Database Watch 11月版 Page 2/2
ついにベールを脱いだOracle Database 11g
加山恵美
2006/11/16
■HiRDB V8.1リリース
日立は11月に最新リビジョンとなる「HiRDB V8.1」をリリースしました。新しいV8.1では開発効率や移行容易性が向上し、セキュリティが強化されています。運用支援製品「HiRDB SQL Executer」も同時にバージョンアップしています。
このHiRDB SQL Executerとは会話形式でSQLを実行する製品です。これまでのHiRDB SQL Executerではデータベースの検索結果がテキスト形式で表示されていましたが、新バージョンではよりビジュアルで分かりやすい表示になりました。また他社DBMSとのソース共通化を容易にするためにSQLを強化するなど、SQL周辺の強化が目立ちます。
ほかにも検索の選択肢が増加、検索性能の向上、セキュリティ強化なども新リビジョンのアピールポイントとなっています。
■SQL Server 2005 SP2のCTP配布
マイクロソフトは11月8日にMicrosoft SQL Server 2005 SP2のCTPを公開しました。CTPとはCommunity Technology Previewで、製品やService Packの正式リリース前に評価を目的で提供されるものです。
コミュニティといえば日本のSQL Serverに関するコミュニティ、PASSJではオフ会をLaQua(ラクーア、東京ドーム)で開催するようです。足を伸ばして忌憚(きたん)のない意見交換ができそうですね。11月中は全国各地でthe Microsoft Conference 2006 が開催されていることもあり、今月のマイクロソフトはオフラインの動きが活発になっているようです。
■MySQLはエンタープライズ版が登場
MySQLは11月3日に5.1.12ベータをリリースしました。5.1.xは現行のMySQL 5.0の次期バージョンとなるものです。半年ぶりに新しいベータ版が公開されたため、チェンジログがとても膨大なものとなっているようです。MySQL 5.1.xがいつ正式版となるかは未確認ですが、ベンダ系RDBMSに比べてオープンソース系RDBMSはバージョンアップのサイクルが速いためそう遠い先ではないような気がします。
ところでMySQL ABは10月17日に今後MySQLを2つの系統で提供していくと発表しました。このリリースによるとMySQLでは新しく企業向けのMySQL Enterpriseという系統を加え、従来のものはMySQL Community Serverと呼ばれることになるようです。MySQL Enterpriseでは企業での使用が念頭にあり、有料で各種サポートが受けられます。一方MySQL Community Serverは従来の延長にあり、GPLライセンスで利用できます。MySQLはここでエンタープライズ向けに枝分かれするようです。
近年のデータベース業界の動きを見ると、ベンダのRDBMS製品はエンタープライズでの利用を主としながらも「エクスプレス」など無償のコミュニティ版も出し、逆にオープンソースRDBMSはコミュニティでの利用が主ですがエンタープライズでの利用を念頭に機能強化を進めています。両者は対照的な存在でありながら、互いの領域にも足を踏み入れようとしています。
エンタープライズ版とコミュニティ版の2系統を持つことは、もしかしたらメジャーなRDBMSでは必然的な動きなのかもしれません。エンタープライズ向けには機能や性能を強化してサポート体制も必要となりますが、逆にコミュニティ向けには自由度のあるものが求められてくるからです。今後各製品においてエンタープライズ版とコミュニティ版がどういう動きをしていくか興味深いところです。
■PostgreSQL 8.2 ベータ3リリース
PostgreSQLも新しいベータ版をリリースしています。9月に最初のベータをリリースしたばかりなのに、10月26日にベータ2、11月8日にベータ3をリリースし年末になり急展開しています。10月末のオープンソースカンファレンスではPostgreSQL 8.2について「まもなくリリース」という話もあったので、本当にもうすぐ正式版のPostgreSQL 8.2が登場するかもしれません。もしかしたら今年中でしょうか。
PostgreSQLの技術者認定試験といえばPostgreSQL CEがあります。2006年の6月から日本語版のPostgreSQL CE 8 Silver試験が配信開始となっています。最近では教材も充実してきていますし、先月末のオープンソースカンファレンスではPostgreSQL CE 8 Silver の無料ペーパーテストが実施されたそうです。11月からは英語版試験もリリースとなり、技術者試験でもPostgreSQL 8.xは着実に普及してきています。
11月12日にFirebird 2.0がリリースと発表がありました。詳しくは次号以降にて。ではまた来月、お会いしましょう。
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Index | |
連載 Database Watch 11月版 ついにベールを脱いだOracle Database 11g |
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Page 1 ・サンフランシスコがオラクルの赤に染まる ・Oracle Database 11gの出荷は2007年夏 |
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Page 2 ・HiRDB V8.1リリース ・SQL Server 2005 SP2のCTP配布 ・MySQLはエンタープライズ版が登場 ・PostgreSQL 8.2 β3リリース |
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