Database Watch 2008年6月版
PostgreSQLに足りないもの/XMLDBへの期待
加山恵美
2008/6/19
■今年はXMLDBが現場へ進出するか?
まず、前知識として、最近のXMLDB市場の動向を再確認しておきましょう。
筆者の感触では、昨年からXMLデータベースは本格的に復興の動きを見せています。2006年ごろからすでに兆候はありましたが、2007年1月のW3CによるXQuery 1.0勧告をきっかけに、各種データベースベンダの動きが本格的になってきました。事実、2007年8月には日立のHiRDB V8.2、10月にはOracle Database 11gとIBM DB2 9.5“Viper 2”などXML機能を強化した商用RDBMSのリリースが続きました。
【関連リンク】 >>>XQuery 1.0、XSLT 2.0、XPath 2.0 の各仕様群の公開について(W3C勧告) >>>XQuery 1.0: An XML Query Language ― W3C |
今年はというと、ここ数カ月はXMLデータベース関連書籍が次々と出版されています。『標準講座 XQuery』や『XML-DB開発 実技コース』(翔泳社)、また『プロジェクトの流れで理解するXMLDBデザイン徹底解説―最新DB2 9.5pure XML対応』(日経BP)などです。
着々とXMLデータベース導入に向けて下地が整ってきましたが、さて実情はどうでしょうか。XMLコンソーシアムが2007年末に実施した会員アンケート調査の結果(PDF)によると、興味深い現状が浮かび上がってきました。
XMLデータベースに対する取り組みや採用状況(質問28)を見ると、「すでに導入している」は23%であまり多いとはいえません。しかし「特に関心がない」と無関心もそう多くはありません。半数以上が関心はあるが調査中かその前段階にあるようです。
情報提供や提案で見ても同じことがいえます。ユーザー企業を対象にした質問(質問33、図左)「システムインテグレータやベンダからXMLDB関連情報やXMLDBによる提案を受けているか?」を見ると「受けたことがない、または不十分」が半数強でした。
逆に、システムインテグレータを対象にした質問(質問34−1、図右)「顧客に対してXMLDBを積極的に提案しているか?」を見ると、「積極的に提案している」のは25%、「引き合いがあれば」が44%、残りは「準備中」や「取り扱っていない」となりました。
図 XMLコンソーシアム XMLDB部会調査資料より (左)質問33 「システムインテグレータやベンダーからXMLDB関連情報やXMLDBによる提案を受けているか」(ユーザ企業への質問) (右)質問34-1 「顧客に対してXMLDBを積極的に提案しているか」(システムインテグレータへの質問) XMLコンソーシアム XMLDB部会2008年2月調べ 調査概要、対象などは公開資料(PDF)を参照 |
関心は高まりつつあるものの、ユーザー企業には提案や情報提供が十分に届いていないというのが現段階の姿のようです。
しかしながらアンケート後には書籍の出版が続くなど、情報は着実に増えつつあります。有用な情報が出回るようになると、いよいよ導入へと一歩踏み出す企業も出てきそうです。うまくいけば今年は実際に導入するケースが徐々に増えていくかもしれません。
◆◆◆
ではまた来月、お会いしましょう。
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Database Watch 2008年6月版 PostgreSQLに足りないもの/XMLDBへの期待 |
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