Database Watch 2008年9月版
SQL Server 2008ドキュメントは読み応え十分/
ボトルネック解消のヒント
加山恵美
2008/9/19
実りの秋には少し早いかもしれませんが、マイクロソフトからはパートナーと共同で実施した実証プロジェクトの成果が公表されました。9カ月分の検証成果がエンジニアに恩恵をもたらすといいですね。
SQL Server 2008の実証結果を一般公開
まずは「始まり」となる昨年のニュースから。マイクロソフトは2007年11月15日、SQL Server 2008の早期実証プロジェクト「Center of Quality Innovation」(CQI)を開始すると発表しました。その当時もメディアで報じられていましたからご記憶にある方も多いでしょう(下図参照)。CQIについては後述します。
それから9カ月。マイクロソフトは2008年8月26日、同社主催のエンジニア向けイベント「Microsoft Tech・Ed 2008 Yokohama」において今後順次CQIの実証結果を公表すると発表しました。
CQIプロジェクトの中身、徹底検証の成果
CQIはマイクロソフトがパートナーのシステムインテグレータ各社と共同で実施した実証プロジェクトです。ユーザーが新製品を早く、安心して導入できるようにと、実際に導入するときのシナリオに基づいて実証を行いました。製品が搭載している機能を検証するのではなく、多くのユーザーが直面するシナリオで実証しているので現実味のある結果となっていそうです。シナリオは以下の4つです。
- コンプライアンス(主務:マイクロソフト/実証顧客:東芝セミコンダクター)
情報セキュリティ コンプライアンスのガイドライン策定とその実証 - データウェアハウス(主務:日本電気)
テラバイト級のデータウェアハウスを想定し、バッチ処理、データ蓄積処理、オンライン検索処理の実証 - サーバ統合(主務:日本ヒューレット・パッカード)
多数のSQL Serverを1台のサーバに集約し、優位性や運用管理方法、パフォーマンスの実証
- 旧バージョンからのアップグレード/移行シナリオ(主務:日本ユニシス)
SQL Server 2000および2005を導入済みの環境を2008に移行または共存、加えて互換性の実証
プロジェクト全体で50人以上のエンジニアが参加し、総検証時間は約6万7500時間にも及びました。検証結果はOffice Word文書で700ページ以上になるそうです。この大量のノウハウはプロジェクトに参加したパートナーだけが保有するのではなく、マイクロソフトのWebサイト「SQL Server徹底検証シリーズ」にて無償公開されるようになりました。さらに今後はWebサイトだけではなく、「MS Press」の書籍として2008年12月ごろから続々と刊行される予定です。
CQIプロジェクトの3つのクオリティとその狙い
今回のCQIプロジェクトはマイクロソフトにとって品質向上への取り組みの一環となっています。一般的に、ソフトウェアベンダにとって品質向上とは製品そのものに焦点が当てられがちです。しかし、マイクロソフトは製品出荷後の展開や製品維持の段階においても品質向上を目指しています。
具体的にはどうか。「製品そのもののクオリティ」については、すでに製品出荷前までにマイクロソフト側で広範囲なテストや評価を実施してきました。今回のCQIは「展開のクオリティ」部分に相当します。つまり、製品を展開するときのノウハウをパートナーと検証し、広く一般公開することで製品展開のクオリティ向上を目指しているものです。
残るは「製品維持のクオリティ」ですが、こちらは累積的な更新プログラム(CU)を2カ月ごとに提供、ナレッジベースの拡充、カスタマーサポートに寄せられた問題をサービスパックや次期製品にて改善、といった枠組みでクオリティを維持していくことになるようです。
マイクロソフトは(1)製品を完成させるまで、(2)製品を展開させるとき、(3)製品を維持(運用)していく段階、の3つのすべてにおいて、品質を高めることでよい循環や相乗効果が表れることを狙っています。
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