いろいろあったりもしたけれど、DB界はげんきです
2009/11/25
進化した高速データベースマシン、Exadata V2
前回「あの2社がとっても“ハード”なガチンコ勝負」でもお伝えしたように、米オラクルはExadata V2を発表しました。これはサン・マイクロシステムズのハードウェアにオラクルのソフトウェアを組み合わせたアプライアンスです。ラックが銀光りしていますね。
Exadata V2は11月11日から日本での受注も開始になりました。V1がDWH向けでExadataではないDHWシステムより10倍高速とうたわれていたのに対し、V2はV1の能力に加えてOLTP向けであるのと、DWHシステムではV1より5倍高速だとオラクルはアピールしています。
Exadata V1の速さのポイントはストレージ側でクエリ処理を実行する「Smart Scan」やInfiniBandを使った高速なデータ転送などが挙げられます。これに加えてV2では「Smart Flash Cache」といい、ストレージにフラッシュカードを搭載しアクセス頻度の高いデータをキャッシュすることで高速化を図ります。
さらに圧縮技術でも進化を遂げました。リアルタイム更新が可能な圧縮(Advanced Compression)と列単位の圧縮(Hybrid Columnar Compression)です。後者は2通りのモードがあり、DWHなどアクセススピードを重視したQuery Modeと、ストレージ圧縮を重視したArchival Modeがあります。データが圧縮できるということはストレージのコストを下げるだけではありません。データが小さくなるわけですから身軽になり、処理速度にも寄与します。
Exadataは大規模向けではありますが、小規模からスタートすることも可能です。フルラックが必要ないならハーフラック、またその半分のクオーターラック、さらに小ぶりなベーシックシステム(DBサーバとストレージサーバが1つずつ)での提供もあります。
高速化と拡張性を備えたDB2 pureScale
次はIBMです。IBMは11月12日、IBM DB2 pureScale Feature for DB2 9.7 Enterprise Server Edition(以下、DB2 pureScale)を発表しました。大型汎用機のノウハウを応用し高い処理能力や拡張性を備えており、保守時も障害時もノンストップで業務を継続できるとIBMは話しています。DB2 9.7のオプションという形になっています。12月11日から出荷開始します。
技術的にはシェアードディスク型のアーキテクチャを採用しているのが特徴です。従来DB2ではシェアードナッシング型でした。方向転換かというとそうではなく、BIなどではシェアードナッシングが向いていて、OLTPなどではシェアードディスク型が向いているとのことで、当分は共存していくのだとか。
またロックと共有ページをCoupling Facility(CF)のメモリ上に一元管理することや、RDMA(Remote Direct Memory Access)を採用しノード間の通信を高速化するところも特徴です。
これらの技術によりDB2 pureScaleは高速化や拡張性を実現しています。特にIBMがアピールしていたのは大規模運用における拡張性です。一般的に大規模構成では処理能力の劣化が課題となりますが、IBMはDB2 pureScaleで「16ノードでも95%以上、100ノード超でも80%以上の処理能力を発揮」と報告していました。
さてこのpureScale、どこで真価を発揮するでしょうか。これだけの処理能力と素早く柔軟な拡張性を備えていれば大規模サイトはもちろんのこと、意外なところでは繁忙期のみ利用するというのもありかもしれません。
というのも、発表によると「使用量に応じた日単位の課金体系も提供」とあります。一瞬Amazon EC2のようにサービスで提供するのかと思いきや、違います。日単位のライセンスもあるのです。一時的または急激に負荷が高まるような、例えば期間限定のサイトや急に注目度が高くなったサイトなどにいいかもしれません。もちろん、サービスのプラットフォームで使うのもありでしょう。
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