Database Watch 5月版 Page 2/2
2005年、RDBMSの対抗軸はXMLへ向かう?
加山恵美
2005/5/14
■ネイティブXMLデータベースの定番製品
次に、ネイティブXMLデータベース群です。当初から「XMLデータベース」として売り出しているものはネイティブXMLデータベースを指します。同じネイティブにしても、それぞれ特徴的です。XMLのとらえ方や世界観が反映されているようにも見えます。
最初に「ネイティブXMLデータベース」で名をとどろかせたのは独Software AG(日本代理店はBeacon IT)の「Tamino」かもしれません。XMLのツリーをそのまま保持、管理することのできる世界初のネイティブXMLデータ管理サーバです。現行バージョンは2004年12月にリリースされたV4.2ですが、今年秋にはV4.4がリリースされる予定です。
「やわらかいデータベース」がコンセプトなのは「NeoCore XMS」です。これはXML Management Systemともいい、簡単にXMLデータを格納し利用できるのがアピールポイントです。“簡単”とはスキーマ定義が不要で、XMLデータを格納するだけで自動的にインデックスを生成することがその理由とされています。ちょうど2005年3月30日に最新版V3.1がリリースされ、新たにサーバライセンスが販売開始となりました。V3.1ではWebDAV搭載や名前空間のサポート、さらにパフォーマンスが向上したとされています。
WebサービスやSOAに意欲的なのがソニック ソフトウェアの「Sonic XML Server」です。同社にはSOAのサービス基盤として一連の製品群があり、主にサービス単位で製品が構成されています。その中でXMLのネイティブな処理、格納、問い合わせサービスを行うのがこのSonic XML Serverです。
これらを比較して興味深いのは、
- スキーマ言語
- 検索言語
- Webサービス
への対応具合です。つまり対応スキーマ言語はXML Schema、DTD、Relax NGなどのどれに対応しているか、検索言語ならXPathやXQueryのどちらのどのバージョンまで対応しているかなどで微妙な差が生まれてきます。こうしたXML標準はW3Cで開発が進行中のため、その進行具合をにらみながら製品への搭載が随時行われている状況です。
■大容量、超高速など、個性派ネイティブXMLデータベース
最後は、格納できるデータ容量に特徴があるネイティブXMLデータベースです。CLOB型で格納するものも含めネイティブXMLデータベースはギガバイトまでは扱えても、テラバイトまで扱えるものはそうそうありません。テラバイト級の大容量が特徴なのが、メディアフュージョンの「EsTerra XSS(XML Storage Server)」と、東芝ソリューションの「TX1」です。実はこれまで「テラバイト級で高速」といえばEsTerra XSSの一人舞台のようなものでした。2005年3月には新たにEsTerra XSS 2005がリリースされたばかりでしたが、2005年4月20日にはTX1が発表になり、今後のテラバイト級のネイティブXMLデータベース市場の動向が注目されています。
また徹底的にスピードにこだわったネイティブXMLデータベースもあります。これまで紹介したものでも高速処理に優位性を主張しているものは数多くありますが、独自の高速性を持つものがあります。それがセックの「Karearea」です。インメモリXMLデータベースともいい、すべてのデータをメモリに展開するため高速性と高パフォーマンスを実現します。ちなみに製品名は早口言葉のようですが「かれあれあ」と読み、ニュージーランドにいるハヤブサが由来だそうです。その姿はニュージーランド紙幣にも印刷されているそうですから、旅行に出掛けた際はちょっと確認してみてください。
ネイティブXMLデータベースにはオープンソースのものもあります。オープンソースの組み込みデータベースである「Berkeley DB」にXML機能が追加された「Berkeley DB XML」や、コミュニティがとても盛んな「eXist」もあります。
データベースとXMLの関係はますます親密になりそうです。ではまた来月、お会いしましょう。
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2 ・ネイティブXMLデータベースの定番製品 ・大容量、超高速など、個性派ネイティブXMLデータベース |
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