Oracle Database Cloud Serviceの真実
2011/11/10
ほとんどのアプリケーションには、50Gbytesあれば十分
―― 最大のストレージ容量が50Gbytesとのことだが、少ないのではないか。
ほとんどのアプリケーションにとって50Gbytesは十分な量だ。それに、オラクルが提供するOLTP(オンライン処理)向けのデータ圧縮機能を使えば、データを最小で1/4まで圧縮できる。これで、200Gbytesのデータも扱えることになる。行にするとだいたい1億行だ。
大手の顧客には何千というサービスを持っているところがあるが、それぞれのサービスは、50Gbytesのストレージがあれば間に合うことがほとんど。こういう顧客には、サービスの数だけOracle Database Cloud Serviceのアカウントを取得してもらえると考えている。
ビッグデータとはいえないまでも、相当な量のデータを扱えるものを作ったわけだが、データをスムーズに移動させる技術も付け加えなければならないと考えていた。例えば、パブリッククラウドから、オンプレミスにデータをすぐに移行するといったことが簡単にできるようにした方がよいだろうということだ。
そのために、Data Pumpという機能を利用する。HTTPのコネクションを複数張って、並列でデータを流すのだ。いまのところ、3つもコネクションを張れば、データをそれなりに速く転送できるだろうと見積もっているが、現在は試験中なので、はっきりしたことはまだ分からない。
Oracle DBA & Developer Days 2011 の講演では 「飛行機を買うことはない。 シートを買えばいい」 という表現でクラウドを 利用するメリットをアピールした |
―― Oracle Database Cloud Serviceで動いているOracle Databaseは、市販のOracle Databaseと変わらないのか。
基本的には市販のものと同じだが、クラウド環境で使えるように手を入れている。例えば、スキーマ同士を完全に隔離するようにしている。
ほかにも、新しいサービスのためのプロビジョニング(コンピュータリソースの準備)を自動化する部分もカスタマイズしている。そして、サービスを消去したり、増やしたり減らしたりする部分にも手を入れている。
―― Oracle Database Cloud Serviceを利用するようになると、管理の手間が省けるなどの変化はあるのか。
データベース管理者(DBA)の仕事内容が何らかの形で変化するだろう。しかし、これはデータベースが進化するたびに話題になることだ。例えば、オラクルのAutomatic Storage Managementという機能を利用するとストレージの管理を自動化できる。これが世に出たときはDBAの仕事がなくなるのではないかといわれた。しかし、現実には仕事がなくなるということはなく、DBAは1人でより多くのデータベースを管理しなければならなくなっている。
オラクルは新たに「Enterprise Manager 12c」という管理ツールを発表する。これを使えば、1人のDBAが何千というデータベースを管理できる。クラウド上のデータベースも管理できる。Enterprise Manager 12cはクラウド向けの機能を搭載した初めてのツールだ。これからもどんどん改良していく。
オラクルはオンプレミス向けにもクラウド向けにも同じ技術やツールを提供する。つまり、オラクルのツールでプライベートクラウドを管理することに慣れていれば、パブリッククラウドでも質の高い仕事ができるということだ。パブリッククラウドのRDBMSサービスが普及したら、企業はプライベートクラウドとパブリッククラウドを使い分けるようになるだろう。そうなると、オンプレミスとパブリッククラウドの違いをなるべく意識しないで管理できる環境が必要になってくるはずだ。
―― Oracle Database Cloud Serviceでは、Oracle Databaseのオプション機能は利用できるのか。
Oracle Database Cloud Serviceの導入に当たって、最大の障壁は、データの大きさではなく、アプリケーションの運用に必要なオプション機能だと考えている。例えば、最初に提供を開始するバージョンでは、Oracle BI Publisherが使えない。ほかにも使えないオプション機能はある。今後は、クラウド上のデータベースでもそのようなオプション機能を使えるようにしていかなければならないと考えている。
―― Real Application Cluster(RAC)は使えるのか。
使える。ただし、最初はActive-Passiveモードで使ってもらうことになる。つまり、可用性を高める効果だけを提供するということだ。並列で処理をして性能を高めるということは、最初のバージョンではできない。
―― SLAについてはどのように考えているのか。
最初の1年間は提示しない。その後にどういう数字を出すかを議論しているところだ。99.9999…と9をいくつも並べていくと、ある時点でコストが跳ね上がる。適切なポイントを見極めようとしている。SLAを提示しないといっても、もちろん計画メンテナンスは最小限に抑え、計画外の停止はゼロに近づけるように努力する。
―― オプション機能や、SLAについての将来の計画を聞いていると、2012年にサービスが始まったら、その後急速に進歩していくのではないかという印象を受けた。
そのとおり。SaaSの方ではFusionの機能がどんどん加わっていく。PaaSの方では、データ統合などのツールが加わってくるだろう。オラクルでは、すべての開発チームが“Go to Cloud”と意識して取り組んでいる。
クラウドでRDBMSのサービスを提供しようと経験を積んでいくと、オンプレミスのサービスに生かせる知見を得られる。例えばいろいろな部分の自動化が進むということが考えられる。そして、オンプレミスの技術を追究していくとそれがクラウドで生きることもある。クラウドが進化したとしても、オンプレミスで動作するRDBMSの需要はなくならない。両方の要求を満たしながら、サービスを進化させていきたい。
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Oracle Database Cloud Serviceの真実 | |
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