「DMに逃げる理由は秘密保持ではない」 人とAIエージェントの“最強チーム”を作るベストプラクティス:Slackですら「会話は知識にならなかった」(2/2 ページ)
Anthropicは、人間とAIエージェントによる効果的なチームを構築するためのベストプラクティスをまとめたブログ記事を公開した。Slack社の最高製品責任者(CPO)へのインタビューに基づいている。
AIエージェントに明確な役割を与える
デランゲ氏は、AIエージェントを同僚のような存在と考えている。人間のチームメイトに役割と責任があるのと同様に、AIエージェントにも明確な目標と担当領域が必要になる。
定型的な処理を汎用(はんよう)AIエージェントに任せるのが効果的だ。一方、ユーザーが目的を明確に説明できないAIエージェントがある場合、そのAIエージェントは廃止を検討するとよい。それはユーザーが価値を実感できていないということだからだ。
公開をデフォルトに、非公開は意図的に
Slack社は創業当初から、「チャンネルはデフォルトで“公開”にする」ことを推奨してきた。デランゲ氏も、コンテキストや知識を制限する明確な理由がない限り、チャンネルは公開のままにしている。
オープンなコンテキストは相乗効果を生むからだ。新しいメンバーは空の受信箱から仕事を始めるのではなく、これまでの履歴を踏まえてオンボーディングでき、既存メンバーによる説明の重複も減る。現在ではAIエージェントもその恩恵を受ける。
さらにデランゲ氏は、機密性の高い情報が隔離された後、業務がDMに追いやられる主な理由は、秘密保持ではなく、「途中経過を見られることへの居心地の悪さだ」と指摘する。粗い下書きや未整理の疑問も含め、自ら日常業務をオープンに遂行し、同僚が善意で対応してくれると信頼すべきだ。「信頼することで、信頼が得られる」と、Anthropicは説明する。
チームによる新しい働き方を広める工夫
従業員がスキル、デバッグのコツ、ワークフローの秘訣などを共有できる公開のチャンネルを設けることで、ある部門の工夫が別の部門のやり方を変えるきっかけとなる。
また、他者が参考にできるドキュメントの作成を従業員に奨励する。「何をしたか、どのようにしたか」を簡潔にまとめたドキュメントがあれば、従業員個々人の設定がチームのテンプレートやスキルへと変わる。
成果測定の難しさ
デランゲ氏は、単純な成果測定指標に警鐘を鳴らす。例えば、「Slack」の送信メッセージ数の増加が良い成果なのかどうかは一概に言えない。メッセージが多いことは、必要な情報を見つけられていないことの裏返しでもあるからだ。
AIの価値測定も、これと同じ構図にあるという。トークン使用状況は、「システムが稼働している」ことを示すに過ぎず、価値を証明するものではない。
ツールの利用がより良いビジネス成果に結び付くかどうかを明確に証明する方法はないので、ツールの利用指標は、あくまで現状把握の指標として扱うべきだ。
早く、ただし小さく始める
人間とAIエージェントによるチームの導入を目指す組織に向けたデランゲ氏の最大のアドバイスは、あらゆるワークフローを作り直すことだ。「こうしたチームによって、同じ種類の仕事をより速くこなすのではなく、働き方をどう変えるかを考えなければならない」としている。
そしてデランゲ氏は、人間とAIエージェントによる効果的なチームを構築するに当たっては、早く始めること、ただし小さく始めることを勧めている。Anthropicは、Slack社の経験が指針になるなら、数人を「Claude」との共有チャンネルに招き、同じリソースを与えて仕事を任せれば、そこから生まれたものは自ずと広がっていくだろうとの見通しを示している。
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