オラクルが作るNoSQL DBの正体は?
2011/11/8
オラクルから「NoSQL DB」が登場!
10月25日、日本オラクルは東京で「Oracle Database / Exadata Summit」を開催しました。今回のイベントの中心となるトピックは、10月にサンフランシスコで開催した「Oracle OpenWorld 2011」で登場した新製品です。
新製品の中でも、主役はOracle Big Data Applianceです。先月お伝えした通り、Oracle Big Data ApplianceはOracle NoSQL Database 11gという新しいデータベース製品を搭載しています。詳細を日本オラクル 製品事業統括 製品戦略統括本部 担当シニアマネジャー 坂本欽市氏(写真)が解説しました。「NoSQL」の名前を冠したこの新データベースはKey-Value型データベースで、その正体はオラクルのBerkeley DB Java Editionを原型にして開発したものです。
原型はBerkely DB
Berkeley DBはアプリケーション組み込み型のデータベースで、2006年にオラクルがSleepycat Softwareを買収し、Berkeley DBがオラクルデータベース製品の仲間に加わりました。昨今話題のNoSQLデータベースと認知する人はほとんどいませんが、Berkeley DBでは、データベースにアクセスするときはSQLを使いません。C言語の関数やJavaのメソッドを呼び出すことでデータにアクセスします。少なくともリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)ではないですね。NoSQLにやや近い存在と言えるかもしれません。NoSQLデータベースを新たに開発する際に、その基盤とするには手ごろだったのでしょう。
坂本氏はOracle NoSQL Database 11gのコンセプトとして「シンプルなデータモデル」「スケーラビリティ」「冗長構成・データ保護」「管理の容易さ」の4点を掲げました。
1つ目の「シンプルなデータモデル」は、Key-Value型のシンプルなデータ構造を採るということです。Put、Delete、GetなどのJavaのAPIでデータベースにアクセスします。
2つ目の「スケーラビリティ」は、ストレージの扱い方を表した言葉です。Oracle NoSQL Database 11gは、複数のストレージにデータを分散させて記録します。さらに、記録するデータの複製を作って、これも分散させて記録します。ストレージの数が増えれば、データの複製があちこちに存在することになるので、読み出しに時間がかかりません。
データベースドライバは、ストレージのトポロジーやネットワークのレイテンシ(遅延)を考慮して、最適な方法でデータにアクセスするようにできています。
「冗長構成・データ保護」は可用性を高めるための機能です。NoSQLの大きな特長である「no single point of failure」(1カ所の障害が全体の障害とならないこと)を意味していると言っても良いでしょう。データを記録するときは必ず複数のレプリカも記録し、障害から迅速に復旧できるようになっているのです。
最後の「管理の容易さ」は、読んで字のごとくです。Webブラウザで管理画面を開けるようになっているほか、コマンドラインからも操作できるようになっています。ストレージのトポロジーや状態などさまざまな情報を簡単に取得できるので管理業務が楽になります。
業務アプリケーションで必要な特性も持ち合わせている
ほかにも、NoSQLデータベースには珍しく、ACIDトランザクションを保証する機能を備えていたり、データの一貫性をどれくらい強く保つかを設定できるという特徴があります。一貫性を重視すれば、データの取得には多少時間がかかりますが、最新のデータを取得できます。一方、一貫性を重視しない戦略を採ると、データの取得は速くなりますが、そのデータが最新のデータであるという保証はどこにもないということになります。
業務アプリケーションではデータの一貫性が何より大切ということがあります。オラクルは、NoSQLデータベースを開発するにも、このあたりをしっかり意識して仕上げてきたなという印象を受けました。
10月中旬からEnterprise Editionのダウンロード提供が始まりました。Community Editionの提供もじきに始まることでしょう。
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オラクルが作るNoSQL DBの正体は? | |
Page 1 オラクルから「NoSQL DB」が登場! 原型はBerkeley DB 業務アプリケーションで必要な特性も持ち合わせている |
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