PHPExcel使用時の注意点
今回のサンプルでもそうですが、PHPExcelを利用してExcelファイルを出力する際に、最終的にPHP入出力ストリームのphp://outputへファイルを書き出すことで処理を終えることになります。
ところが、この場合にボタンのSubmitEventがクリアされずに残ってしまうという不具合が発生します。
前編で取り上げたボタンクリック時のイベントに関連するJavaScritpラッパーの図を参照すると分かるとおり、ボタンのクリック時には各ボタンに対応したボタン名+'SubmitEvent'という名称のhiddenfieldに、ボタン名+ボタンのOnClickハンドラが値として設定されるようになっています。
この値は、ページが新しく生成される段階で初期化されますが、OnClickイベント中で処理が終了してしまう今回のようなケースでは、Showメソッドが呼ばれないために新しいページへの遷移が発生しないので古い値が保持されてしまいます。
そのため、Excelファイルが出力されてページが表示し直されているように見えていても、実はボタンのOnClickハンドラの処理内でのphp://outuputで処理が終了しているために、同じページの別のボタンをクリックした際に再び先ほどの帳票出力のためのボタンのイベントがサーバに送信されてしまい、Excelファイルが出力されてしまうのです。
これを回避するために、帳票出力ボタンのhiddenfieldに限って、フォームのJSSubmitイベントハンドラ内でJavaScriptでクリアをします。ボタンのJSClickイベントとフォームのJSSubmitが成功すると、ボタンのイベントハンドラがhiddenfieldに設定されるのですから、フォームのJSSubmitイベントで特定のボタンのイベントハンドラをクリアしたとしても、そのボタンがクリックされたのであれば、この後でイベントハンドラが再設定さるので問題ないのです。
残念ながら、前編で筆者が提案したとおりにVCLに手を加えていない場合、この手法は使えません。以下のテストプログラムでは、イベントをクリアするコードを追加していますが、フォームのOnSubmit JavaScriptイベントを外してしまうと、自分自身を再表示するボタンでも再度Excelファイルが出力されてしまうのが分かります。
function Unit1JSSubmit($sender, $params) { ?> //Excel出力後の再出力をリセットする処理 // //synaps_clear_submiiEventValue // document.getElementById("<?php echo $this->Button1->name.'SubmitEvent';?>").value = null; return true; // //function end; //<?php }
これで駆け足ながら、Delphi for PHP2.0のコンポーネント作成方法、プロパティの実現方法、オブジェクトのシリアライズについて見てきました。PHPでありながら、ビジュアル開発とコンポーネント指向を実現したDelphi for PHP 2.0で、開発生産性と品質のさらなる向上にチャレンジしてみませんか。
また、余談になりますがDelphi for PHPのメーリングリストを開設しました。Delphi for PHPを使ってみたけど分からない、困った、バグじゃないのかなど、相談窓口になれればと思います。ぜひご参加下さい。
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Index | |
Delphi for PHPでExcel帳票を作ろう | |
Page1 PHPExcelから帳票出力 コンポーネントの作成 |
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Page2 PHPExcelをコンポーネントに組み込む |
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Page3 PublicプロパティとPublishedプロパティ オブジェクトのシリアライズとアンシリアライズ |
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Page4 PHPExcel使用時の注意点 |
Delphi for PHPを使い倒す! |
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