AIを一番使う最多工程は「情報収集」で53.2%、では「コーディング」は? あなたの知らない開発現場の実態:AI活用環境が整っているのは大規模チームだけ
ファインディは、ソフトウェア開発組織を対象にしたAI活用の市場調査結果を公表した。AIが使われている工程は情報収集・技術調査が53.2%で最も多かった。
エンジニアプラットフォームを提供するファインディは2026年8月28日、ソフトウェア開発組織におけるAI活用の実態と技術トレンドをまとめた市場調査の結果を公表した。調査はソフトウェア開発に関わる全国の20〜69歳の男女を対象にインターネットで実施され、2026年4月24〜25日に873人から回答を得た。
AIが使われている工程は情報収集が53.2%、ではコーディングは?
所属する開発チームでAIが活用されている工程は次の通りだった。
唯一5割を超えたのは情報収集・技術調査で、実装(コーディング)はその半分程度、コードレビュー/リファクタリングはそれ以下の水準にとどまった。
ファインディは、実装やコードレビューは「情報収集などと比べてAIが出した内容の検証負荷が高く、大規模なシステム開発環境では活用のハードルが高い」といった理由から浸透が進みにくいとみている。一方でこれらの領域にAI活用を広げれば、開発スピードや品質の改善につながる伸びしろは大きいとしている。
個人の活用は7割弱、一般従業員は16ポイント超の差
「AIを日常業務の中で継続的に使っている」に「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた人は68.5%だった。立場別では「リーダー層以上」が75.2%、「専門職・エキスパート」が72.2%だったのに対し、「一般社員・その他」は58.6%にとどまり、リーダー層以上とは16ポイント超の差がついた。
組織全体へAI活用を広げるには一般従業員の底上げが鍵になり、業務スピードや効率の向上だけでなく、AIによる生成物を正しく理解して検証する能力を併せて育てる必要があるとファインディは指摘する。
AI活用環境が整っている開発チームは5人以下で5.2%、100人以上で25.7%
所属する開発チームのAI活用状況では、「AIを日常業務で活用するメンバーが一部の人だけでなく一定数いる」に肯定的に答えた人が66.9%で、6項目のうち最も高かった。
一方、「AI活用に必要なツールや環境が整っている」に肯定的だった人は52.0%で、このうち「とても当てはまる」と答えたのは15.1%と、6項目の中で最も低い。
同じ項目を開発チームの人数別に見ると、規模が小さいほど「とても当てはまる」の割合が低くなる傾向が表れた。100人以上では25.7%だったのに対し、5人以下では5.2%で、両者には20.5ポイントの差がある。
AI活用は開発投資を伴うので、実績がない状態で追加コストを許容するのは小規模組織ほど難しいことがうかがえる。ファインディは、既にAI活用を進めている担当者やチームを推進者に任命してPoC(概念実証)で実績を作ること、他社の知見や外部の導入支援サービスを使うことを打ち手として挙げている。
重要度も取り組みも最上位は「CI/CD」
15の技術、概念について認知度と重要度、組織での取り組み状況を聞いたところ、認知計(「内容まで理解している」「聞いたことがある」の合計)は「プロンプトエンジニアリング」が70.4%、「フィジカルAI」が70.2%で7割を超えた。
これに対し、重要計(「非常に重要」「やや重要」の合計)で最も高かったのは「CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)」の61.7%だった。
組織での導入計(「本番環境で運用している」「一部で試験導入やPoCを実施している」の合計)でも「CI/CD」が40.1%で最も高く、それ以外の技術、概念はいずれも3割台にとどまった。新しい概念は認知が先行し、組織に根付いているのは従来型の「CI/CD」という構図だ。
「AI駆動開発」は重要計が57.4%、導入計が36.2%だった。開発チームの人数別に見ると、いずれの規模でも「一部で試験導入やPoC」が「本番環境で運用している」を上回っている。重要性の認識や試験的な導入は進む一方、本番導入まで至った組織は限定的で、PoCから本導入につなげる推進力が課題になるとファインディはみている。
組織課題は「人材育成・スキル開発」が36.9%で最多
所属する開発組織の課題(複数回答)では「人材育成・スキル開発」が36.9%で最も高く、「品質・テスト管理」が33.3%、「開発プロセスや進め方」が30.5%と続いた。「人材の採用・確保」は29.1%で、人材育成とは7ポイント超の開きがある。「AI活用の推進や定着」は25.4%で、相対的に課題感は高くなかった。
AI駆動開発の導入有無で比較すると、導入している組織は未導入の組織よりも各テーマの課題の回答率がいずれも高い傾向が見られた。導入している組織では「開発プロセスや進め方」が40.2%で最も高く、全体では最多だった「人材育成・スキル開発」を上回っている。AI活用が一定程度進んだからこそ、現状の見直しや最適化を図りたいと考えているのではないかとファインディは推測する。
状況把握も道半ばだ。「開発状況の把握・改善」を開発組織全体で継続的に実施していると答えた人は22.5%、「AIの利用状況や効果」については17.3%で、5.2ポイント低い。「ほとんど実施していない」は13.1%だった。ファインディは、主観ではない客観データに基づいて組織や事業の改善につなげるには、状況把握の仕組み化が有効だとしている。
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