「PPAPをなくせない」「ファイルのやりとりを追跡できない」問題を解決 自動車部品メーカーは何をした?:ファイル送信や管理の工数を月間約230時間削減
自動車部品メーカーのエイチワンはPPAPを廃止し、ファイルのやりとりの仕組みを見直した。誰が、いつ、どのファイルを送ったのかを追跡できるようになった他、月間約230時間の工数を削減できた。何を変えたのか。
自動車のフレーム(骨格部品)を主力とするエイチワンは、国内外に生産拠点を持つ自動車部品メーカーだ。同社は国内外の拠点や社外パートナーとの間で、メールでは扱えないほど容量の大きいCAD(コンピュータ支援設計)データや機密性のある社内情報をやりとりする際、オンプレミスのデータ授受システムを利用してきた。その運用や保守は、同社の情報システム部門が担っていたという。
従来のデータ授受システムでは、パスワード付きZIPファイルを送ってパスワードを別送する「PPAP」によるファイルの受け渡しが残っていた。エイチワンは昨今のセキュリティ標準に合わせるために、PPAPを完全に廃止する必要があると考えていた。加えて海外拠点では、業務の都合で共有アカウントを使わざるを得ないことがあり、誰が、いつ、どのファイルをやりとりしたのかといった証跡を管理しにくく、グローバルでのガバナンス強化が必要だった。
脱PPAPと「誰が、いつ、どのファイルを送ったか」の追跡をどう実現?
こうした背景から、エイチワンはファイルのやりとりの仕組みを見直した。PPAPの廃止に加えて、月間約230時間の工数削減といった成果が出ているという。どのように変えたのか。
もともとエイチワンでは、経営層や一部の設計・開発部門が、日本ワムネットのファイル転送・共有サービス「GigaCC」を使い、海外駐在メンバーとの間でファイルをやりとりしていた。同社はこの実績を踏まえて、ファイルをやりとりする全社共通の手段としてGigaCCを利用することにした。2025年にGigaCCの契約範囲を広げて、グローバルでの運用方針を定めた上で、2026年に全社での本格運用を始めた。
情報システム部門は用途に応じて、ファイルのやりとりに使う手段を分けた。具体的には、社内の日常的なファイル共有にはグループウェア、社外や海外とのファイルのやりとりにはGigaCCを使うことにした。GigaCCの機能のうち、全社で利用可能にしたのはファイル送信機能だ。容量の大きいファイルや機密性のあるファイルを社外との間で、スポットでやりとりする場合に利用する。一方でファイル共有機能の利用範囲は、特定の取引先との間で、製品図面を頻繁にやりとりする部門や利用者に限定した。
担当者の異動で運用が属人化することを避けるために、主に情報システム部門が管理者権限を持ち、海外拠点のIT部門には必要に応じて限定的な権限を付与することにした。共有アカウントを廃止し、利用者ごとにアカウントを付与することで、ファイルのやりとり状況を追跡しやすくした。
複数の選択肢の中からGigaCCを選定したのは、認証や権限管理、ログ管理など、エイチワンが求めるセキュリティ機能を備えることを評価したからだ。既に一部部署で利用していたことから、移行時の現場の負荷を抑えられることも選定を後押しした。
PPAPを完全廃止、ファイル送信や管理の工数を月間約230時間削減
GigaCCへの移行によって、エイチワンはファイルのやりとりにおけるPPAPを完全に廃止できたという。海外拠点を含めて利用者ごとにアカウントを付与してGigaCCを使うことで、誰が、いつ、どのファイルをやりとりしたのかを追跡できるようになった。
情報システム部門は、オンプレミスのデータ授受システムの運用や保守の負荷がなくなり、より戦略的なIT企画にリソースを振り向けられるようになった。試算では、手作業によるファイルの暗号化やパスワード別送にかかっていた時間、ID申請などの管理業務を合わせて、月間約230時間の工数を削減できたという。
エイチワンがGigaCCへの追加を希望するのが、ファイル送信時にダウンロードURLだけを発行できる機能だ。既にやりとりしているメールへの返信やチャットに、そのURLを貼り付けてファイルを送る運用を想定している。ファイル受信時の本人確認をさらに強化する仕組みとして、受信者ごとにワンタイムパスワードを設定できる機能も求める。日本ワムネットは2026年9月8日、本事例を公開した。
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