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オープンソースカンファレンス2011.DBレポート

2大オープンソースRDBMSの近未来が見えた!


加山恵美
2011/11/15
オープンソースDBMSのコミュニティが一堂に会し、それぞれの技術について発表し合う「オープンソースカンファレンス 2011.DB」。MySQLとPostgreSQLの2大DBMSの将来像を探った。(編集部)

 2011年11月5日、オラクル青山センターにてオープンソースカンファレンス2011.DBが開催された。話題をデータベースに限定してオープンソースカンファレンスを開催したのは、2008年6月以来3年ぶり。イベントではコミュニティを代表するメンバーが各製品の近況や概要を解説した。商用製品のオフィシャルなセミナーと違い、聴衆が仲間であったり、関連コミュニティのメンバーであったりするので、勉強会のように打ち解けた雰囲気で進んでいく。本記事ではPostgreSQLMySQLのセッションを中心に紹介する。

9.1では同期レプリケーションまで進化

 最初のセッションで登壇したのは日本PostgreSQLユーザ会の永安悟史氏写真)。「PostgreSQL 9.1 and More」と題して、9月に登場したPostgreSQL 9.1に加わった技術から、次の9.2の予定までを語った。

 PostgreSQL 9.1の改良点として最初に注目したいのはレプリケーションの強化だ。これまでPostgreSQLでは、8.0でアーカイブ・リカバリ、8.4でウォーム・スタンバイを導入し、9.0では非同期レプリケーションが利用可能に。さらに9.1で同期レプリケーション(synchronous_replication))へと発展した。これはWAL(Write Ahead Log:ログ先行書き込み)がスレーブに到着したことを確認してからコミットするので、マスタサーバが故障しても更新結果を失うことはないという。

 また、セッションではマスタからスレーブの状態を一括監視するコマンド「pg_stat_replication」、オンラインバックアップのコマンド「pg_basebackup」、スレーブからマスタへ昇格させるコマンド「pg_ctl promote」などが紹介された。

機能拡張がぐっと簡単になる

 次に注目すべきは、SQLの独自拡張である「EXTENSION」や「SQL/MED FOREIGN TABLE」により機能拡張が容易になった点だ。また、最近オープンしたモジュール配布サイトPGXN(PostgreSQL Extension Network)も要注目だ。

 性能はどうか。9.1ではWALなしテーブル、パーティショニング強化、地理情報検索の3点で性能を向上させたという。WALなしテーブルとはWALを書かないことで処理速度を上げることが可能なテーブルで、作成時に「CREATE UNLOGGED TABLE table (...)」と指定する。ただしサーバがクラッシュするとデータベースが空になってしまうので、一時的なデータベースに使うようにするなど用途に注意が必要とのこと。

 パーティショニングに関しては、複数のパーティションにまたがってORDER BYを実行するとき、インデックスを利用することで処理性能を上げた。

 ほかにも、新機能を追加している。シリアライズの精度を向上させたほか、SE-PgSQLという機能を追加した。これはSELinuxと連携し、データへのアクセスを制御するもの。「SECURITY LABEL ON object IS 'label'」などとし、オブジェクトや列にセキュリティのラベルを設定できる。

 なお、次バージョンの9.2の話題については開発メンバーの藤井雅雄氏も加わり、実装予定の新機能「カスケードレプリケーション」について言及した。

 従来のレプリケーションでは、マスタからスレーブにデータを写していたが、カスケードレプリケーションはスレーブからスレーブにデータを写すことになる。マスタの負荷を減らせることが主なメリットであり、「スレーブの台数を増やしてスケールアウトさせたいが、マスタの負荷を増やしたくない」というときに特に期待できるという。ただし、非同期レプリケーションのみ対応となる。

 このセッションでは、PostgreSQLの着実な進化を改めて確認できた。そして、9.1の新機能をあらためて知り、9.2に期待を抱かせる内容だった。


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9.1では同期レプリケーションまで進化
機能拡張がぐっと簡単になる

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実験版の機能が現実になるのが楽しみ! MySQL
ライバル同士も和気あいあい



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