お悩み相談のエキサイト、通話基盤刷新で「利用者が2.5倍」でも「5億円超のコスト削減」ができた理由:「利用が増えるほど通信コスト増」から脱却(1/2 ページ)
サービスの利用者が増えて事業が成長する一方、通信コストやIT基盤の運用負荷も同時に膨らむ――。20年近く続く通話相談サービスを展開するエキサイトは、そうした課題に直面していた。事業の成長を支える通信基盤をどう見直したのか。
サービスの利用者が増えれば、売り上げも伸びる。一方で、利用者の増加に合わせてIT基盤のコストや運用負荷まで増大していけば、それが事業成長の足かせになりかねない。
国内でインターネット関連事業を展開してきた老舗であるエキサイトは、まさにそうした課題に直面していた。エキサイトは1997年にExcite Inc.の日本法人として設立され、その後、日本市場に合わせた独自のサービスを展開してきた。通話による相談サービスである「エキサイトお悩み相談室」と「エキサイト電話占い」は、日本オリジナルのサービスの中でも代表的な存在となっている。
同社では、これら主力事業の成長を支える通話基盤の見直しを迫られた。ユーザーが増えても柔軟に拡張でき、ユーザーのニーズの変化に合わせて迅速にサービスを開発できる仕組みへと転換。結果として通話料などを中心に大幅なコスト削減を実現し、その余力をサービス開発に振り向けられるようになった。
そうした通信基盤の刷新、コスト削減、サービス開発の迅速化を同社ではどう実現したのか。
お悩み相談者が急増、通話インフラの「3つの課題」が浮き彫りに
2006年にスタートした「エキサイトお悩み相談室」は、170人以上のカウンセラーが在籍し、累計相談件数は40万件を超える。翌2007年に始まった「エキサイト電話占い」も、170人以上の占い師を抱え、累計鑑定件数は100万件を超える。いずれも20年近くにわたって提供を続け、利用実績を積み重ねてきたサービスだ。
エキサイトお悩み相談室、エキサイト電話占いを含むプラットフォーム事業を管掌する秋吉正樹氏(取締役)は、両サービスの重要性は2019年以降にさらに増すことになったと説明する。このタイミングで同社は新たな経営体制の下、カウンセリングや占いの領域を成長事業と位置付け、広告宣伝やカウンセラー、占い師の採用を強化。これをきっかけに利用者は急速に増加していった。
そこで課題として浮かび上がったのが、サービスを支えてきた通話基盤だった。両サービスは、利用者とカウンセラーや占い師を電話でつなぎ、相談に応じるサービスだ。当時使っていたのは、大手通信事業者が提供するアナログ回線を利用した通話システムだった。利用者がWebサイトから相談を申し込むと、システムから利用者に電話をかけ、応答するとカウンセラーや占い師にも発信して両者をつなぐ仕組みだ。
旧通話基盤が開発の足かせに
長年サービスを支えてきたこの仕組みが、利用者の急増とともに大きく3つの課題を抱えるようになった。
- 通話方式を柔軟に変更・拡張できない
- 利用増に伴って通信コストや設備・運用負荷が膨らむ
- 通話セッションの状況を細かく把握できない
以前使っていた通話基盤について秋吉氏は、「ユーザー側に通話料の負担がないというメリットはあった」とする。だが「申し込み後は電話がかかってくるのを待つしかなく、ユーザーは自分の都合の良いタイミングで電話をかけて相談することができなかったため、“寄り添うサービス”を目指す上でも課題だった」という。
一方で開発面での課題感も浮き彫りになってきていた。同社執行役員CTOの藤田毅氏は、サービスを成長させるための開発が、そのまま基盤側の改修コストや負荷の増大につながりかねない状況になっていた点を指摘する。「古いシステムを使い続けながら機能や規模を拡張しようとすれば、外部の事業者に改修を依頼したり、エキサイト側でも追加開発が必要になったりする。無理に拡張しようとすれば、開発コストがかさんでいく懸念があった」(藤田氏)
サービスの成長に合わせて柔軟に拡張できない通話基盤から脱却し、事業やユーザーの変化に応じて迅速に機能を追加、改善できる仕組みに転換する必要性が高まっていたという。
「成長するほど通信コストが膨らむ」構造に
それと同時に、事業の急成長によって大きな負担となりつつあったのが、通信コストとインフラの運用負荷だった。従来のアナログ着信型通話では、通話料は100%エキサイトの負担だったため、売り上げが拡大するほど通信コストも膨れ上がる構造だった。
2020年から数年間に及んだコロナ禍では、生活環境が激変したことによりカウンセリングニーズが拡大。「2019年から2021年にかけての約2年半で大幅にユーザーが増えた」(秋吉氏)という。同時接続数を拡張するために大きな設備投資が必要になることに加え、容量オーバーでつながらない状況が発生していないかどうかを常に監視・管理する工数など、インフラ拡張や運用コストなどもかさんでいた。
もう一つの課題が、通話セッションの状況を細かく把握できない点だ。通話が正常に終了したのか、通信不良などで切断されたのかといった状況を把握しづらく、トラブル発生時の原因究明やユーザーサポートに時間がかかっていた。さらに、通話終了後の利用料金の集計・精算にも遅延が生じていたという。
こうした課題は、サービスの成長を続けていく上での制約にもなりつつあった。ユーザーの利便性や相談員の働き方を改善しようとしても、何かを追加するたびにベンダーに依頼しなければならないとすれば、それが今後の機能拡張や改善の足かせになることも見えてきていた。こうした課題を抱える中、旧通話システムのサポート終了も直接的な契機となり、代替手段に移行することにしたという。
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