
第4回 「つぶやき」アプリを改修してみよう(後編)
富田 陽介
Banana Systems株式会社
2009/4/28
Railsアプリケーション開発を支援する統合開発環境「3rdRail」を使って、開発、デバッグ、プロファイリングの手法をマスターしよう(編集部)
第3回「『つぶやき』アプリを改修してみよう(前編)」では、第1回で作成した「つぶやき」アプリケーションに追加する機能の要件の洗い出しと、その1つである「複数ユーザーによる『ひとこと』を可能にする」の実装とユニットテストを行いました。
今回は、もう1つの要件だった「ユーザーが『ひとこと』を『お気に入り』に登録できるようにする」の実装とユニットテストを行います。
このイテレーションの進め方は、第3回のイテレーションと同様です。前回検討した関連を再確認しましょう。
- User has many Favorites(ユーザーは複数の「お気に入り」を持つ)
- Favorite belongs to User(「お気に入り」は、あるユーザーに属す)
- Hitokoto has many Favorites(「ひとこと」は複数の「お気に入り」を持つ)
- Favorite belongs to Hitokoto(「お気に入り」は、ある「ひとこと」に属す)
この要件を実装するための手順を整理します。
- 新規追加するModelの初期化およびマイグレーション
 ・Favoriteモデルの追加
- Modelのテストコード実装
 ・フィクスチャの準備
 ・以下のテストコードを実装
 ・Userインスタンスから関連するFavoriteインスタンスを取得
 ・Favoriteインスタンスから関連するUserインスタンスを取得
 ・Hitokotoインスタンスから関連するFavoriteインスタンスを取得
 ・Favoriteインスタンスから関連するHitokotoインスタンスを取得
 ・Userインスタンスから関連するFavoriteインスタンスを経由し、
 関連するHitokotoインスタンスを取得
 ・Hitokotoインスタンスから関連するFavoriteインスタンスを経由し、
 関連するUserインスタンスを取得
 ・テスト用データベースの準備
- ユニットテスト実行(失敗することを確認)
- 本番コード実装
 ・2で作成したテストコードが正常に実行できるように実装
- ユニットテスト実行(成功する事を確認)
2でのテストコードが、「複数ユーザーによる『ひとこと』を可能にする」のテストコードよりも多くなっていることにお気付きでしょうか。今回の要件では、Favoriteモデルを中心としたUser、Hitokotoそれぞれへの「一対多」関連を経由し、「多対多」関連を実現します。従って、上記のような複数のテストケースによりこの関連が利用できることを確認します。
 Favoriteモデルを追加しよう
 Favoriteモデルを追加しよう
Favoriteモデルに必要な属性を検討しましょう。FavoriteモデルはUserとHitokotoの間にある「お気に入り」という関連を示すためだけに存在するモデルです。従って、UserとHitokotoそれぞれに対する関連IDがあれば十分ということになります。
それでは、Favoriteモデルを追加していきます。[Railsエクスプローラー]でtsubuyakiプロジェクト以下の[モデル]を右クリックし、[リソースの新規作成]をクリックします。
モデル名にはfavorite、属性にはuser_idとhitokoto_idを、それぞれinteger型で指定します。それぞれの属性の[必須]列にもチェックを入れておきましょう。[生成されたリソースのスカフォルドを作成する]チェックは外します。

