め手となるエンドポイント制御の強化:Gartner Insights Pickup(462)
企業において、従業員や開発者が未承認のAIツールを利用する「シャドーAI」が重大なサイバーセキュリティリスクとして浮上している。これに対処するため、企業はあらゆるアプリをAIアプリとして扱い、厳格なエンドポイント制御、AIリテラシーの改善、継続的なガバナンスと組み合わせた包括的な対策を講じることが急務となっている。
シャドーAIは、企業における重大なサイバーセキュリティリスクとして浮上している。企業が管理するエンドポイントとサードパーティーエンドポイントの両方で、承認されていないAIツールの利用が拡大している状況が背景にある。
Gartnerの調査からは、従業員が正式なサイバーセキュリティ監視の目が届かないところで、こうしたツールにアクセスし、インストールするケースが増えていることが明らかになっている。そのため、アタックサーフェス(攻撃対象領域)がAIアプリケーション自体にまで広がっている。
この変化は、ハルシネーション関連のエラーだけでなく、AIエージェントの意思や自動処理の乗っ取りのような新たな攻撃ベクトルをもたらす。これらは、プロンプトやデータ入力、統合されたツールを操作することで生み出される。
これらのリスクは、AIシステムに内在する永続化のメカニズムによって増幅される。このメカニズムにより、悪意ある指示をエージェントのメモリに保存したり、データベースや外部ツールなど、接続されたリソースに埋め込んだりできるからだ。
AIで生産性を高めようとする企業では、承認されていないAIアプリケーションも容易に導入できてしまう。加えて、AIツールが企業の機密データをどのように扱っているのかについての可視性は限られている。
これらの要因が重なり、企業が管理するエンドポイントは、ますますリスクの高い環境になりつつある。機密データへのアクセス障壁が低下しているからだ。
AIエージェントの自律性が高まる中、帰属の明確化、制御、監査可能性が十分でないことから、リスクが深刻化しているのが現状だ。
このリスク状況を引き起こしているシャドーAIの利用形態は、3つに大別される。従業員によるシャドーAI、開発者によるシャドーAI、テクノロジープロバイダーによるシャドーAIだ。
この3つのユースケースでAI導入が勝手に進められ、リスクが高まっていることで、管理が緩く、企業の管理下のエンドポイントに任意のアプリケーションをインストールすることが許容されていた時代は終わりを迎える。
今や企業は、あらゆるアプリケーションをAIアプリケーションとして扱い、金銭的損失やコンプライアンス違反を避けるために管理を強化しなければならない。
具体的には、サイバーセキュリティチームは、より厳格なエンドポイントアプリケーション制御を、ポリシーフレームワークの拡充、AIリテラシーの改善、継続的なガバナンスと組み合わせ、分散化と複雑化が進むAIエコシステムの中で、シャドーAIのリスクを効果的に軽減する必要がある。
企業エンドポイントでAIを勝手に利用させないためには、バランスの取れたアプローチが必要
企業エンドポイントにおけるシャドーAIに効果的に対処するには、バランスの取れたアプローチが必要になる。ポリシーを定義するだけで執行を怠ったり、AIの利用を一律に全面禁止したりするのは禁物だ。
サイバーセキュリティリーダーは、承認されたAIツールへの容易なアクセスを確保するとともに、リスクの高いAIの利用を阻止することで、ポリシーの執行を従業員のニーズに整合させる必要がある。以下の取り組みは、その出発点だ。
- 透明性が高く効率的なプロセスを徹底し、従業員が企業の承認したAIツールを導入したり、新しいサービスへのアクセスを申請したりする際の抵抗感を最小限に抑える
- ユースケースや従業員グループごとに、承認されたAIプロバイダーとツールを定義し、明確な利用ガイドラインを周知する。それらがセキュリティに与える影響に関するユーザー教育も併せて行う
- エージェントの自律性や、ユーザーグループがアクセスするデータの機密性を考慮し、初期の現状把握とリスク評価をする
- 手始めに既存のエンドポイントおよびネットワークセキュリティ対策(URLフィルタリングやダウンロード制限のような)を活用し、高リスクのユーザーやシナリオに重点を置いて、許可されていないAIの利用を阻止する
企業は時間とともに、管理下にあるエンドポイント全体にわたって、アプリケーション制御と権限管理の実装を強化する必要がある。これには、より厳格な制御について経営陣の支持を確保することも含まれる。その例としては、許可リストを作成し、明確に定義された例外処理とともに、IT変更管理プロセスに組み込むことなどが挙げられる。
エンドポイントやアプリケーション、ブラウザ、拡張機能の包括的なインベントリを構築することは、可視化と執行のより強固な基盤を築くために必要な前提条件だ。
こうした取り組みの展開は、アプリケーションの利用状況が予測しやすい従業員グループから段階的に進めることで、混乱を抑えながら早期に成果を達成、実証できる。
より厳格なエンドポイントアプリケーション制御や権限管理に加えて、新たに登場しているAIを利用した制御ソリューションやセキュアエンタープライズブラウザ(SEB)拡張機能も、企業が多層防御型のサイバーセキュリティアプローチにより、シャドーAIの利用リスクにより効果的に対処するのに役立つ。
出典:Shadow AI Demands Stronger Endpoint Controls(Gartner)
※この記事は、2026年6月に執筆されたものです。
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