だからこのデータは使えない!
〜歴史からひも解く「使えないデータ」のなりたち
不自然なシステム構造〜データウェアハウスの課題と変化
企業が導入するITシステムは、一般的に以下の3種に分けられ、企画・導入され、そして管理されています。
- 基幹系システム
- 情報系システム
- 部門別業務系システム
この枠組みの中で、「データ活用」は、(2)情報系システムの範疇に入ります。いわゆるビジネス・インテリジェンスやデータウェアハウス/データマートは情報系システムそのものです。
一方で、アプリケーションの目的別にITシステムを見ると、以下の2種類に分類されることが分かります。
- 登録系処理
- 参照系処理
この分類における「データ活用」は(2)参照系処理の範疇に入ります。
現実に構築されたシステム構造の中では、情報系システムだけではなく、基幹系システムにも、部門別業務系システムにも参照系処理は存在します。その意味で、ビジネス・インテリジェンスやデータウェアハウス/データマートは参照系処理の一部分でしかありません。
これをデータベース側の観点から見ると、データウェアハウス/データマートというデータベースの最適化手法は、情報系システムのデータ活用を支援するために使われてきましたが、その他の参照系処理で特別に意識されることはありませんでした。
本連載では、まず、データウェアハウス/データマートの課題と変化を「情報系システム」という枠組みの中で考え、それを全社的な参照系処理へと広げてみたいと思います。
データ活用の変遷と「使えないデータ」の出現
ビジネス用途におけるITシステムの起源は、業務プロセスを自動化することにあります。手書き伝票を使って回していたプロセスを、システムに電子的に入力するようにする。プロセスの途中あるいは最後に、入力したデータを使い帳票を作成する。といった内容です。この中でも特に「帳票を作る」というのがデータ活用の起源であるといえます。
20年前の帳票出力
初期の帳票作成は、おおむね月次、チェック用の帳票を日次で出力といった頻度であったかと思います。例えば、かつての経理システムでは、さまざまなシステムで入力されたデータが該当する費目に割り当てられ、経理システムのデータベースに蓄積されます。毎月20日を過ぎると、大量の帳票がラインプリンタから出力され、経理部門ではこの帳票を確認し、間違いがあると赤を入れます。その修正が夜間に反映され、翌日には、この修正と前日の新しいデータが反映された帳票をまた出力して、配布、チェックするといったことでした。
最終的に間違いがないことが確認された内容が月次帳票として出力され、その結果を何と、手書きの表や表計算ソフト上に展開し、幹部へ報告していました。20年も前の話ですが、システムに入力されたデータはこのように使われていました。
・データニーズの変容
データニーズは進化します。データは、上記のような幹部向け報告用目的で使うだけではなく、もう少し多くの人たちが、好きなタイミングで参照したい、という要望が上がります。
好きなタイミングというのは、いまでいうリアルタイムに対する要求ではなく、ある決まった過去の時点(1日前や1週間前など)のデータを、もっと多様な切り口から、日中でも見られるようにする、という意味です。これが、「経営情報システム」とも「意思決定支援システム」とも呼ばれ、後に「ビジネス・インテリジェンス(BI)」と呼ばれるようになります。
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だからこのデータは使えない! 〜歴史からひも解く「使えないデータ」のなりたち |
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Page 1 ・不自然なシステム構造〜データウェアハウスの課題と変化 ・データ活用の変遷と「使えないデータ」の出現 20年前の帳票出力 |
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Page 2 ・システム構造の変化 基幹システム内でのバッチ処理出力 参照用データベースが耐えられない! サマリ化してデータを保有するデータマート データウェアハウスとデータマート、「産地直送型」構成 登録系と参照系が同居し続けるエンドユーザーコンピューティング |
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Page 3 ・「使えないシステム」が抱える運用上の課題 課題を解決する選択肢 参照系に弱い汎用DB ・汎用データベースは登録系プロセスのために作られている カラムストアデータベース データウェアハウスアプライアンス 参照系の負荷を軽減してTCO削減を実現する |
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