ネットワーク障害による残業が「ほぼゼロ」に 情シス担当“実質2人”の病院は何を変えた?:障害発生時の原因特定や復旧にかかる時間を短縮
老朽化でネットワーク機器の故障が目立つようになり、情報システム担当者がときに残業しながら通信障害に対処していた公立小浜病院。ネットワーク刷新によって時間外作業を“ほぼゼロ”にしたという。その方法とは。
杉田玄白記念公立小浜病院(以下、公立小浜病院)は、福井県嶺南・若狭地域の医療を支える中核病院だ。約500台の電子カルテ端末を稼働させており、各種医療情報機器や部門システムをネットワークに接続させている。通信に不具合が生じると、診療業務に大きな影響が及ぶ。
公立小浜病院がネットワークを構築したのは、2014年の電子カルテシステム導入時だ。経年でスイッチやポートの故障が目立つようになり、部分的な通信障害が発生することもあった。ネットワークやシステムを担当する情報システムの担当者は実質2人であり、負荷が集中しがちだった。
障害状況を一元的に確認できる仕組みがなかったことから、情報システム担当者はその都度現場に出向き、機器や配線を確認しながら原因を切り分けなければならなかった。障害対処のために、残業など時間外の復旧作業が発生することもしばしばあったという。
医療機器や部門システムのベンダー各社が、リモート保守回線を部門ごとに個別に設置しており、情報システム担当者は通信の全体像を把握しにくい状況だった。加えて無線LANは場所や端末によって接続しにくいことがあり、電波環境の改善が必要だった。
「ネットワーク障害で残業」をどう解消?
こうした課題を受け、公立小浜病院は電子カルテシステムの更新を機に、院内のネットワークを刷新した。少人数体制でも安定的に運用し、障害発生時には迅速に原因を切り分けられるようにしたという。どう実現したのか。
公立小浜病院は、アライドテレシスのネットワーク製品・技術を導入し、院内ネットワークの構成や稼働状況を一元的に把握・管理できる仕組みを整えた(図)。
コアスイッチには「AT-SBx908 GEN2」を採用した。AT-SBx908 GEN2は、複数台の物理スイッチを1台の論理スイッチとして扱えるようにする機能「VCS」(Virtual Chassis Stacking)を備える。公立小浜病院はこのVCSを生かして冗長構成を組んだ。
ネットワーク機器の一元管理技術「AMF」(Autonomous Management Framework)も利用した。AMFは機器が故障した場合に、代替機に接続するだけで設定を自動的に復旧する「オートリカバリー」を実現する。
無線LANの運用には、チャンネルや電波出力を自律的に調整し、電波干渉を抑える制御技術「AWC」(Autonomous Wave Control)を利用した。併せてITインフラを24時間365日体制で監視し、異常発生時に通知する運用支援サービス「Net.Monitor」による監視体制も整えた。
ネットワーク可視化・監視ソフトウェア「Vista Manager EX」も導入し、有線・無線を問わず、ネットワークの状態や物理的な構成を収集して把握できるようにした。医療機器や部門システムのベンダーごとに個別に敷設していたリモート保守回線については、保守回線を一本化するサービス「リモメンパック」を使い、順次集約している。
障害原因の切り分けを迅速化、AI活用も視野に
公立小浜病院はネットワークの刷新により、障害原因の切り分けを効率化・迅速化した。ネットワーク全体の状態を可視化したことで、情報システム担当者は現場に出向く前にVista Manager EXの画面で状況を確認し、ネットワークに起因する障害かどうかを迅速に見極められるようになった。問題の特定にかかる時間は、以前の10分の1以下に短縮したという。
通信の安定化に伴い、通信障害に伴う時間外の復旧作業もほぼなくなった。スイッチが故障した場合も、AMFのオートリカバリー機能により、代替機に接続するだけで設定を自動的に復旧できるようになった。分散していたリモート保守回線を集約することで、情報システム部門が外部からのリモート保守接続の状況を一元的に把握・管理しやすくなっているという。
今後は、今回整備したネットワークを生かし、医療従事者の業務負担軽減に向けたAI活用も視野に入れる。アライドテレシスは2026年8月20日、本事例を発表した。
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