すべて入力が終わったら[完了]を押して、モデルの追加は終わりです。
 Favoriteクラスのテストを実装しよう
 Favoriteクラスのテストを実装しよう
テストの実装に入っていきましょう。今回作成するFavoriteクラスが持つ関連を確認しておきます。
- User has many Favorites(ユーザーは複数の「お気に入り」を持つ)
- Favorite belongs to User(「お気に入り」は、あるユーザーに属す)
- Hitokoto has many Favorites(「ひとこと」は複数の「お気に入り」を持つ)
- Favorite belongs to Hitokoto(「お気に入り」は、ある「ひとこと」に属す)
それでは、フィクスチャの作成から着手します。Favoriteモデルのサンプルレコードを作成していきましょう。[Railsエクスプローラー]ビューから[テスト]−[フィクスチャー]を選択し、favoritesをダブルクリックしてfavorites.ymlを表示し、編集します。
tomita_banana: id: 1 user_id: 1 hitokoto_id: 1
ここでは、第3回のイテレーションで作成したフィクスチャと対応し、id=1のUserがid=1のHitokotoをお気に入りに登録した、と仮定したサンプルレコードを設定しています。
 ユニットテストコードを実装しよう
 ユニットテストコードを実装しよう
それでは、関連を利用するためのテストコードを記述します。まず、Favoriteクラスを中心に、User、Hitokoto双方の関連を取得するためのテストコードを書いてみます。[Railsエクスプローラー]の[テスト]−[ユニットテスト]以下からFavoriteをダブルクリックし、favorite_test.rbを開きます。
require 'test_helper'
class FavoriteTest < ActiveSupport::TestCase
  test "Favoriteが属すUserを取得できる" do
    f = Favorite.find(1)
    assert f.user == User.find(1)
  end
  test "Favoriteが属すHitokotoを取得できる" do
    f = Favorite.find(1)
    assert f.hitokoto == Hitokoto.find(1)
  end
endこのテスト内容は、testメソッドに渡している引数文字列が示すとおりですので、詳細を割愛します。
同様に、user_test.rbとhitokoto_test.rbを以下のとおり編集し、テストを追加していきましょう。なお、上記2つのテストスクリプトに含まれる、第3回のイテレーションで使用したテストを削除しないように注意しましょう。
require 'test_helper'
class UserTest < ActiveSupport::TestCase
  test "Userに属すHitokotoを取得できる" do
    u = User.find(1)
    assert u.hitokotos == Hitokoto.find_all_by_user_id(1)
  end
  test "Userに属すFavoriteを取得できる" do
    u = User.find(1)
    assert u.favorites == Favorite.find_all_by_user_id(1)
  end
  test "UserからFavoriteモデルを経由して、関連するHitokotoを取得できる" do
    u = User.find(1)
    assert u.favorite_hitokotos == [Hitokoto.find(1)]
  end
endrequire 'test_helper'
class HitokotoTest < ActiveSupport::TestCase
 
  test "Hitokotoが属すUserを取得できる" do
    h = Hitokoto.find(1)
    assert h.user == User.find(1)
  end
  test "Hitokotoに属すFavoriteを取得できる" do
    h = Hitokoto.find(1)
    assert h.favorites == Favorite.find_all_by_hitokoto_id(1)
  end
  test "HitokotoからFavoriteモデルを経由して、関連するUserを取得できる" do
    h = Hitokoto.find(1)
    assert h.favorited_users == [User.find(1)]
  end
endさて、ここで追加したテスト内容も、testメソッドに渡している引数文字列が示すとおりですが、各ファイル最後のテストについて確認しておきましょう。
例えば、user_test.rbでは、以下の行により「該当のユーザーがお気に入りに登録している『ひとこと』」を取得しようとしています。
u.favorite_hitokotos
同様に、以下の行では「該当の『ひとこと』をお気に入りに登録しているユーザー」を取得しようとしています。
h.favorited_users
これらのメソッドはどこで定義されるのでしょうか。そもそも、ActiveRecordのアソシエーション機能で、上記のような「多対多」関連を簡単に取得できるのでしょうか。
先に結論だけ述べます。ActiveRecordは上記のような「多対多」関連であっても、簡単に解決する方法を提供しています。実際にどのように書けばよいのかについては、後述します。まずは、上記で作成したユニットテストを実行し、新しく追加したテストが失敗することを確認しましょう。
 テスト用データベースをマイグレーションしよう
 テスト用データベースをマイグレーションしよう
第3回と同様に、テスト用データベースの準備をしましょう。[プロジェクトコマンダー]で以下のコマンドを実行し、テスト用データベースのマイグレーションを実行します。
> rake db:test:prepare

以上で、テスト用データベースの準備は完了です。
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| Index | |
| 「つぶやき」アプリを改修してみよう(後編) | |
|  | Page1 Favoriteモデルを追加しよう Favoriteクラスのテストを実装しよう ユニットテストコードを実装しよう テスト用データベースをマイグレーションしよう | 
| Page2 ユニットテスト実行を実行しよう Modelの本番コードを実装しよう Modelクラスの開発ステップのまとめ | |
|  | 3rdRailによるRailsプログラミング入門 | 
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