Database WatchDatabase Watch 2011年11月版

オラクルが作るNoSQL DBの正体は?

加山恵美
2011/11/8

アプリケーションとデータベースの間に立つファイアウォール

 オラクルの話題をもう1つ。11月9日よりOracle Database Firewall日本語版の提供が始まりました。

 オラクルは「(ネットワークの)入口と出口の対策だけで良いのですか?」と問いかけています。不正な通信をブロックできたとしても、メールの添付ファイルやユーザーのUSBメモリなどから入り込むマルウェアも増えています。またSQLインジェクション対策も重要な課題です。

 この製品は一般的なネットワーク通信のファイアウオールと違い、データベースへのアクセスを監査するファイアウオールです。アプリケーションとデータベースの中間に配置し、ネットワークのトラフィックからSQL文を収集、解析します。

 配置方法はアウトオブバンド方式とインライン方式の2種類。前者はネットワークスイッチと並列に配置し、通信を監視させる形です。後者はアプリケーションとデータベース間に直列に配置し、通信を監視しながら、悪意のある通信を遮断します。オラクルが発売しているファイアウォールですが、Oracle Databaseだけでなく、SQL Server、DB2、Sybaseでも利用できます。

MySQLは5.6でオプティマイザを大きく改善

 次はMySQLです。10月28日にオラクルは東京でMySQL Developer Dayを開催しました。イベントでは日本オラクルのMySQL Global Business UnitでMySQL Sales Consulting Managerを務める梶山隆輔氏写真)がMySQLの近未来について語りました。

 現在MySQL 5.6MySQL Cluster 7.2がDMR(Development Milestone Release)2まで来ています。GAはまだもう少し先のようですが、新機能の概要は見えてきているようです。

 MySQL 5.6では処理性能の向上に特に力を入れているようです。例えばオプティマイザに関してはWebサイトでリストを数十件ずつ表示するようなときに有効なFile sort optimization、ディスクの入出力回数の低減に有効なICP(Index Condition Pushdown)、joinのクエリに効果的なBatch Key Accessなどといった最適化手法が加わるようです。

 まだラボで開発中のNoSQLオプションにも注目です。従来のRDBのようにinsertやselectだけではなくputやgetで、NoSQLデータベースのようにmemcachedでMySQL(InnoDBデータ)に話しかける機能も加わることになります。面白いですね。

 余談ですがMySQLを利用しているシステムには、どんな言語で作っているものが多いと思いますか? これは、Enterprise EditionとCommunity Editionで異なるようです。Enterprise EditionではJavaとPHPがほとんど同じ比率になります。一方、Community EditionではPHPを使ったシステムが圧倒的に多いとのこと。言われてみればなるほどです。

 MySQLが「ゴール」として見すえている方向は大きく分けて3つあるそうです。まずアーキテクチャのリファクタリング。かつてはMyISAM中心で、それがお荷物となりさまざまな制約を作っていました。これを捨てMyISAMに依存しない構造にすることを目指しているそうです。

 次にクラウド、ホスティング、SaaSで有効な機能を拡充していくこと。例えば自動シャーディング、ロードバランシング、自動フェイルオーバーなどといった機能の取り込みです。最後のゴールはWindows版の改善です(主に性能)。

 イベントの最後ではMySQL技術者を募集しているというアピールもありました。大募集だそうです。MySQLの勢いを感じます。

電子書籍時代にXMLデータベースは主役となれるか?

 MySQL Developer Dayと同じ日に、サイバーテックが毎年恒例となっているNeoCoreサミット2011を開催しました。「XMLデータベース導入・提案“虎の巻”」と題して、同社クロスメディア開発部の小野雅史氏写真)がXMLデータベースの近況と、導入の成功・失敗事例について語りました。

 これまでのXMLデータベースの導入実績を見ると、製造業への導入例が最も多いそうです。しかし電子ブックの本格的な普及を前にした現在は、出版や印刷業界の動向に注目しているそうです。

 電子書籍のフォーマットの中でも有名なEPUBは、ほとんどの構成要素がXHTMLとCSSですのでXMLとよくなじみます。書籍のようにまとまった量のコンテンツを扱うにはデータベースが必要です。XMLデータベースは電子書籍コンテンツの「縁の下の力持ち」として身近に存在するようになるかもしれませんね。

 ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!

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Index
オラクルが作るNoSQL DBの正体は?
Page 1
オラクルから「NoSQL DB」が登場!
原型はBerkeley DB
業務アプリケーションで必要な特性も持ち合わせている
→ Page 2
アプリケーションとデータベースの間に立つファイアウォール
MySQLは5.6でオプティマイザを大きく改善
電子書籍時代にXMLデータベースは主役となれるか?



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