データベーススペシャリスト試験攻略のツボ(5)
「トランザクション」に関する問題
西沢直木
2008/9/17
本連載では、テクニカルエンジニア(データベース)試験に対応できる知識を確認していきます。多岐にわたる知識が問われる試験ですので、受験する方はもちろん、日常業務ではあまり使うことのない技術知識の確認にも役立ててください。
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問5-1 トランザクションのACID特性
オンライントランザクションの原子性(atomicity)の説明として、適切なものはどれか。
ア
データの物理的格納場所やアプリケーションプログラムの実行場所を意識することなくトランザクション処理が行える。
イ
トランザクションが完了したときの状態は、処理済みか未処理のどちらかしかない。
ウ
トランザクション処理においてデータベースの一貫性が保てる。
エ
複数のトランザクションを同時に処理した場合でも、個々の処理結果は正しい。
答え
解説
「トランザクションの原子性」とは、トランザクションのACID特性の1つで、トランザクション処理はすべて実行されるか、1つも実行されないか、いずれかの状態で終了するという特性です。従って、「イ」が正解です。
ほかの選択肢は次の点が間違っています。
- ア 分散データベースの「位置の透過性」の説明
- ウ ACID特性の「一貫性」の説明
- エ ACID特性の「独立性」の説明
データベーススペシャリストに限らず、午前問題は、知っていれば解ける「知識問題」と、計算などが必要な「作業問題」に分けることができます。
トランザクションに関する問題は、デッドロックの発生タイミングなどを見極めさせる作業問題の方が多く出題されています。時間や労力がかかり、問40の前後という試験終盤に位置することから、ミスをしやすい分野といえます。
その中にあって「トランザクションのACID特性」は、トランザクションに関する問題では数少ない知識問題です。ちょうど4つの特性があるので4択式の問題として出題しやすいのか、毎年のようにACID特性について問うものが出題されています。
過去の出題状況をまとめると次のように「原子性」について問われることが圧倒的に多かったようですが、特性は4つしかないので、極端にヤマをはらずにしっかり4つの特性を頭に入れて確実に得点したい問題です。
column:トランザクションのACID特性に関する出題傾向
トランザクションのACID特性を問う問題は、毎年のように頻繁に出題されています。過去の出題をまとめると次のようになります。
- 20年-午前問題-問41:
耐久性(更新結果は障害が発生しても消失しない) - 18年-午前問題-問41:
原子性(処理済みか未処理で完了) - 17年-午前問題-問42:
原子性(すべて実行されるか、全く実行されない) - 16年-午前問題-問39:
原子性(すべて実行されるか、全く実行されない) - 15年-午前問題-問40:
正しい説明を選択(一貫性についてが正解) - 14年-午前問題-問38:
独立性(ほかのトランザクションに影響を与えない) - 13年-午前問題-問42:
原子性(処理済みか未処理で完了) - 12年-午前問題-問62:
原子性(処理結果は全部成立か全部不成立)
業務でデータベースを使っていれば難しくない問題だと思いますが、自信のない方も得点源にできる問題なので、用語集などを参考に4つのACID特性の違いを把握しておきましょう。
◆トランザクションのACID特性- 原子性(Atomicity):
トランザクション処理はすべて実行されるか、まったく実行されない状態のいずれかで終わる
- 一貫性(Consistency):
トランザクション処理の前後でデータに矛盾を生じない
- 独立性(Isolation):
ほかのトランザクション処理から影響されない
- 耐久性(Durability):
障害が発生しても更新結果は保持される
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「トランザクション」に関する問題
コラム:トランザクションのACID特性に関する出題傾向
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