連載 | 企業コミュニケーションとツール活用法(1) |
企業コミュニケーションにおける本当の課題
リアルコム
長谷川 玲
2005/10/4
- | 「コミュニケーションは重要」の先の議論へ |
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社団法人日本経営協会『ビジネス・コミュニケーション白書 2005』によれば、社内コミュニケーションに対する認識度合いは、「社内活性化と業績向上のために不可欠」と回答した企業が、調査開始後初めて90%を超え、トップになったとしている。また、企業コミュニケーションの目的としては、「社内の情報共有」と「社員の意識改革」が上位2位となっている。つまり、どの企業でも重要と認識しているし、そのために何かしらの対策を採ろうとしている。
ところで、「情報共有」や「意識改革」を行った結果、何がどのように良くなるのだろうか。確かに、社内で必要な情報は必要な人同士で共有された方が良いし、トップのメッセージを現場の人間まで徹底して伝えるだとか、上司と部下、同僚同士で風通しの良いコミュニケーションを行えば、従業員の意識は変わるかもしれない。しかしながら、さらにその先の議論が薄いのではないか。どうして情報を共有した方が良いのか、なぜ従業員の意識を変えたいのか、どう変えたいのか。手段が目的化してはいないだろうか――。
本連載では、そのような問題意識に応えるために、組織の目標を達成するための企業コミュニケーションの在り方について、さらには、コミュニケーション力向上支援を行うさまざまなツールの活用法について、そのメリット/デメリットや技術動向、活用事例を踏まえながら考えていく。
- | 企業コミュニケーションの現状と課題 |
上述の『ビジネス・コミュニケーション白書 2005』によれば、社内のコミュニケーションに関する現状の課題として、「部門間のコミュニケーションが不足」をトップに挙げている。コミュニケーションを推進するうえでネックとなるのが、「業務多忙でコミュニケーションの機会が少ない」ということである。また、対面や電話ではなく電子メールの利用が増えるといったことに対しては「ITの普及がかえって人間関係を阻害する」という項目の比率が上がっており、懸念する意見が見られる。
現在、企業コミュニケーションを活性化させるために活用されているツールとして、「Eメール」「イントラネット」「グループウェア」、あるいは「携帯電話」が挙げられており、これらはすでに当たり前のものとなっている。新しいところでは、「遠隔会議システム」と回答した企業が初めて20%を突破し、今後さらに普及するだろうとされている。ツールの運用上の課題やポリシーとしては、イントラネットであれば、「更新・メンテナンスが面倒」「効果が測定しにくい」といったことであり、導入効果としては、「情報伝達の迅速化」と「情報共有の進展」が挙げられている。
調査結果を見ると、企業においても「コミュニケーションを活性化させたい」「社内のコミュニケーションが不足している」など、“こういう課題がある”ということはおおむね把握できているようだ。さらには“こういうツールを導入してみた”という実行段階に進めているようである。
しかし、課題を解決した結果のイメージはある(あった)のか、なぜコミュニケーションを活性化したい、させなければならないのかについてはもう一度考えてみるべき項目といえる。また、ツール導入の効果がどれくらいあったのかを具体的に測定することも検討すべきだろう。つまり、企業コミュニケーションとツールの活用について、従来のさまざまなトレンドと同様、何らかのコンセプトの導入それ自体が目的になってしまっていないか、そのROIが分からないために導入を尻込みしてしまっているのではないだろうか。
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